第二十一章(2):神界の訪問と、創世の喜び
白亜の城での新しい日常が始まって、日本での経験がもたらした変化がじわじわと浸透していく中、私たちはガイア様にご挨拶するために、また神界へと向かうことになったんだ。
もちろん、ガイア様が「ご所望」してた、あの日本の品々をたくさん抱えてね!
エリアス様のキラキラした光に包まれて、次に足を踏み入れたのは、やっぱり清らかで神聖な神界だった。
空中を舞う光の粒子は、前よりもっとキラキラ輝いてるみたいだし、どこからか心地よいハープの音色が響いてきて、本当に別世界って感じ!
ガイア様は、いつものように、神界の広大な庭園の隅にある、ガイア様の専用スペースで何かを創り出す作業に夢中になってた。
大きな花畑の真ん中で、何かの原型みたいなものが光り輝いてて、思わず見入っちゃった。
「ガイア様!お邪魔いたします!」
私がちょっと緊張しながら声をかけると、ガイア様はふわりと振り返った。
その瞳は、宇宙そのものみたいに深くて、それでいて底知れない力が秘められてて、思わずドキッとしちゃう。
「……来たな」
ガイア様は、私たちをチラッと見ただけで、何の感情も読めない声で呟いた。
でも、その視線が、私たちが持ってる荷物に一瞬だけ向けられた気がして、ちょっとニヤリとしちゃったのは内緒!
彼女は創造の作業の手を止めて、ゆっくりと私たちの方へ歩み寄ってきた。
私は一歩前に出て、深々と頭を下げた。
「ガイア様、この度は、母が勝手に勇者たちの世界へ移動してしまい、大変ご迷惑をおかけしました。本当に申し訳ありませんでした」
私の謝罪に、ガイア様は「ふん」って鼻を鳴らした。
「別に、私には関係ないわよ。世界の均衡を司るのはエリアスの役目。それに、私の仕事は創ることだから。誰がどこに行こうと、私は忙しいの。迷惑だなんて、大げさね」
そう言いながらも、ガイア様はちらりとエリアス様の方を一瞥して、すぐに、有無を言わせない視線を私たちに戻した。
「それより、あの頼んだものは、ちゃんと持ってきているんでしょうね?」
ガイア様のその声色には、冷たさの中に、わずかな、でも隠しきれない「早くちょうだい!」って焦燥感が滲んでるように感じて、私、思わず吹き出しそうになっちゃった。
私たちは、一瞬たじろぎながらも、急いで持参した品々を差し出した。
まず、ルシアン様が丁寧に差し出したのは、「呪物廻戦」のアニメと漫画の全巻セットだった。
表紙のキャラクターたちを見たガイア様は、一瞬「ピクリ」と肩を震わせたのが見えた!
でも、すぐにまた無表情に戻って「ふん、まあ、いいわ。置いておきなさい」とだけ言い放ったけど、その指先が、本の背表紙を無意識に撫でてるのが見えて、もう可愛すぎる!って心の中で叫んじゃった。
次に、カスパール君とローゼリアちゃんが、大きな箱を二つ、協力して差し出したの。
中には、最新のゲーム機と「伝説の剣士ゼルガ」のゲームソフトが全シリーズ分ぎっしり詰まってる!
ガイア様はちらりと箱に目をやると、「ああ、それね。別に、期待してたわけじゃないけど」って、まるで興味がないかのように言い放ちながらも、その瞳の奥には、わずかながら好奇の光が宿ってるのが私には見えたんだからね!
そして、アルドロンさんが、手のひらサイズの可愛らしい機械を差し出した。
「これが、新しい『たまごっちゅ』でございます」ガイア様は「へえ。これの新作が出たのね。別に、欲しかったわけじゃないけど、一応受け取ってあげるわ」って、そっぽを向いたまま、でもすっごく素早くたまごっちゅを手に取って、掌でじっと見つめてた。
その様子がもう、本当に可愛くて!
最後に、私が念のためにと選び抜いた、キラキラした可愛いキャラクターのキーホルダーとか、日本の限定スイーツを渡すと、ガイア様は「ふん。こんなもの、別にいらないわ」って顔を背けたけど、その手の動きは、キーホルダーをそっと掴んで、スイーツの袋をさりげなく自分の近くに引き寄せてて、もうバレバレだよ!って心の中でツッコミ入れちゃった。
「また今度、日本に行ったときに、もっと色々なものを買ってきますね!」
私がそう言うと、ガイア様は「別に、期待してないわ」とだけ言って、もうこちらを見ることはなかった。
だけど、その背中からは、微かに機嫌の良い雰囲気が漂ってるようにも見えて、私もホッとしたんだ。
その時、ルシアン様が不意にエリアス様に問いかけた。
「ところで、エリアス。以前、セラフィナの母、陽子殿が、我々が日本で使った『ブラックカード』の請求について心配していたが……あれはどうなっているのだ?」
エリアス様は、相変わらず飄々とした態度で腕を組み、にこやかに答えた。
「ああ、それかい?心配無用だよ、ルシアン君。あの佐倉花君の世界は、私が所有している世界だからね。私の一声で、どうとでもなるさ。金銭的な問題は一切生じないように手配済みだ。むしろ、君たちの滞在が、世界の経済を少しばかり潤してくれたのだから、感謝こそすれ、請求などしないよ」
エリアス様の言葉に、私たち全員が「よかったー!」って安堵の息を漏らした。
特にルシアン様は、これで佐倉家にこれ以上迷惑がかからないって分かって、表情が緩んで、私もすごく嬉しかったんだ。
「ところで、セラフィナ君、みんな!見てちょうだい!」
エリアス様が突然、私たちに向き直って、興奮したように注目を集めた。
彼女の背後から、まばゆい光が溢れ出し、その中に真新しい一冊の書籍が浮かび上がったの。
その表紙は、目を奪われるほど鮮やかで、描かれていたのは、私たち五光の勇者だった!
でも、その姿は、転生してからの新しい姿、つまり魔王の姿のルシアン様と私たちの姿が、すごく躍動感あふれるタッチで描かれてたんだ!もう、感動で鳥肌が立っちゃった!
「じゃーん!これ、私、えありすが、一番にセラフィナ君にプレゼントしたかったのよ!」
エリアス様は、誇らしげにその本を私に差し出した。
「えっ、これは…!?」
私が表紙を見た瞬間、驚きと喜びで声が裏返った!
「うぉおおお!ついに、コミカライズ版も完成したんですね!」
私はその場で喜びを抑えきれず、くるくると踊るような歓喜の舞を繰り広げちゃった。
もう、嬉しくて嬉しくて仕方ないの!
「俺たちは、どんな風に描かれてるのか?!」ってカスパール君が興奮して身を乗り出してるし、 「私の髪型まで、ちゃんと細かく描かれてるわ!」ってローゼリアちゃんも目を輝かせてる。
アルドロンさんも、珍しく感情を露わにして「これは…学術的にも価値のある資料となり得る!」って呟いてた!
ルシアン様も、自分の描かれた姿をじっと見つめて、小さく笑みを浮かべてて、もうその笑顔が最高に推せる!ってなった。
エリアス様は、みんなの興奮した様子を見て、満面の笑みを浮かべてた。
「この物語は、君たち勇者が、魔王ルシアンと共に新たな未来を切り開いていく、そんな物語として書き上げたんだ。君たちが経験したこと、感じたこと、全てが詰まっているよ。この本が、君たちの冒険の証となるだろう」
その時、ガイア様が不満げな視線をエリアス様の方に向けた。
その表情には、明らかな不機嫌さが浮かんでいた。
「……エリアス。その物語とやらで、私の描かれ方がどうなっているか、ちゃんと説明してくれないかしら?」
ガイア様の声は、少しだけ拗ねたような響きを含んでいた。
エリアス様は、そんなガイア様の様子に気づいているのかいないのか、飄々とした笑みを浮かべたまま答えた。
「おや、何かお気に障ることが?」
「とぼけるな!エリアスが私をモデルにしているというその物語、『魔法使いの王ルシアンと四人の勇者の物語』の続編とやらだが、私はどこをどう見ても、いけ好かない悪役として描かれているではないか!しかも、この物語で、勇者たちは私からこの世界を護ったことになっているそうだが、実際は、私がこの世界の均衡を保つために与えた試練に過ぎないのだぞ!」
ガイア様の言葉には、苛立ちと、少しの不満が入り混じっていた。彼女の創造の力が、小さく波打っているのが感じられた。私はエリアス様の顔をちらりと見たが、彼は変わらず涼しい顔をしている。
「まあまあ、物語は物語さ、ガイア。それに、続編では君もまた、新たな形で物語に貢献してくれるはずだよ。ね、セラフィナ君?」
エリアス様が私に話を振ってきたので、私は慌てて頷いた。
「は、はい!ガイア様が、この物語に深みを与えてくださる、かけがえのない存在です!」
私の言葉に、ガイア様は鼻を鳴らし、再びそっぽを向いてしまった。
「ふん。どうとでも言えばいい。だが、この物語が私の威厳を損なうようであれば、それなりに容赦はしないからな、エリアス」
そう言いながらも、ガイア様が再びコミカライズ版の表紙にちらりと目をやり、その口元が微かに緩んだように見えたのは、きっと私の気のせいではなかっただろう。
私たちの手には、この勇者の世界で紡がれる「物語」の続き、そして魔界での新たな「物語」が加わった。
日本での経験と、ガイア様やエリアス様との交流は、私たちがただ転生しただけの存在じゃないってことを教えてくれた。
これからは、ルシアン様との三度の結婚式という、とんでもなく壮大なイベントが待ってるんだ。
一体どんな大騒ぎになるのかな?
ワクワクが止まらない、新しい私たちの物語が、いよいよ始まる!




