第六話 友情
毒を盛られ(自分から食べたともいう)てから何日目のことだろうか。熱は引き、随分体が楽になった。しかし、神様はゆっくりさせてくれないようで、慌ただしくオーレッドが公爵邸にやって来た。
「ペネ!!毒を盛られたって、大丈夫か!?」
「あら、久しぶりねレッド・・・」
正直もう立ち上がれる程には元気なのだが、医者曰く今は安静第一とのことなので、ベッドから出ることなくオーレッドに挨拶をした。
「毒なら大丈夫よ。ジギタリスだから、耐性あるもの」
「・・・そういうことでもねーだろ」
「いいの。それに、今回は毒だってわかってて食べたから」
「は!?わざと!?」
ペネロペからの衝撃的な告白にオーレッドは目を見開き、声を上げた。外にいる使用人にでも聞かれると困るので、静かにしてくれとペネロペは諭すが、若干混乱しているようで「どういうことだ!」と詰め寄ってくる始末。
「どういうことも何も、これは殿下への宣戦布告なの」
「あー、まぁ・・・。阿呆面の割に色々考えてはいるお前が、意味なくこんなことをしたとは思わねぇ」
「そうよ。それに、何事もインパクトが大切じゃない・・・っていうか阿呆面って?」
「・・・体張るのも暫くはするなよ」
ペネロペのツッコミを思いっきりスルーすると、オーレッドはギュッ・・・と特大枕に身を預けるペネロペを抱き締めた。
ーーへ!?
「俺だって、心配ぐらいはするんだからな」
何が起きているのか。心臓がドクドクして止まらなかった。汗もかくし。
ーーこれって、どうすれば!?
恋愛経験皆無のペネロペには刺激が強かったのか、しかしオーレッドがそれに気がつく様子はなく、抱き締めたままペネロペからの返事を待っているようで。
「あ、あの・・・わかったわ、だからちょっと離れて・・・」
「ああ・・・悪い」
軽く体を押し返すと、ハグが気にくわなかったのかとオーレッドはすんなりと離れてくれた。
焦る自分に対し、ごく何でもないように受け流すオーレッドは同い年なのにやはり自分より大人びているな。とペネロペは少しして冷静になった頭でそんなことを考えた。
「で、お前どんくらいで復活しそうな訳?」
「別に、あと一週間もあれば元通りじゃない?」
「じゃあ、今から一週間後開けとけ」
「?」
「いい奴に会わせてやる」
その言葉にペネロペは首を傾げた。
「誰なの?」
「ヤバい奴ではないから安心しろ。普通の貴族令嬢だから」
「本当?」
大丈夫なのかと半目でオーレッドを睨むペネロペは完全にオーレッドを疑っていた。
「大丈夫だって。まぁ、そういう訳だから。早く治せよ」
オーレッドはポンポンと優しく頭を撫でた。思わず手を払いのけ、枕に顔を埋めたペネロペの顔は真っ赤である。
ーーな、何でこんなに動悸がするのかしら・・・!?
初めてのことに気が動転するペネロペは暫く枕から顔を上げることが出来なかった。




