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追いかけっこ
お兄ちゃんがわたしを追いかけて来たわ。
それも、分厚い手ぶくろをはめて。なんでも、わたしに引っ掻かれても大丈夫なようにですって。
不粋以外のナニモノでもないと思うのだけどね。
まぁ、ともかく、階段を駆け上がり、奥の部屋に追い詰めたつもりのお兄ちゃんと一度、正面から見つめあってから、お兄ちゃんの横をサッとすり抜けたわ。
お兄ちゃんが慌ててわたしを追いかけるバタバタとした足音を後ろに聞きながら、階段を機嫌よく降りたの。
自然と足取りも軽くなるものね。
玄関まで来たら、お姉ちゃんがいたの。
「あら? ポン。」
そう言ったお姉ちゃんにひょっいといとも簡単に抱えあげられてしまったわ!
なんてこと!
あんなに必死なお兄ちゃんは囮だったというの!?
情け無さ過ぎて、抱えられたわたしはだらんと伸びちゃう。
「えーー。 せっかくグローブまではめたのに……。」
階段を降りてきたお兄ちゃんがお姉ちゃんに抱き上げられ、伸びきったわたしをみてちょっと不貞腐れてるわ。
「ふふふ、ごめんね?」
お兄ちゃんはなんだか面白くないみたいね。
わたしも面白くないわ。
お姉ちゃんひとりがご機嫌で、ご機嫌なお姉ちゃんに今日も今日とて病院に連れて行かれてしまったわ。




