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三種の神器?

 お母さんが「おさんかいほう」とやらに行っている間に、もう一人のお兄ちゃんに三種の神器とやらを買ってもらったそうなの。



 その三種の神器とは


「あっぷるうぉっち」


「あいふぉん」


「あいぱっど」


 の三つだそうよ。



 何が凄いのかわたしには分からないけれど、

お兄ちゃん曰く


「俺にはおふくろに説明するのはムリだから、買わなかったのに……。」


 扱い方がとても難しいものなのかしら?


 でも、お母さんは約一ヶ月間、もう一人のお兄ちゃんの家にいて、説明は受けてきたって言ってたわ。


 時計は見れるみたいだもの。時計の用は足しているわよね。


 


 そうは言っても、お母さんがお兄ちゃんに使い方を訊いているわ。


「コレ、どうやって電話かけるの?」


「……電話のアイコンがあるだろ? その絵をタップ……押して、……そう、そうしたら、連絡先が出てくるから、……兄貴がよく使うリストは入れてくれてるんだろ?……そしたら、こっちを開いて、受話器のマークのを押したら、かかるから! 」


「電話を受ける時はどうするの? 電話が変わっちゃって、何がナニやらさっぱり分からないわ。」


「兄貴に使い方教えてもらってきたんだろ?」


「そうよ。でも、あの人も忙しいし、子どもは生まれたばかりだし、何度もは聞けないじゃない。」


「俺だって忙しいんだけど……。」


「ちょっとぐらい、いいじゃない!」


「……。」


 次の日には


「ラインってどうするの?」



 そんな調子でお母さんが帰ってきてから、一週間ぐらいは朝も昼も一時間づつぐらいお兄ちゃんはお母さんに使い方をレクチャーしていたわ。


 お兄ちゃんはぶつぶつ言うわりには面倒見がいいのよね。



「もう! 自分で訊いてきといて、聞く気がないんだから! 分からないって……最初から理解する気がないだろう!! 」


 お母さんに前の日と同じことを訊かれて、お兄ちゃんがお姉ちゃんに愚痴っているけれど、お母さんからも


「色々いっぺんに言われたって分からないのよ!!」


 なんてお母さんの愚痴を毎日のように聞いているお姉ちゃんは


「一度に二つも三つも言われると混乱されるみたいよ。 まとめて説明したら早そうだけど、結局、二度手間になるから、ひとつづつ簡潔丁寧に説明するのがいいんじゃない?」


「はぁぁ、だから今まで買わなかったのに……。」


「お母さんが基本的な使い方に慣れたら、後は子どもたちが遊びながら教えるわよ。」



 ぶつぶつと言うお兄ちゃんに対して、子どもたちは


「おばあちゃんの所にもiPadが来たの!?

 やったぁ!!」


「ユウ、あなたが遊ぶための物じゃないのよ!」

 

「うん! ちゃんと許可は取るよ!」


「当然です。 おばあちゃんに使い方をアオもユウも教えてあげてね。」


「はぁーい!!ユーチューブは入ってるよね?」


  

 子どもたちは三人ともご機嫌なよう。




 それにしても、使い方一つに一喜一憂して、大騒ぎで大変ね。


 そうまでして必要な物なのかしら?


 人は色々な物を持っているけれど、煩わしそうなモノも多いようね。

 

 人って、つくづく不思議な生き物だわ。



 


 たいていお母さんとお兄ちゃんの間に立つことになるお姉ちゃんがアオにナニやら話しているわ。


「昔、まだお母さんがお父さんと結婚する前に読んだ記事に、「年輩者に十回同じ事を聞かれても怒らずに、十一回でも教えるように。」って、書いてある記事があったの。 年を重ねていくと、今まで習ったことと、今までの想い出で記憶がいっぱいになるから、新しいことが入り難くなるんだと思うの。 だからね、アオ、あなたが大人になって、お母さんがおばあちゃんになった時に、お母さんが同じことを何回も繰り返し訊いても腹を立てずに教えてね。」


「お母さんもそうなるの!?」


「なるわよ。誰だって年をとるもの。すぐよ、すぐ!」



 アオがビックリしながらお姉ちゃんの話を聞いているわ。




 わたしはりっぱなレディ。


 今までにたくさんのことを学んできたし、すてきな想い出もたくさんあるけれど、新しいことを覚えるのは不得意ではなくてよ。


 まだまだ、たくさんのことを学び、レディの品格に磨きをかけるわ。


 もちろん、すてきな想い出だって、これからも増えていくでしょうね。


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