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第二十一章(1):白亜の城の新たな息吹


日本から帰ってきて数日が経った。


白亜の城は、いつもと変わらないように見えて、でも、私たちが日本で過ごした時間が、いろんなところに不思議な魔法をかけたみたいに、小さな変化がポコポコ芽生え始めてるのを感じたんだ。



一番すごかったのは、やっぱりアルドロンさんの書斎かな。


扉を開けてみたら、前はきっちり並んでた魔導書とか研究資料の間が、真新しい日本の家電の箱とか、よくわからない機械の部品でいっぱいに積み上がってたの。


そして、その一角には、あの「薄い本」の山が、まるで聖なる宝物みたいに大切そうに鎮座してて、思わず笑っちゃった。


「ふむ……この『電子レンジ』とやら、熱源を内部で発生させるのではなく、電磁波を用いるとは。実に興味深い構造だ。魔導具への応用も検討の余地がある」


書斎の奥から、アルドロンさんの真剣な呟きが聞こえてくる。


どうやら彼は、持ち帰った電子レンジを早速解体して、その仕組みを研究してるみたい。

それに、足元にはインスタントラーメンの袋とか、コンビニのレトルト食品の空き容器が散らばってて、アルドロンさんったら、研究に夢中になりすぎて食生活がひどいことになってる!って、ちょっと心配になっちゃった。


でも、その熱量、さすがだなって思う!



カスパール君とローゼリアちゃんも、日本での経験を自分たちなりに取り入れてて、見ててすごく面白かった。



カスパール君は、自分のお部屋で分厚い日本の『妖怪図鑑』に夢中になってた。


普段はクールで穏やかなのに、その時はもう、目がキラキラしてて!まるで、とんでもない魔導書を見つけたみたいに真剣な顔で、すっごく可愛いんだから!


「ほう、『(くだん)』か。牛の体に人の顔を持ち、未来を予言するという…これは情報操作系の魔術に通じるものがあるな。あるいは、『絡新婦(じょろうぐも)』のように、人の姿に化け、惑わす妖も…魔界の妖魔と習性が似ているようで、その起源や発現条件は異なる。いずれ、召喚術や結界術への応用を研究せねば…」


彼はブツブツと呟きながら、フワワのふわふわした体を撫でつつページをめくってた。

フワワもまた、珍しそうにカスパール君の手元を覗き込んでいる。

彼の探求心は、日本の神秘的な存在に向けられてて、私も「へぇ~!」って感心しちゃった。



一方、ローゼリアちゃんは、リリアさんや城のメイドたちに囲まれて、賑やかに日本のキャラクターグッズとかファッション誌を見せてた。


「見てください、リリアさん!この『メイド服』、普通ののメイド服ではないんです!ちょっと違うんですよ!」


「この『ロリータファッション』って、すごく可愛くて、私も着てみたいです!」って、もうキラキラした目で日本のファッションを解説してるの。


メイドさんたちも目を丸くして熱心に聞き入ってたし、リリアさんも楽しそうに「あら、本当に素敵ね」って相槌を打ってる。


いつか城のメイド服に、日本の可愛いリボンとかレースが取り入れられる日が来るかもね!なんて想像しちゃった。



そして、城の応接間では、私も日本の家族とテレビ電話をしてたんだ。画面の向こうでは、お父さんが得意げに「花!見てくれ!『魔法使いの王ルシアンと四人の勇者の物語』全巻買ったぞ!」って、たくさんの本を見せてくれたの。


もう、お父さんったら全巻制覇とか、本当に「推し活」極めてるなって思った!


「わあ、お父さんすごい!全巻制覇だね!」


「花、そっちはどう?ルシアン様、元気にしてる?向こうで結婚式、いつやるの?」ってお母さんが矢継ぎ早に質問を投げかけてきて、もう止まらないの!


「うん、ルシアン様も元気だよ!結婚式はまだ具体的な日取りは決まってないけど、これから準備するんだ!また決まったら連絡するね!」


画面の隅には、健太郎と有紀が顔を寄せ


「花!花が結婚して北方の王子のお妃になったと大変な騒ぎよ!」って教えてくれた。異世界にいても、彼らとの他愛ない会話が、私の心を温かく満たしてくれたんだ。


このスマホ、本当にすごい!



ルシアン様は、私が日本の家族と話してる間、ずっと隣で静かに聞いてくれてたんだけど、私が電話を切ったら、そっと私の手を取ってくれたの。


「セラフィナ。この『スマートフォン』とやらは、本当に素晴らしいな。お前の家族との繋がりを、こうして常に感じられるのは、何物にも代えがたい」 って、もう!ルシアン様ったら、そういうストレートなこと言うんだから、私の顔、熱くなっちゃったじゃない!


でも、ルシアン様がそう言ってくれるのが、何より嬉しかったんだ。



「あのね、ルシアン様。お母さんたちが、勇者の世界での結婚式の写真や動画も楽しみにしてるんです」 私がそう告げると、ルシアン様は少し考え込むような表情を見せたんだ。


「うむ…確かに、記録として残すのも良いだろう。しかし、魔界での式は、この世界の常識とはかけ離れたものになるやもしれぬ。それが、陽子殿たちにどう映るか…」


ルシアン様、ちょっと心配そうに呟いてた。確かに、魔界の文化とか習慣って、私たちが知ってるのとは全然違うから、儀式とかだと特にびっくりするかもって私も思った。


「大丈夫ですよ!きっとお母さんたちも、珍しいって喜んでくれますよ!」 私の言葉に、ルシアン様は少しだけ安心したみたいに、柔らかな笑みを浮かべてくれた。


「そうか…ならば、善処しよう。セラフィナ。お前が望む結婚式を、最高の形で執り行えるよう、俺も全力を尽くす」 彼の力強い言葉に、私の胸は期待でいっぱいに膨らんだんだ!


もう、ルシアン様、最高!


こうして、私たちの異世界での新しい日常は、日本での経験がもたらした色々な面白いものを取り入れながら、賑やかに、そして着実に動き出していた。


そして、三度の結婚式っていう、壮大な計画への準備も、静かに、でも確実に始まろうとしてたんだ。




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