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「モンスター・テイマー」と呼ばれた少年  作者: olupheus
第1章 覚醒する能力 –メザメルチカラ–
8/66

不思議なチカラ ①

第1章 2パート目です。どうぞ〜。

 商人や冒険者などたくさんの人々が行き交う大通りを、4人の子どもが歩いている。その様子はとても楽しそうで、人と人の間を縫うように進んでいる。

 先頭を進むのは"活発" をそのまま形にしたような少年で、よく子どもたちの先頭に立ってグループを引っ張っていた。名前をシモンといい、ギルドハウス正面にある武具店の1人息子である。

 すぐ後ろを進むのはこちらも活発そうな少女で、クルムの手を引っ張っている。彼女の名前はライムといい、ギルドハウスの隣にある宿屋の娘である。

 ライムの後ろで手を引かれているクルムの隣を進むのは、シモンやライムとは違いおとなしそうな少女である。少女はカリンという名で、シモンの武具店の隣にある道具屋の娘である。


 しばらくすると人でごった返し、にぎやかな広場が見えてきた。

「あそこかな?」

「たぶんそうだよ!」

「だれかにきいてみる?」

「そうしようか」

 口々に言い合っていると、

「あれ?クルム、こんなところで何やってんだ?」

 という声が聞こえてきた。


「あ、おとーさーん!」

 クルムがトトトと駆けていった先には、マルタと同じくギルドハウスの運営をしている男性、アルスがいた。

「ああ、サーカス団の噂を聞きつけて来たのか?」

「うん、おとーさんは?」

「俺は本部の依頼で会場整理だよ。今日だけ無料ってんで人が山のようにやってくるからな」

「ふうん……?」

 分かったのか分からないのか曖昧な顔でクルムが返事をしていると、シモン、ライム、カリンが駆け寄ってきた。


「「「こんにちは~~!」」」

「おう、こんちは、今日も元気だな」

「なあなあ、『さーかす』ってここでいいのか!」

「ああ、ここだ。人がかなり多いから、入りたいんだったら早くした方がいいぞ。広場の入り口に人が立ってるから、入るときは必ずその人に言うようにな」

「「「「は~~~い!!」」」」

 元気よく走っていく4人をアルスは笑顔で見送った。

「アルスさん、ちょっとよろしいですか?」

 そこにギルドの職員がやって来て、アルスに声をかけた。

「おう、どうした?」

 アルスの表情は元の引き締まった顔に戻っていた。



 4人が広場に入ったのと同じ頃。

 クルムが暮らしているギルドハウスに冒険者の一団がやって来た。

「やっと帰ってこれた……」

 先頭の大男––グレイブがぼやきながらカウンターに進む。


「あら、お帰りなさい」

「早かったのね」

 グレイブに気付いたマルタとヴェリベルが出迎えた。

「ああ、予想してたよりも長くかかっちまったよ。ホイ、依頼書」

「依頼主のサインは……、あるわね。はい、OKよ」

 グレイブが依頼料を受け取っていると、横から、

「ところで、クルム君はどこ行ったの?」

 とグレイブと同じ一団で活動している女性––ミラが声をかけてきた。

「あの子ならお友達と出かけたわよ」

「あ、そうなの……。残念」

 がっかりした表情を浮かべるミラ。彼女もまた癒しを求める者の1人だった。


「そういえば、クルム君がここに来たのって去年の今頃よね」

「ああ、そういえばそうね。もうそんなに経つのね……」

 マルタとミラがカウンター脇で紅茶を飲みながら雑談している。グレイブは隣の宿屋へ荷物を置きに、ヴェリベルは買い出しに外へ出ている。


「ちゃんとお友達もできたみたいで、良かったじゃない」

「本当にね。人見知りするから、ちゃんとした人付き合いできるか心配だったのよ」

 二人が話しているのは、クルムに友達ができた日のことである。その日、クルムは外で掃除の手伝いをしていた。そこに武具店から出てきたシモンが走り寄ってきたのである。

『おまえだな、さいきんこのへんにやってきたこどもっていうのは!』

 と勢いよくまくし立て、いきなり声をかけられ驚いているクルムを引っ立てて行ったのだった。


 引っ立てられた先でライム、カリンと出会ったクルムは、最初はオドオドしていたが、子ども同士特有の柔軟性故か、すぐに打ち解けた。

 その後はクルムが黙って連れて来られたことを知ったライム、カリンの提案(若干説教交じり)でギルドハウスに戻り、アルスやマルタに挨拶したのだった。

 なお、いきなりクルムをさらうという暴挙に走ったシモンは、父親からゲンコツをもらってしまい、しばらく涙目だった。その様子を見たクルム、ライム、カリンは揃って大笑いしていたが、やがてシモンも笑い出し、しばらく止まることはなかった。


 そんなことがあってから、4人で行動する姿を見ることが増えた。大体はシモンが先頭に立って連れ回し、ライムがクルムとカリンを遅れないよう引っ張る、という構図になっている。


「なんでその子はクルム君に声を掛けたの?」

「見たことなかったから、とりあえず声を掛けてみたそうよ。ライムちゃんかカリンちゃんが知ってるかも知れないから、連れて行ったんだって」

「随分と強引な……。まあでも、そのお陰であんなに楽しそうにしてるんだから、感謝しないといけないのかしらね」

 2人は頷き合った。

今のところトラブルも戦闘も欠片も見られないですね……。まあ、戦闘になんか駆り出したら、一部の方が黙ってないでしょう。多分。きっと。メイビー。


あ、あとこの話を投稿する前にアクセス解析見てみたら、1111PVでした。ありがたや〜。



お読み頂き、ありがとうございます。辛抱強く見守って頂けますと、幸いです。

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