80話 「決意」
失ったものは、
きっとこれからも消えない。
それでも、
もう一度誰かと未来を作りたいと思えた。
プレオープンが終わった夜。
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店の中には、
まだ少しだけ人の温度が残っていた。
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笑い声。
コーヒーの匂い。
開け閉めされた扉の音。
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全部、
さっきまでここにあった。
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REHARBOR。
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ようやく、
“店”になり始めていた。
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蒼は窓際の席に座り、
ぼんやり店内を眺めていた。
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澪はカウンターの中で、
片付けをしている。
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グラスを洗って。
布巾で拭いて。
レジを確認して。
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時々、
疲れたように肩を回す。
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その姿を見ながら、
蒼は静かに息を吐いた。
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「疲れた?」
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澪が聞く。
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「まぁまぁ」
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「澪は?」
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「めっちゃ疲れた」
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「でも楽しかったなぁ」
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そう言って笑う。
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蒼も少し笑った。
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「カウンター、思ったより狭かったな」
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「ね」
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「あと導線もちょっと変えたい」
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「コーヒー出す時詰まるもんな」
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二人で、
静かに改善点を話す。
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でも。
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蒼の意識は、
途中からあまり会話に入っていなかった。
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澪が、
棚の整理をしている。
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何気ない横顔。
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でも、
蒼は思う。
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この人、
ずっと自分を前に進ませてくれてたなって。
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離婚して。
蓮とも離れて。
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人生が止まったみたいだった頃。
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海だけが、
全部忘れさせてくれる気がしていた。
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そんな時に再会したのが、
澪だった。
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「自分の人生大事にしろよー!」
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あの日。
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蓮の事を思い出して、
どうしようもなくなっていた時。
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澪は、
明るく笑いながらそう言った。
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でもあれは、
ただ励ました訳じゃない。
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“父親だった自分”を、
否定しないまま前へ進けって言葉だった。
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そして。
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「私も蒼と一緒に背負うよ」
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蓮ともう会えないと決まった時。
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蒼は、
全部忘れた方が楽なんじゃないかと思っていた。
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でも澪は、
静かに首を振った。
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「無かったことにするんじゃなくて、背負うんだよ」
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「それが親なんだと思う」
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その言葉を、
蒼は今でも覚えている。
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あの時。
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救われた、
と思った。
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蓮の存在ごと、
父親だった自分ごと、
澪は受け入れてくれた。
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そして。
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楓の言葉も浮かぶ。
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「一緒に住んで、一緒に店始めるんだからさ」
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「それくらいの覚悟あるって事でしょ?」
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あいつは、
昔から変に核心を突く。
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蒼はあの時、
曖昧に笑った。
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でも本当は、
もう分かっていた気がする。
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この先も、
澪と居たい。
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家族になりたい。
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そう思っていた。
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澪が振り返る。
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「……なに?」
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「さっきからずっと見てる」
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蒼は少し笑った。
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「いや」
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「頑張ってんなと思って」
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澪が少し照れたように笑う。
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「そりゃ頑張るよ」
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「夢だったし」
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夢。
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蒼は、
その言葉を静かに飲み込んだ。
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この店も。
この人も。
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ちゃんと、
守りたいと思った。
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次の日。
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朝。
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窓から入る光が、
まだ少し柔らかい。
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澪はソファで、
オープン用のメニュー表を見ていた。
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蒼はコーヒーを飲みながら、
スマホを触っている。
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でも、
落ち着かない。
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「今日どうする?」
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澪が聞く。
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「んー……」
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蒼は少し考えてから言った。
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「ちょっと用足ししてくるわ」
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「珍しいね」
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「まぁな」
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澪は特に気にしていない。
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蒼は、
少しだけ安心した。
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昼過ぎ。
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港町の小さなジュエリーショップ。
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蒼は入口の前で、
少し立ち止まった。
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なんか、
慣れない。
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でも。
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今逃げたくはなかった。
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扉を開ける。
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「いらっしゃいませ」
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落ち着いた女性店員が頭を下げた。
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蒼は少し緊張しながら言う。
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「あの……指輪見たくて」
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「はい、ご婚約指輪でしょうか?」
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その言葉に、
蒼は少しだけ照れた。
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「……まぁ、そんな感じです」
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店員は柔らかく笑う。
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「おめでとうございます」
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まだ、
プロポーズもしていない。
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でも。
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その言葉を聞いた瞬間、
少し現実になる。
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ケースの中に、
指輪が並んでいた。
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蒼は、
澪の手を思い出していた。
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コーヒーを淹れる手。
海上がりに髪をまとめる手。
服を畳む手。
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その全部を思い浮かべながら、
一本の指輪で視線が止まる。
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派手じゃない。
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でも、
長く付けられそうな指輪。
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「こちら人気ですよ」
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店員が言う。
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「シンプルなので、ずっと付けられる方多いです」
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ずっと。
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その言葉を聞いて、
蒼は少し息を吐いた。
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「……これ、お願いします」
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店員が頷く。
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「ありがとうございます」
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「完成まで一週間ほど頂きますので、また受け取りに来てください」
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「はい」
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店を出る。
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海風が吹いていた。
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蒼は、
少しだけ空を見上げる。
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怖くなかった。
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もう、
失う未来ばかり考えていない。
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この先を、
ちゃんと澪と生きたいと思っていた。
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夕方。
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家へ帰ると、
澪が資料を広げていた。
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「おかえり」
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「ん」
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「何してたの?」
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蒼は少しだけ間を空ける。
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「んー……他のサーフショップ見たり」
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「へぇ」
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「どうだった?」
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「まぁ普通」
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「なにそれw」
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澪が笑う。
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蒼は、
その顔を見ながら思う。
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あと少し。
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「いよいよ来週だね」
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澪が、
少し嬉しそうに言った。
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「だな」
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グランドオープン。
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そして。
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蒼の中では、
もう一つの始まりも静かに動き始めていた。
覚悟って、
大きい言葉に聞こえるけど。
本当はきっと、
誰かと居る未来を
自然に選ぶ事なんだと思う。




