7話 雪河さんと関口くんはテスト勝負をするらしいです
翌日の朝……アラームが鳴り響きそれを止めながら伸びをして起きる関口。
「ん~!よく寝た」
ちゅんちゅんとなる小鳥、そして日光。
それらを浴びる……が、昨日の電話の内容がずっと頭から離れられなかった。
「マジで嬉しかったな」
そう言葉をこぼしながら身支度を済ませ、家を出る。
「いってきま~す」
◇
数分歩いた先で、いつも見かける幼馴染の姿が視界に入る。
「お、来た来た!おはよ関口!」
「おはよ」
「今日から試験だな!まじでやべぇわ!」
「とか毎回いいながら平均点くらいは取ってんじゃん……陽キャは普通赤点ギリギリなんじゃねぇの?」
「お前マジで陽キャを何だと思ってんだよ!」
いつも通りのやり取りをする二人。
伊藤康彦は陽キャで女子に飢えてるくせに意外と勉強ができる。
多分提出物も全部出してもっと勉強したら学年トップは狙えると思う。でも伊藤は狙わない。
勉強が嫌いというわけじゃないらしいが、つまらないからやらないらしい。
よくわからん。
「だから布瀬さんに嫌われてんじゃない?」
「嫌われて……ってまぁあいつはいいか」
「よくねぇだろ」
ボケとツッコミを繰り返しているうちに学校につき、互いに靴を履き替える。
「今日は現代文と歴史かぁ……」
「自信ないのか?」
「別にねーよ全部、関口は全教科自信あんだろ?」
「ん~どうだろうな」
空に視線を切りながら答え、伊藤は「なんだよそれ」と言葉を発する。
今回のテストは中間テストというのもあり期末に比べて数は少ない。
一日目 現代文と歴史。
二日目 古典と地理。
三日目 英語と化学。
四日目 物理と数学。
この八教科だ。中学に比べると中間だけで多く見えるが別に大した問題でもない。
伊藤と関口は教室に入り、自分の席に着く。
さすが高校最初のテストというのもあり、ホームルーム開始三十分前なのに全員が席についており緊張感も伝わってくる。
(すげぇ……いつもは賑やかなのになぁ)
いつもなら前の席や後ろの方でたむろっている生徒たちも必死に赤い下敷きを敷きながらひたすら勉強している。
隣に視線を向け、雪河さんに挨拶をしようとするが……
(集中してるし、別にいいか)
そうして関口も最後の暗記タイムに入ろうとしたところで————
「おはよう、関口くん」
「お、おはよう……昨日は眠れた?」
「うん、おかげさまで……本当にありがとね」
いつもよりは小さめな声で会話をする二人。これ以上は特に話すということはしなかったが昨日の電話、そして今この瞬間に言葉を交わしたことにより二人は今まで以上に集中する。
(関口くんと話せた!でも……それもここで終わり。切り替えなきゃ!)
(雪河さんと話せて嬉しい。今日も相変わらず可愛い……うっし、こっから切り替えろ俺)
そこからテスト期間がスタートした。
順調に一日目が終わり、二日目も終わり三日目と続き最終日の最後のテスト……数学の時間がやってきた。
雪河と関口はこの数学を勝負することになり、罰ゲームもかけてしまった。
内容は、勝った方のいう事を何でも聞くというものだ。
最終日のこの時間になり、二人は改めて緊張が走る。この緊張はテスト前日の嫌な緊張ではない。
いい緊張感……という奴だ。
「それではテスト期間最後……数学を始めます。チャイムが鳴り次第始めてください。」
問題と解答用紙がクラス全員にいきわたり、チャイムが鳴ったのと同時に全員が手を付ける。
(最初の大問一から三は計算問題が主か……ここは絶対に落とせないな)
途中式を問題用紙に書きながら答えを出し、解答用紙を埋めていく。
ほとんどの問題を難なく埋め、最期の問題の応用にたどり着く。おそらくここを落とせば勝てないだろう。雪河と関口は同時に悟った。
時間が許す限りたっぷりと考える雪河。対して関口は解答用紙をすべて終え、時計を眺めていた。
(まだ二十分もある……)
ちくたくと進む時計を見ながらあくびをする関口……そして、あっという間にニ十分の時が過ぎる。
チャイムが鳴り、先生が口を開く。
「そこまで!これで数学のテスト終了……約一週間お疲れ様」
先生も安堵した声でそう言い、クラスの生徒たちは声を上げる。
「やっと終わった~!」
「疲れた~!さすがに八教科は多いよな!」
「ねぇ、この後一緒にご飯食べに行こ~!」
あのピリピリしていた緊張感も完全になくなり、いつもの空気感に戻ったのを見て少し微笑する関口。
そしてその中でも一番うるさかったのは、関口の幼馴染である伊藤だった。
「うぉぉおおおお!やっと終わったぁぁあああ!これで部活できる!」
そう言いながら教室を出て、隣にいる雪河さんは「ふふっ」と笑っていた。
「やっと終わったね、テスト」
「ほんとだよ……すごい疲れた」
「そうだねぇ、私もクタクタだ」
二人は顔を合わせ、微笑する。
終わった。あとはテスト返し……そこで勝ったか負けたか、そのすべてが決まる。
(……って、大げさか)
これで、テスト期間は終了し……後日のテスト返しまで今まで通りの日常を送る雪河と関口であった。
◇
テスト返却当日。
どうやらこの高校は少し変わっていて、時間割がテストをした順番になっている。
最初に返されるテストは現代文……そして最後に数学だ。
かなりエンタメをわかっている先生方なのか……といっても二人が競い合っているのは知らないので偶然だと分かっているが……
「次……関口、取りに来い」
先生に呼ばれ、テストを取りに行く。
今回、勝負するのは数学だが他の強化をおろそかにしようとは考えなかった。
(さて……どれくらいとれてるかな)
解答用紙を受け取り、点数を隠したまま自分の席に戻った。
隣にいる雪河さんがウキウキでこちらを見ており、席に着いた瞬間話しかけられる。
「点数、まだ見てないんでしょ?」
「うん、その感じだと……雪河さんはかなり点数良かったんじゃない?」
「ばれちゃった?」
遠目から見てもわかる。バツがほとんどついていない。おそらくは九十点以上だろう。
そして自分の解答用紙を見て、隠していた点数をめくる。
そこに書かれていた点数は八十九点。まずまずといった所だ。
続いて歴史 九十五点。
古典 九十点。
地理 八十七点。
英語 九十二点。
化学 九十三点。
物理 八十八点。
最後に、数学のテスト返しの時間がやってきた。
順番に渡される解答用紙。すぐに自分の時間が来てそれを受け取る。
席に座り、少し険しい表情で関口の方を向く雪河。雪河も自分が何点だったかを確認していない様子だ。
「それじゃ、準備はいい?」
「うん、俺はいつでもいいよ」
「せーので一緒に見せあおう」
雪河の合図と同時に二人が解答用紙を見せ合う。
互いに互いの点数を見て……喜びの声を上げたのは雪河だった。
「やった!ほんとだよね?採点ミスないよね?」
「おめでとう!完敗だよ」
点数結果は雪河さんが百点で関口は九十八点だった。
計算問題のケアレスミスだった。正直……めちゃくちゃ悔しい。
しかしケアレスミスした自分が悪く、満点を取られたのであれば文字通りの完敗だ。
後日、雪河さんは順位発表で見事学年一位を取り、関口は学年で十位の成績で中間テストは完全に終了した。
さて……この後はとっても嫌な予感がする罰ゲームタイムのお時間です。
感想、レビュー、ブクマ、評価、待ってます




