不思議なチカラ ②
毎度~、3パート目、お届けに上がりました~!
「それで、クルム君たちはどこに行ったの?」
空になったカップを弄びながらミラが聞くと、
「大通りの広場でやってるサーカスを見に行ったのよ」
新しい紅茶を用意しながらマルタが答えた。
「ああ〜、クルム君、動物大好きだものね」
「話を聞いた途端に目を輝かせてたわ」
やれやれと溜息をつくマルタの顔には呆れ2割、慈愛8割の表情が浮かんでいた。
「でも大通りなんて人通りの多いところに、子どもたちだけを行かせて大丈夫なの?」
「大丈夫でしょ。広場にはウチの旦那がいるし、お友達と固まるように普段から言い聞かせてるし。何より、いくら人通りが多くたって、子どもたちをどうにかするには目立ちすぎるわよ」
(本当に大丈夫かしら……)
紅茶の入ったカップを傾けながら、ミラは心の中で呟いた。
所変わってこちらは広場。
そこでは、これから数日にわたって興行を行う予定のサーカス団が宣伝のため、一部のパフォーマンスを無料で公開していた。
中央都市に着いてからすぐに始めたので、あまり大がかりな舞台装置を使用しないジャグリング、小型動物によるショーなどが中心となったが、観客たちに興味を与えるには十分だった。
そして、観客たちの中に動物のショーを熱心に見物している4人の子どもたちがいた。
「「わあー、かわいい!!」」
4人のうちの少女ふたり、ライムとカリンは子犬たちが並んで行進をしたり、縄跳びをしている姿を見て黄色い歓声を上げていた。
一方で少年たち、シモンとクルムの方は。
「うおー、かっけー!!」
シモンは夜鷹が飼育員の腕から飛び立つ様子を見て大興奮していた。
「……」
クルムは動物と触れ合えるコーナーで、ライオンやトラの赤ん坊を一心不乱に撫でていた。撫でられている方は、とても気持ちよさそうに目を細めている。その様子を見たのか、クルムの周りにほかの赤ん坊たちが集まってきていた。
「クルム~……、って、うわっ、どうしたんだ、これ?」
クルムの元に来たシモンが驚いた声を上げた。シモンの目の前には、様々な動物に寄られてもみくちゃになっているクルムがいた。
「なんか、なでてたらいっぱいきちゃったの……」
「オマエ、なんかしたんじゃないのか?」
「してないよ、たぶん……」
クルムが眉を八の字にしていると、クルムのお腹にのっているライオンの赤ん坊がギャ~オ、とねだるような声を上げた。それを聞いたクルムがのどの辺りを撫でると、満足そうにゴロゴロという声を出した。
「わっ、クルム、どうしちゃったの?」
「あかちゃんがいっぱい、かわいい~……」
子犬のショーを見終わったライムとカリンがやって来た。ライムはクルムの様子に驚き、カリンは赤ん坊たちに目を奪われている。
「なんでかしらないけど、こいつらクルムのところにあつまってきちゃったみたいでさ」
「へえ~、うらやましいなあ~」
「このこ、もふもふ~」
三者三様の反応を示す中で、クルムはもみくちゃにされ続けた。
その後、事態に気付いたサーカス団のスタッフが飛んできて、ようやくクルムは解放された。動物たちは寂しそうな声を上げていたが、クルムも名残惜しそうな顔をしていた。
「みんなかわいかったね~」
ライムが満足そうな表情で言うと、
「あのとぶやつ、ほんとにかっこよかったな~」
「あかちゃん、もふもふだったな……」
シモン、クルムも続いた。
「クルムはどうだった?」
ライムが聞くと、
「……え?」
クルムはぼんやりした顔を向けた。
「どうしたんだ? オマエ、いちばんたのしみにしてたじゃないか」
「どこかいたいの?」
シモン、カリンが心配そうに聞くと、
「……う~ん、なんかヘンなことをいってた"こ"がいて……」
と呟いた。
「ヘンなこと? しゃべるやつでもいたのか?」
シモンが疑問符を浮かべながら聞くと、
「ん~ん、そうじゃなくて……。さっきのあかちゃんたちのなかにね、ヘンなことをいってた"こ"がいたの」
とクルムが答えた。3人は顔を見合わせて
「それってどういう……」
さらに聞こうとした瞬間、あたりに爆音が響きわたった。
ライオンの赤ちゃんの鳴き声を聞いてみましたが、猫とかみたいなかわいらしい声では無いようですね。擬音にするの、難しい……。
《唐突な次回予告》
サーカス団のショーを楽しむ4人に、平穏を壊す音が届く。同じころ、アルスは事態の沈静化に奮闘していた。だが努力むなしく、4人に危機が迫る。一体誰がこの事態を仕組んだのか? そしてアルスは子どもたちを救うことができるのか! 子どもたちの無垢なる魂が元凶を暴き出す!
「この事件、絶対に解決してみせる! ジッチャンの名にかけて! 真実はいつも一つ!」
※予告した内容は予告無く変更になることがあります、というか変更しますので、ご了承ください。




