ついに……
必死な抵抗もむなしく、キャリーに入れられてしまったわ。
「ポンはそんなに足が開いたのね。」
お母さんがわたしを見て感心しているけれど、猫だって開脚できるのよ!
わたしはりっぱなレディだから、普段は人前で開脚なんてしないだけなの!
精いっぱい、がんばったのに……結局、キャリーに入れられてしまって……もうこの世の終わりのような気分。
情けない鳴き声も無意識に出てしまうというものよ。
わたしの情けない鳴き声を聞いてもお母さんは無情にもキャリーから出してはくれない。
キャリーの次は車よ。
わたし、車に乗るのって嫌いなのよね。
キャリーに入れられた時にしか車にはのらないもの。
だから、車好きになれる訳がないわ。
あぁぁ、ドナドナされちゃう気がしてきたわ。
家に帰りたい。
一度、キャリーに入れられて、車に乗せられちゃうと、もう、家に帰るまではキャリーから出たくないの。
分かるでしょ?
キャリーから出たらどんなことをされちゃうか……
とてもレディの口からは言えないわ。
病院って、無遠慮に猫のことを撫でまわしたり、体重を晒したり、針で刺されたり、気持ちの悪い薬を打たれたり……本当にイヤなところなのよね。
おまけに、今日の病院はまるで蚊の養成所みたいだったわ。
ちゅうちゅう ちゅうちゅう、わたしの血を取るのよ。
なんなのかしらアレ。
おぞまし過ぎるわ。
おまけに注射も二回もされちゃうし、それに一度はチューブで繋がれて身動きもされなくされちゃったの。
お母さんは必死にわたしを応援してくれたけど、それなら早く連れて帰って欲しいの。
やっと、全部終わって、わたしもお母さんもクタクタだったわ。
なのに、さらに追い撃ちをかけられたの!
「入院です」
なんですって!!!
病院に独り残されるのなんてイヤよ!
絶対にイヤ!!!
わたしの気持ちが通じたのか、お母さんはわたしを家に連れて帰ってくれたの。
ありがとうお母さん!
あんな所にいたら死んじゃうものね。
さすがに今日は見回りも何もせずにゆっくりと休むことにするわ。
貴方も身体は充分に労ってね。
それでは、ごきけよう。




