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転生したら推しが魔王様になってた件~③魔王と勇者の日本ホームステイ奮闘記!  作者: 白狼 


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第四章(1):神の置き土産と、故郷への帰還


光の螺旋に包まれ、私たちは神界へと旅立った。


広間では、エリアス様がすでに準備万端で待っていた。



エリアス様はいつもの神秘的な白いドレス姿ではなく、まるで洗練されたキャリアウーマンのような、パリッとしたスーツを着こなしていた。


髪はきっちりとまとめられ、その表情からは旅慣れた自信が漂っている。


手には革製のブリーフケース。



「やあ、ルシアン君、セラフィナ君、そして勇者たちよ。準備は万端かね?」


エリアス様はにこやかに私たちを迎え、その軽やかな口調に、私たちは少しだけ緊張を解いた。



「セラフィナ君とアルドロン君の宝珠が埋め込まれた聖剣と杖は、小さくするから。キーホルダーみたいにして持ち歩けるようにね。必要な時は元の大きさに戻るから心配ないさ。日本の学校や街中で、あんな大きな武器を持ち歩いたら、目立つどころか警察沙汰になりかねないからね!」


エリアス様の言葉に、私は「なるほどー!」と納得した。そうか、私の聖剣もアルドロンさんの杖も、このままじゃ完全にヤバい人だもんね!気が利くー!



「そして、ルシアン君、これだ」


エリアス様はルシアン様に一枚のカードを差し出した。


それは漆黒に輝くブラックカードだった。



「これはガイアへの土産や、君たちの滞在に必要なものを調達できるようにと。好きなだけ使いなさい」



エリアス様の言葉に、私は思わず「すごい!」と声を上げた。


ブラックカードって!あの、限度額なしって言われる伝説のカードじゃない!?


(って言っても、ルシアン様は魔王だし、お金には困ってない…のかな?いや、でも日本の物価は知らないだろうし、これは助かる!)



しかし、カスパール君は首を傾げ、「なんだこれ?」と疑問符を浮かべている。


他の皆も、ただ「すごいカード」としか思っていないようだった。


ま、魔法が使えない世界だから、何に使うのかピンと来ないよね、きっと。



「ああ、それと、佐倉花君の世界の言葉は理解できるようになっているからね。日本語も、北の某国の言葉もなんなら世界中の言葉全部だ」


エリアス様はさらりと言い放ち、その言葉に私たちは驚きを隠せない。


けれど、すぐに彼女は本題に戻った。



「では、私特製のルシアン君のアクスタは持っているね?」


問われた私は、鞄の奥底にしまい込んでいた黒い手作りのお守り袋を取り出した。


佐倉花が自分で刺繍した「ルシアン様ハート」の文字が歪ながらも確かに縫い付けられている。


中には、まばゆいばかりの光を放つルシアン様のアクスタが収まっていた。



「はい、ここに!」



私がアクスタを取り出すと、エリアス様はそれを手に取るように促した。


私はお守り袋ごと、アクスタをぎゅっと握りしめる。



「よし。それでは、目を閉じて、日本に帰ることを願ってごらん」


エリアス様の声が神聖な空間に響き渡る。


言われた通りに目を閉じ、強く願った。



(日本…私の家…)



瞼の裏に、日本の風景が鮮明に浮かび上がる。


よく通った通学路。


馴染みのコンビニ。


台所から漂う、お母さんが作る優しい夕食の匂い。


そして、庭にある剣道場から聞こえる、竹刀が打ち合う小気味良い音と、竹刀を構えるお父さんの、真剣な横顔。



すると、握りしめたアクスタが、ドクン、と心臓のように脈打つ感覚がした。


同時に、私たち五人の宝珠が、これまで以上に強く輝き始める。


ルシアン様の黒、アルドロンさんの緑、私の赤、ローゼリアちゃんの桃色、カスパール君の紫の宝珠が、眩い光の柱となり、私たちを包み込む。





一瞬、浮遊感に襲われる。


身体が光の粒になって、どこまでも吸い込まれていくような感覚。


空間が歪み、視界が真っ白になる。





***





そして、次に目を開けた時、私は見慣れた場所に立っていた。


目の前に広がるのは、土の匂いと、微かに道場特有の、清々しい香りが混じり合う、慣れ親しんだ風景。


足元に広がるのは、磨き上げられた木張りの床。


庭の楓やモミジの木々は紅葉がほぼ終わりを告げ、冬の訪れを告げるように冷たい風がそっと頬を撫でていく。



「ここ…は…」



思わず呟いた。


そこは、間違いなく、私の実家の庭にある剣道場だった。





「ただいま、日本!」



私の声が、懐かしい空気に吸い込まれるように響いた。



そしてエリアス様は私に視線を向けた。


その時、私の手には、いつの間にかスマホが握られていた。



「セラフィナ君、私への連絡はスマホでも宝珠でも構わない。何かあったらすぐに連絡するように」


そう言い残すと、エリアス様はふわりと光に包まれ、そのまま私たちの目の前から静かに姿を消した。



(えええええええええええええええ!?エリアス様、もう行っちゃうの!?)


なんだか、急にポンと放り出されたような気分だ。


まあ、神様だから連絡できるって言っても、ちょっとあっけなさすぎる!


でも、とにかく、私たちは日本に帰ってきたんだ!



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