第二件 消えた影
「これは、ちょっと年季が入ってるかな」
「ですね」
玄関先に立ったまま、蓮香はドアから視線を離さなかった。
「それじゃ、お邪魔しようか」
ドアノブが回り、錆びついた音とともに扉が開く。
その瞬間、家の中の空気が、外とははっきり違っていることに気づいた。
玄関に入ると奇妙なことに気がつく。靴がないのだ。女性物の靴はあっても男性用の靴はない。あるのは子供用の靴だけだ。
佳那斗の部屋は2階らしい。階段を上がっていくと、部屋に着いた。
部屋を見回してみると、ベッド、机、椅子、本棚、ちょっと子供っぽい部屋だ。
ベッドから順番に見ていく。ベッドは失踪当時のそのままだろうか。まだ少し人の形が残っている。「高校生にしてはでかいな」そう蓮香は呟くと次に机を見る。ちょっと小さめだがまあ使えるのか?と思うが口には出さない。
こうして周りを見渡してみると違和感がある。これはなんなんだ。蓮香が依頼主に聞く。
「質問があるんだけど」
「はい?なんですか?」
蓮香が一息入れてから話す。
「君の息子って一人?」
「はい。そうですよ」
と依頼主が当然のように言うが、僕も同じ気持ちだ。
「じゃあこれは何かなっ」
バコン
そう音がすると襖が開いて中が見えた。
これは、、、布団?
「やっぱりね、そう言うことか」
「この家には、二人こどもがいる。今回消えた佳那斗くんと、もう一人。たぶん6歳あたりじゃないかな?その子用の布団でしょ」
隣を見ると依頼者が震えている。
「なんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでわかった?」
そう叫ぶと、蓮香が冷静に話す。
「なんでって、理由かな?何かな?まあいいよ。推理だと100%の確信は得られない。けど、それを100%に上げるのが探偵の勘だ
だからだよ?君が負けたの」
蓮香がいい終わるや否や、華月が蓮香に飛びかかる。危ない!と思って飛び出したが、一足遅かった。僕の目に映るのは
吹っ飛ぶ“華月”と蹴り上げた“蓮香”
「やっぱり、人って追い詰められると凶暴になるんだな」
やっぱりだ。蓮香はこれでも元警察官だ。こうなることは予想できてたのに。
あれから2日が経った。だが、蓮香はまだ帰ってきていない。警察の事情聴取で3日は閉じ込められそうな感じだった。結局、華月が一体何をしたかったのかはわかってない。けれども、あの家には何かある気がする。蓮香が帰ってきたらまた報告してみよう。
カランカラン。
ドアの開く音がする。また新たな依頼者が来たようだ。
華月の再登場はくるのかな?




