20話 王都の、兵士
武器屋に入ってきた女性は、赤い上衣を身に付けレザーのベルトが腰に巻かれており、剣が下げられている。
腕と足には、防御の為のプレート。 服や装備の隙間から細かい鎖の様な物が見え隠れしている。
女性が、カウンターに歩いてくる。
歩くたびに、金属の擦れる音が、僅かながらに聞こえてくる。
女性は、私達を横目で見た後、男性に視線を戻す。
「頼んでいた物は、届いてる?」
「届いているよ。 今、持ってくるよ」
店主が奥にの倉庫に行く。 女性は、カウンターで待機している。
何か、武器を注文していたらしい。
「……アリス、欲しい物を買ったなら行こうか」
「え? ああ、そうね。 行きましょうか」
購入も終えた私は、ドアに向かおうとする。
「……エルフ族と……妖精族か」
私達は、彼女の呟きで振り返る。
彼女が、私達を見ている。
「この、王都で見るとは思いませんでした。 それに――」
女性は、私とクラリーチェを交互に見る。
「一緒に、行動している様だな」
「そうね。 成り行きで行動しているわ。 それより、貴女は誰かしら? 見たところ一般人には見えないけど」
私は、彼女に質問をする。
「いきなり話しかけて、すまない。 私は、この国に仕え王国の安全と、街の治安を守る兵士だ。 名はクレアと言う」
女性は、クレアと名乗り私も自己紹介をする。
「クレアね。 私の名は――」
「そちらの自己紹介は、無用だ」
クレアは、待ったをする。
「私は、勝手に話しかけたのもあって自己紹介をしたに過ぎない」
「そ、そう」
クレアは、更に続ける。
「それと、2人は知らないかも知れないから伝えておくが、今の王都は余り良い状況じゃない。 だから、可能な限り夜は出歩かない方が良い」
この話は、行方不明関連の事だろう。 クラリーチェも例の事を言っていると分かった様だ。
「今の話は、人が消える奴だろ?」
クラリーチェが言うと、クレアは頷く。
「そうか。 知っているなら良い」
「……行方不明事件って事は知っているけど、詳しくは知らないのよね。 もし、話せる範囲で良いんだけど、何か情報が欲しいわね」
前に寄った酒屋で、教会関係者が多いとは聞いたけど、そこは黙っておく。
私の言葉を聞いたクレアは、。
「いや、余り良い情報は無いな。 性別や年齢どころか、相手が何者なのかも分からない。 犯行が、夜と言う事もあり、これといった目撃情報も無い状態だ」
「やっぱり、相手も動くなら夜か」
「……」
クラリーチェは、棚に座る。
私は、酒屋の会話を思い出しながらクレアに聞いてみる事にする。
「一応聞くけど、動いているのは兵士だけ? これ程の都市だと人数が足りないんじゃないの?」
「そうだな。 自警団や審問官も動いているな」
彼女から、欲しかった言葉が出てくる。
「……審問官って、教会に害をなす人を捕まえる人かしら?」
私の言葉に、クレアが頷く。
「そうだな。 エルフは知らないと思っていたよ」
「まぁ、クラリーチェから聞いたんだけど実際はどんな人達なのかしら?」
「まぁ、詳しく知らなくても仕方ないけど。 分かりやすく言うなら、聖職者であり、教会が保有する兵士でもある役職だよ。 異端審問官とも呼ばれていて、教会の脅威となる者や、異端者と決めた者を討つか捕える権限が与えられている武装教徒だ」
王国は兵士。 教会は審問官って事ね。
一体どんな人達かしら。
そんな会話をしていると、奥から店主が出てくる
「待たせたね」
店主が、布で巻かれた長い何かを持ってくる。
その、巻かれた物をカウンターに置く。
「なにか、会話が聞こえたけど……最近、起きてる行方不明の話かい?」
「ああ、そうだ」
クレアはそう言うと、カウンターに視線を下げる。
「早く、解決すれば良いのですが」
「早く解決するよう、尽力を尽くす」
「はい、頼みますよ」
クレアと会話をしながら店主は、布を広げていく。 布から現れたのは、斧槍だった。
「注文された品です。 持ってみますか?」
「あぁ」
クレアは、手に持つと刃を見たり柄が握りやすいかを確認している。
軽く、振り下ろしたりする。
「ありがとう。 気に入った」
「それでは、代金をお願いします」
クレアは、払い終わると武器を肩に担ぐ。 そして、私達の前を歩いていき店を出て行った。
私達は、クレアが出てったドアを見ていた。
「兵士に自警団に審問官かぁ。 なんか、面倒な時に来たみたいだな」
私は、クラリーチェを見て頷く。
「そうね」
できれば、落ち着いてる時の王都に来たかった。
私は、そう思う。
「なぁ、アリス。 私、武器屋を出たら色々とみて周ろうと思うし、別々に行動しないか?」
「ええ、良いわよ。 自由に、動きましょうか」
いくら、事件が続いている都市だが、日中は大丈夫だろう。
私達は武器屋を出る。
「それじゃあ。 また後で、合流しましょうか」
私達は、武器屋の前で別れる。




