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旅立ち

 「これがオムツ。ペット用のはほら! おしりにしっぽを出せるように穴があいているのよ。可愛いわよね。」


 お母さんがお姉ちゃんにペット用のオムツを見せているけれど、断じて、わたし、使ったことはないの!!


 わたし、りっぱなレディですもの。


 自分の始末は自分で出来るわ。


 わたしの体調を心配し過ぎたお母さんはちょっと先走って、色々と準備し過ぎたみたいね。


 わたしにはオムツなんて必要ないのに!



「かわいいですね。デザインも可愛い。 ポンすけ、使ったことあるんですか?」


 無いわよ!!


「まだ無いんだけどね。必要になるかも知れないじゃない?」


 無いわよ!!!


「そうですね」


 お姉ちゃんも同意しないで!!!!



「それで、こっちはシート。キャリーバックの底に敷いたり、吐きそうな時に下に敷くようよ。間に合わなさそうな時には、たたんだまま下に置いていいから。」


 お母さんはオムツやシートの他にもわたし用のウエットタオルや新しいご飯、病院の診察券に一ヶ月分の診察代なんかをお姉ちゃんに預けていたわ。


「病院は連休明けから週ニ回でお願いね。缶詰めのごはんは後で持ってくるわ。」


「はい。 毎日、病院通い大変でしたね。」


 まったくだわ。散々な毎日だったの。


「ホントよ! 三週間もよく通ったわ。来週からは何とか週二日にしてもらったから、忙しい中、迷惑をかけるけどよろしくお願いしますね。」



 お母さんはそう言って、ごはんとお水のお皿やわたしの身の周りのアレコレをお姉ちゃんに預けて出かけて行ったわ。

 なんでも「おさんかいほう」とやらに行かなきゃいけないんですって。

 わたしに向かって、しきりに


「帰ってくるまで生きててね! 死なないでね!」


 って、繰り返し言ってたけど、毎日病院に連れて行かれたおかげか、体調は前より随分ずいぶんと良いのよ。

 ごはんも食べれるようになったし、吐くことも少なくなったしね。

 毎日の散歩と見回りもほぼ今まで通りのルートに戻したわ。

 

 心配し過ぎるお母さんの方がどうにかなっちゃいそうだわ。

 わたしは大丈夫だから、お母さんも気をつけて行ってらっしゃいね。


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