仕方がないのかしら?
ピューーーー
お母さんが口笛でわたしを呼んでいるわ。
前は呼ばれて、でて行くこともあったけれど、今は名前を呼ばれても、口笛で呼ばれてもでて行かないわ。
だって、捕まえられて、必死な抵抗もむなしくキャリーに押し込められ、病院に連れて行かれてしまうんだもの。
絶対に出て行かないの。
お母さんは困り顔だけど、仕方ないじゃない?
背中や首の後ろに針を刺されるのよ!
絶対、断固拒否よ!!
朝からお母さんが出かける準備をしている時にはさっさと外に出ることにしたの。
わたしはりっぱなレディですもの。
お母さんの行動を見ていれば、おのずと分かってくるものよ。
ちゃんと学習できるわ。
病院に連れて行かれる時間もね。
病院までは車に乗ってから、しばらくかかるから、お日さまがいちばん上まで昇ってから帰ると、病院には連れて行かれないの。
「もう、午前中の診察の受付に間に合わない……」
ふふふ、お母さんが肩を落としているけれど、わたしの勝ちね!
お昼ごはんの後は、お母さんの膝の上で休もうかしら。
揺りイスに腰かけて、出かける準備をしたままのお母さんの膝の上で、優しく心地いいリズムで撫でてもらいながらうとうとしていたら、いつの間にかお母さんもわたしを膝に乗せたまま寝てしまったみたい。
しばらく気持ちよく休んでから、お母さんが目を覚ました気配で、わたしも目覚めたわ。
お母さんは時計を見て
「ちょうどいい時間ね。」
そう呟いたの。
そうしたら、そのままわたし、キャリーに入れられてしまったの!
なんてこと!!
お母さんの膝の上は罠だったのかしら!?
あの気持ちのいい時間が罠だったなんて……
わたしの帰る場所はお母さんのところだし、たまには小鳥やネズミを捕まえて食べたりもするけれど、それはおやつなの。
わたしのご飯はお母さんが用意してくれるものなのよ。
だから、どんなに病院が嫌でも、毎日、お母さんのところに帰るわ。
……それならもう、病院に連れて行かれちゃうのは仕方のないことなのかしら……
……でも、やっぱりイヤぁぁぁーーー!!!




