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隣の席の雪河さんと関口くん、早く付き合ってもらっていい?  作者: Mini


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3/5

3話 勉強会をすることになりました

 勉強会当日。関口が呼んだ男子は伊藤だ。

 そして雪河が呼んだ女子は隣のクラスの布瀬さんという方だ。互いに一人ずつ呼ぼうという事で伊藤を呼んだのだが……少しだけ伊藤を呼んだことを後悔している。



 勉強会当日の朝……関口と伊藤は一緒に登校をしていた。


「今日もあついなぁ~」

「そうだな」


 他愛のない普通の会話。


(こいつを誘って大丈夫なのか……)


 礼儀もあるし、嫌な奴じゃないから大丈夫なんだが……女子の事になると少しだけ理性が亡くなるというか……第三者から見てしまえば女子に飢えているように見えてしまうからだ。

 しかし、伊藤以外に信頼を置いている人間もいないので腹をくくるしかない。

 そう思った関口は軽く深呼吸をしてから話しかけようとする。

 当然、その隣にいた伊藤は小首をかしげて不思議そうに見ていた。


「今日の放課後さ、雪河さんと勉強会するんだけど……来ない?」

「……べん……きょう、かい?」


 一瞬なんの事やらさっぱりみたいな顔で関口を見ていたが、すぐに理解したようで軽く驚きながら聞き返していた。


「お前が……勉強会?マジで言ってんの?」

「なんだよ。俺が勉強会してちゃ変かよ?」

「変だろ!だってお前だぜ?あり得ねぇだろ!」

「お前マジで俺を舐めてんだろ?」


 ジト目を向けながらそう言い、伊藤は「冗談冗談」といいながら苦笑する。

 そして頭の後ろで手を組み、視線を空に向けて話していた。


「雪河さん……かぁ、二人で勉強すればよかったじゃん。あ……もしかしてビビってんだ?」

「は?お前マジでなんか勘違いしてるだろ!そういう関係じゃねぇ!ただ互いに一人友達呼ぼうって話になったんだよ」

「ふ~ん……なるほどね。わかった。俺も勉強はしないといけないし……参加するわ」

「おう、そうか」


 何やら納得した様子ですんなると受け入れてくれた。しばらく沈黙の時間が続き、追い打ちをかけるように関口が言った。


「くれぐれも変なことするんじゃねーぞ?」

「わかってるって!女子は大好きだけど、いい感じの二人の邪魔をするほど馬鹿じゃねぇからさ!」

「だから、そんなんじゃねぇって」



 とまぁ、こんな感じで決まったわけなのだが……どうして後悔しているかというと。


「あら、あんたもいたのね。康彦」

「げっ……まじかよ。雪河さんが連れてきた女子ってお前かよ」

「二人とも知り合いだったの?」


 雪河が不思議そうにそう聞くと、二人は嫌な顔をしながら同時に口を開く。


「「同じ部活」」

「なるほど」

「そういうことね」


 ハモった二人は互いを睨みつけ、雪河と関口はその様子を見て納得していた。


(同じ部活……もっと言うならこの布瀬って人はバスケ部のマネージャーか……)


 名前は布瀬 絵美里(ふせ えみり)赤い髪でツインテール、そして軽くツリ目。伊藤への態度を見る感じ、ものすごくツンツンしてそうな感じだ。

 じっと見つめていたわけではないが、不覚にも関口と目が合いゆっくりと近づく布瀬。


「あんたが朱音が言ってた関口祐介ね」

「どうも」

「私は布瀬絵美里よ。よろしく」


 伊藤との態度とは打って変わり、ものすごく礼儀正しく自己紹介をしてくれ関口はびっくり。

 そしてそれは伊藤も感じていたようで声を荒げていた。


「あー!お前!まじで俺以外には優しいよな!なんだよそれ!」

「フン!私は誰彼構わずこんな態度をとるわけないでしょ!」

「伊藤……もしかしてお前なんかやらかしたんじゃないのか?」

「いや……そんなことは、ない……はず?」

「「あんじゃねーか」」


 布瀬と関口は呆れながらもハモリ、その様子を見ていた雪河は自分の手を軽く叩く。


「はい、二人ともそこまで。今日は勉強会だから喧嘩はしないようにね!」

「ごめんね、雪河さん!」

「ま、朱音がそう言うなら喧嘩はしないわ」


 なんやかんやありまして……勉強会がスタートした。

 空き教室で机をくっつけてやる勉強会。なんか小学校のグループを思い出す。

 席順は普通にこうだ。関口の横に伊藤。そしてその前に雪河と布瀬。


(確か……俺はあと数学のワークが数ページ残ってる程度か)


 ワークを開き、勉強を始める。

 シャーペンの芯が紙に触れた直後、横にいた伊藤が申し訳なさそうにこちらを見ていた。


「あの~……関口、さん?」

「なんだよ。ノート見せてほしいんだったら俺のカバンにあるから勝手に取れ」

「ありがとうございます!」


 呆れた顔で布瀬は伊藤を見ていたが、二人の手慣れたやり取りに雪河さんは触れていた。


「すごいね関口くん……伊藤くんと仲いいのは知っていたけど、二人は中学も一緒だったの?」

「そうだよ」

「俺たち二人、小学校からの付き合いなんだよ!」

「そうなんだ!それじゃ、関口くんの事はよく知ってるんだね!」

「おうよ!何でも知ってるぜ!」

「まじでお前余計なこと言うなよ?」


 サムズアップしていた指をじっと見つめ、いやな予感がした伊藤は親指をサッとしまう。

 関口が軽く溜息をしながら視線を前に戻すと、次は雪河さんの隣にいた布瀬が顎に手を当て難しい顔をしていた。


「どこかわからない所でもあるんですか?」

「ん?あ~……ちょっとね」


 手元の方に視線を向けると悩んでいた科目は数学……隣にいた雪河さんは漢字を覚えていたというのもありその問題を確認しようとしていた。


(同じ科目なら……まぁこれくらい大丈夫か)


 そう思った関口はその問題を見て答えと、その解説をしていた。


「お~!なるほど!わかるやすい!ありがとう!関口!」

「ならよかったです」

「なんで敬語なのよ?別に普通にタメ口でいいわよ」

「……そうか」


 ふと、横を見てしまった。

 余計なことをしてしまったのではないかと……。

 雪河は案の定ぷくっと頬を膨らませていた。


(やっべ……やっぱそうだよなぁ。雪河さんが教えればいいのに俺が変に出しゃばるから怒ってるんだ……どうしよう)


 関口はそう思っていた。

 ここで、彼女の心境を覗いてみましょう。


(ずるい!絵美里……私だって関口くんに勉強教えてもらいたいのに!)


 まさかの……友達に嫉妬だった。

 徐々に膨らんでいく頬。人差し指でつついてしまえば破裂してしまうその頬のまま雪河は漢字ノートをしまい、数学のワークを出していた。

 関口は一瞬、どうしたものかと頭を抱えそうになるが横にいる伊藤が体をくねくねとさせながら気持ちが悪い声色で話しかけるのでその思いもどこかへと消えてしまう。


「関口く~ん……僕も分からない所があるんだけど……」

「自分で考えろ。あとその気持ち悪いのどうにかしろ」

「差別だ!友達じゃなかったのか俺達は……」

「安心しろ。差別だしお前は友達じゃねぇから」

「ひでぇ……」


 にやりと笑いながらいう関口。そしてしゅんとなり突っ伏する伊藤。これまた手慣れたコントのようなものを見せられ布瀬は苦笑しながらも伊藤が分からないと言っていた問題を見てあおり口調で話しかける。


「あんた、その問題も分かんないの?」

「俺歴史苦手なんだよ……」

「ほんっと、だらしない!関口を見習いなさいよ!」

「こんな化け物と比べちゃいけねぇぞ」

「「……?」」


 伊藤の言葉に女子組二人は首を傾げる。

 関口はジト目で伊藤を見るがそんなの気づく様子がない。この変な空気をどうしたものか。

 頭の中をフル回転させながら導き出した答え。


「なんか飲み物買ってこようかな。皆何がいい?」

「確かに!私ものどか湧いたな」

「いいよ。俺が買ってくるから。」


 一通りみんなの飲みたい飲み物を聞き、関口は一人自販機へと向かった。

 ポケットから財布を取り出し、なけなしの千円を取り出しながら飲み物を復唱する。


「えっと……コーラに水にイチゴミルク……俺はお茶かな」


 空き教室から少し歩いたところに自販機があり、そこにたどり着いた関口。

 飲み物を買い、手に取る。

 そこで、一つの疑問が浮かび上がってくる。


「四本って……持ってくの無理じゃね?」


 五百ミリリットルのペットボトルが三本。三百ミリリットルのペットボトルが一本。うん。無理だ。

 あんな言い方をしてしまった手前、今から戻って誰か来てくれない?なんて言えない。

 どうしたものか……そう考えていたら関口が歩いてきた方向から一人の影が見え少し驚いてしまう。


「え、なんで……」

「外の空気が吸いたくなっちゃって……」


 紫色の髪をくるくるとさせ、どこか気恥ずかしそうにする一人の少女。雪河さんだった。


(本当は関口くんと二人で話したかったんだけど……)


 心の中でそう呟き、並べてあるペットボトルを手に取る。


「私と絵美里の分持ってくね」

「ありがとう。さすがに四本は無理だった」

「だよね。顔を出してみてよかったよ」


 二人はその場から離れようとはせず、自販機の隣にあるベンチに腰を下ろしていた。

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