ごちそうも…
いつも食べている粒タイプの乾いたごはんだけではなくて、缶詰めのごはんも時々食べるの。
いやいや病院に連れて行かれた後とか、病院に行ってぐったりした後とか、点滴や注射をがんばった後とかね。
いつものごはんに、缶詰めのしっとりしたごはんを混ぜてくれるのだけれど、きれいにしっとりとした缶詰めごはんだけを食べるの。
その後で、いくらお姉ちゃんを見つめてもしっとり缶詰めごはんが出てこない時には、お皿に残っている、いつもの乾いたごはんを食べることもあるわ。
「いくら混ぜても、ポンはきれいに缶詰めのごはんだけ食べるんだね。」
お姉ちゃんがとても感心しているわね。
そう! 手は使わずに、舌だけで上手に缶詰めごはんと粒ごはんと分けて食べることができるのよ。
わたし りっぱなレディですもの。
舌の使い方もバッチリよ。
貴方はできて?
人に真似なんてできないでしょ?
そんなちょっとご馳走な缶詰めごはんだけど、これで続けて三食目。
いくら大好きなごはんとはいえ、ちょっと飽きてきたわ。
お姉ちゃんをチラッと見ると……
「ごめんね。 いつものごはん、注文してもらってるんだけど、まだ来ないんだって。しばらく、缶詰めごはんだけになるけど、食べてね?
缶詰めごはん好きだよね?」
好きだけどぉ……
毎食だと飽きるわよねー。
ご馳走もそれが毎食なら、苦痛に変わるのね。
新しい発見だわ。
わたしは十七才のりっぱレディ。
まだまだ新しく知ることも学ぶこともあるみたい。
レディに磨きがかけられるというものね。
ますますわたしの魅力が奥ゆきも増して光り輝いてしまうわ。
眩しくても、わたしの魅力をしっかり瞳と記憶に焼きつけてね。
病院に行ったら、まだ、さっぱりごはんは来てなかったらしいわ。
活性炭配合の特別仕様らしいから、ちょっと時間がかかるのかしら?
お姉ちゃんが看護師さんに勧められて、違う味の缶詰めを買ってくれたけれど……
……やっぱり、缶詰めは缶詰め。
いつものさっぱりごはんが恋しいわ。
人が白いごはんばっかり食べるのって、きっとこういう理由だったのね。
毎食、毎食、よく飽きないわねって、思って見ていたけれど、味の濃いものだと飽きちゃうのね。柔らかいモノもたまに食べるから美味しいんだわ。
柔らかいモノばっかりだと、歯も汚れちゃうし……レディとしては身嗜みに余計な手間がかかっちゃう。
もちろん、レディとして、自分の身嗜みに手抜きなんてしないけれどね。
ごはんが柔らか過ぎると、歯だけではなくて舌もいつもより汚れちゃうでしょ?
毛づくろいしにくいのよねー。
いつもより、のども乾いちゃうし……。
ああ、いつものさっぱりごはん、早く来ないかしら。




