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7.

「何気にあの技、サイアノ自身も結構消耗するんだよねぇ」


 空中に現した映像を眺めつつ、ボクは頬杖を突きながらそう言った。そこでは、サイアノが今まさにカナトに敗北する瞬間が映っている。


「サイアノが本気出しちゃった時はちょっとハラハラしたけど、うん、カナトは充分な実力をつけたみたいだね」


 あそこまで至るには、並大抵の努力では出来ないだろう。本当は、もう少し用意していたプランがあったのだけど、余計な準備だったらしい。


「ううん、愛の成せる技ねぇっ!」

「恥ずかしくなるのと同時に、罪悪感が振り切れるどころの騒ぎじゃないけどね」


 いつも通りボクは玉座に座り、その背後に、今日はソルフェリーノが控えている。どうやら香水の類をつけているらしく、バラの香りが薄く香ってきた。


「――でも、それならもう、やめたらどうかしら……?」

「うん?」

「だって、彼はアナタのためにここへと向かっている。一方のアナタは、彼を騙していることに引け目を感じているのよぉ? だったら、やっぱり――」

「うるさいな。余計なお世話だよ」


 ボクはソルフェリーノに、ハッキリとそう返した。


「ボクにはボクで、カナトにしてあげなきゃならないことがある。これは、そのために必要なことなんだ。だから、むしろ憎まれるくらいでちょうどいいんだよ」


 可愛さ余って憎さ百倍、とも言うしね。是非とも、カナトにはこれ以上ないほどボクを憎んで貰いたいところだ。


「手に入れて来たわよ、ヤキソバパンなるモノを――ッ」


 と、シリアスムードを元気いっぱいぶち破ってくれたよこの踊魔王。なんで扉壊して入って来たんだろうね?


「へぇ、どれどれ? 見せてもらおうじゃないか」

「『そば』なる東の国の食べ物を焼いて、パンっぽい形にしてみたわっ」

「…………」

「どーよ!」

「オチが中途半端で面白くない。やり直し爆破」

「なんでびょォおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!?」


 ――そう、憎んで貰わなければ。


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