多様性の目覚め?
「最近、調子を崩してたんだって?
そんな貴女に! 元気をお届けしたい!!」
なんだか鬱陶しそうなのがきたわ。
「………」
「喋るのも億劫なんて…なんて儚げなんだ! そんな君もとても魅力的だけれど…」
黙ってるとカースケは一人で永遠と喋り続けそうね。
「今日はいっぱい引き連れてどうしたの?」
木陰で休んでいるところに鴉が数羽やって来たと思ったら、カースケだけが永遠と喋りだしたわ。
黙って聞き続けるのもダルいし、私が話しかけないとカースケの独演会は終わりそうにもないから、話の途中でも構わずさっさと用件を尋ねることにするわ。
「そう!君に元気を届けたい!! 最近ますます気怠げな君に笑ってもらおうと、ちょっとした出し物を用意したんだよ!ぜひ観ておくれ!」
もう体調は良いし、気怠いのは暑いからよ。
それに、なんだか芝居がかったカースケの言動がわたしをますます気怠げにさせてくるわ。
まぁ、でもわたしを励ますために出し物をわざわざ用意してくれたというのなら、観てあげてもいいかもね。
「そう、わざわざありがとう。」
「今日は我が一族による鳴き声比べをお届けしよう!」
「? 全員鴉なの?」
確かに大きさや体のフォルムはほぼ一緒だけど、真っ黒い鴉だけじゃなくて、白いのや白と黒のぶちの鳥も混ざってる…全員…鴉?
「そうだとも!
全員が我が一族!全員が誇り高い鴉だとも!
多様性の時代だからね!どんな鴉だろうとも迫害されずに生きていける!その事こそが我が一族が気高い理由だとも!!」
うん、やっぱりいつもより更に言動が芝居じみて鬱陶しいわ。
「では、早速お披露目しよう~」
カースケが片羽を広げてお辞儀をしたら、カースケの後ろに並んでいた鴉が一羽ぴょんと前に飛び出してきたわ。
カースケと同じように片羽広げてお辞儀をしてから
「カァ〜 カァ〜」
…いたって普通ね
「まぁまぁ、先ずはどノーマルから!」
最初に鳴き声を披露した鴉がぴょんと後ろに戻ると、次の鴉がぴょんと前に飛び出してきた。
「アホぉ~ アホぉ~」
…わたしを励ましてくれるって言わなかったかしら………!?
わたしの微かな疑問をよそに次々に鴉たちの鳴き声が順番に披露されていくわ。
「ぱわぁ〜 ぱわぁ〜」
…なんとなく気が抜けるわね。
「にゃ にィなゃ〜」
鴉って猫マネもできるのね。新しい発見だわ。
「クァっ クァ〜」
鴉…白いけど鴉って言ってたわよね?
「ア〜 ア〜 ア〜わんっ」
…白と黒のぶちらしい鳴き声って事でいいのかしら?
鴉が多様性に目覚めてるのがよく分かったわ。
貴方もたまには鴉の鳴き声に耳を傾けてみるのも面白いかもね。多様性に目覚めた鴉を発見できるかもしれないわよ。
楽しい時間を過ごしてね。
それでは ごきげんよう。




