表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
12/66

第四章(2):故郷の土を踏む、五感で感じる異世界


剣道場の凛とした空気が鼻腔をくすぐる。


ひんやりとしていて、でもどこか懐かしい木の匂い……ああ、神界から移動してきた今、ここは確かに私の故郷、日本だ!


そして、エリアス様の言う通り、日本語が何の違和感もなく口から出てくる。


すごい!



「みんな、大丈夫かな?」



不安げに、しかし期待に胸を膨らませて振り返ると、ルシアン様も、他のみんなも目を見開いて私を見ている。


え、なに、どうしたの?


私の顔になんかついてる!?





ルシアン様が、視線を私の髪と瞳に固定したまま、そっと手を伸ばしてきた。



「セラフィナ、髪が…」


彼の指先が、私の髪を優しく掬い上げた。



慌ててスマホの鏡で自分の姿を見て、私はハッとした。


私の燃えるような紅い髪は漆黒に、瞳も緑色から濃茶色に変わっていた。



これは、まさに佐倉花の姿だ。


うわー、ちょっと感動!


慣れてるはずなのに、なんだか新鮮!



ルシアン様は、そんな私を見て、蒼い瞳をわずかに細めた。


「これが佐倉花か」と、まるで宝物を見つけたかのように呟く。



そして、ふっと深い、ため息にも似た愛おしさを込めて私を見つめると、彼は私の手を取り、指先で優しくなぞった。


「どんな姿でも、俺にとっては最高の存在だ」


もう、ルシアン様のこういうところが本当にずるい!


私の心臓は止まりそうだ。


ドクン、と大きく脈打つ音が、自分にしか聞こえないのに鮮明だ。


私の『尊いゲージ』は完全に振り切れて爆発寸前!


推しが…私のためにこんなにも優しい言葉を…!





アルドロンさんは、「なるほど、これが佐倉花の姿か。髪と瞳の色は変わっているが、やはりどこかセラフィナの面影があるな」と感心したように頷いている。



ローゼリアちゃんは「わぁ、黒髪のセラフィナちゃん可愛い!」と目を輝かせ、カスパール君も「ふん、まあ、慣れてる顔だな」とぶっきらぼうに言いつつも、どこか安心したような表情を浮かべていた。



みんなは、髪や瞳の色は変わっていないのに、私だけが佐倉花の姿になっている。


きっと、私がこの世界の人間だからだろう。





すると、ルシアン様が、静かに周囲を見渡し、この見慣れない光景を観察しているようだった。



「…これが、セラフィナの故郷、か」



ルシアン様の声は、どこか感慨深げで、同時に微かな好奇心を含んでいた。


なんだか、彼が日本をどう感じるのか、ドキドキするなー。



アルドロンさんは、道場の壁や天井の構造に興味を惹かれたのか、しきりに周囲を見回している。


「ほう…この建材は、我々の世界のものとは異なるな。だが、頑丈にできているようだ」


賢者様らしい視点だね!



カスパール君は、剣道場を見回し顔をしかめた。


「ちっ…随分と質素な場所だな。こんなところで、一体何をするんだ?」


そのぶっきらぼうな口調に、ローゼリアちゃんがすぐに反応する。



「もう、カスパール君!でも、なんだか、ピリッとしていて、素敵な場所ね!ここで、セラフィナちゃんは剣を習っていたの?」


ローゼリアちゃんは、期待に満ちた眼差しで、道場の床に広がる板張りの空間を興味津々に見つめていた。


そうだよね!


この凛とした空気、私にとっては落ち着く場所だけど、異世界から来たみんなにとっては、新鮮な空間なんだろうな。



これから、もっと色々な日本のこと、教えてあげなくちゃ!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ