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でーすとぴあ!  作者: 昼咲月見草


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2/5

楽木坊羽衣(♂)

 日本国初代大統領は、激戦の末、楽木坊羽衣(男・35才)と決まった。


 羽衣は20年以上前に廃村が決定した、豪雪地帯の農村の出身である。

 6才で両親が借金を抱えて心中。

 父親は日雇いの作業員。母は工場の派遣のバイトで生計を立てていた。

 幼馴染みだった2人は何もない村を出て東京へとやってきて、何もないままその日暮らしを始め、無計画に子供を作り、貧困の中にささやかな幸せを見つけた。

 だが大人が生きるだけでも人生には金がかかる。まして子供がいれば。

 金、金、金、全てにおいて金が必要な都会で、地縁のない彼らの生活が破綻するのは簡単だった。

 

 貧乏暇なしと働き続けて、父親が不注意でケガをして、収入が減ったある日を境に、楽木坊家は壊れ始める。


 それはとても簡単な、当然の事だった。




 借金の相続を拒否して、羽衣は両親の故郷の村に引き取られた。

 子供は羽衣を含めて数人。

 あとは年寄りばかりで、それも年々減っていく。

 ある年、インフルエンザが流行った事で村の人数は激減、羽衣の祖父母も親族も多くが亡くなり、村は廃村となった。


 羽衣は村から少し大きな街へと移り、孤児院へと入る。

 そして学校を卒業、父親と同じ日雇いの作業員となった。


 毎日毎日働く。

 趣味も友人もなく、ただ食べて寝て生きる。

 それだけのために働く。

 社会の底辺で、目立たず、ひっそりと、ただ生きて死ぬ。

 風邪でもひけば、病院にも行けず薬など買えず、看病してくれる誰かもいるはずもなく明日にでも死んでしまえる、そんな人生を過ごしていた。


 彼がある日、宝くじを買ったのはなんとなくだった。


 銀行を出たら、普段俯きがちな彼の前に雪が降ってきて、故郷の村を思い出した。

 空を見上げてしばらくぼんやりしたあと、前を向いたら宝くじ売り場が目に入った。

 ただそれだけ。

 ほんの短い間、幸せだった頃の記憶を思い出した。

 だから少しだけ嬉しくなって、宝くじを買ってみようか、そう思った。

 ただそれだけの事だった。


 この時買った宝くじが大当たり。


 羽衣は一夜にして大金持ちとなり、そのあり余る金で彼がやった事。

 それが大統領選への立候補だった。








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