表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
波待ち。  作者: 阿部兄弟
4章 愛と代償

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/51

41話 「解錠」


ほどけないと思っていたものは、


案外、


静かに外れていく。

あれから、


特に何も起きていない。




職場の人からも、


何も聞かない。




(……気のせいだったのかな)




澪はスマホを開く。




「明後日波良いけどどーする??」




少しして返信が来る。




「明後日、親父の墓参りだ」




「そっか」




そう打って、


消す。




少し悩んで、


送り直す。




「私も行きたい」




送ったあと、


少し後悔する。




(……図々しかったかな)




返信が来る。




「別にいいよ。妹も来るけどいいか?」




「いいよ!会いたいし!」





あの時、


決めた。




この人の過去にも、


寄り添うって。





次の日。




楓がアパートに来る。




「お兄ちゃんただいまー」




「ちょっと荷物いい?」




「おう、おかえり」





バッグを置きながら、


部屋を見渡す。




「……土曜の昼間だってのに何してんの?」




「ファッションショー?」




「いや、この間買った服着てただけ」




「へぇ〜?」




ニヤつく。




「つーか明日、一人来てもいい?」




「え?誰?」




「いや別にいいんだけど」




「誰?」




「彼女」




「……は?」




「彼女!?」




「彼女できたの!?」




「お兄ちゃんが!?」




「やっぱりー!!」




「この間もおかしいと思ったんだよ!」




「人の心忘れてなかったんだ〜良かったぁww」




「どういうことだよ」




「えー楽しみー!」




「早く明日なんないかなぁ」




「あ、だから服とか気にしてたんだぁ?」




「わかりやす〜」




「はいはい」





休憩中。




澪のスマホが鳴る。




「妹も楽しみにしてるって」




「え!?言ったの!?」




「言った」




「私も楽しみ!」





「……うわー」




「緊張してきたどうしよう」




「おっ、澪お疲れー」




「お疲れ様です!」




「え、なんか汗かいてない?」




「大丈夫?」




「あー大丈夫です!」




「何?彼氏とLINE?」




「出来たんでしょー?」




「しほちゃんから聞いたよー」




(……しほのやつ)




「あーまぁ」




「明日の予定とか色々〜」




「若いっていいね〜」




「あ!そうだそうだ」




「これ言おうとしてたんだ」




「そういえば昨日さ」




「浦部さんと会ったの」





澪の表情が止まる。




空気が変わる。




「……え?」




「何話したんですか?」




「んーなんかさ」




「もう吹っ切れてる感じだったよ?」




「僕も至らないところがどうのこうの〜って」




「その後、一ノ瀬さんには頼もしい人が居るから大丈夫ですね!」




「とか言ってたけど」




「言ったの?彼氏出来たこと」




「……言ってないです」




「連絡先も知らないし」




「え?」




「じゃあ何処かで見かけたとか?」




「この街狭いしなぁ」





店長の言葉が、


頭に入ってこない。





「んーでもさ」




「そういう事する感じには見えなかったけどなぁ」




「なんか一皮剥けた感じ?」




店長がパンっと手を叩く。




「ま!」




「これからの人生長いんだから!」




「先のこと考えようよ!」




「何かあったら私も居るし彼氏も居るんだからw」




胸をつつく。




「やめてくださいよぉw」




「大丈夫?澪」




「……大丈夫です!!」





私の周りには、


こんなにも良い人がいる。




だから、


大丈夫。





でも——




なんで知ってるんだろう。




(……蒼に聞いてみよっかな)





夜。




仕事終わり。




「今終わったー」




「おつかれさん」




「てか私の元旦那と蒼って知り合いとかじゃないよね?」




「違うよ」




「だよね」




「なんか私と蒼が付き合ってる事知ってるみたいだったからさ」




「あー言ったからかな」




「……は?」





着信。




一ノ瀬澪




「もしもし」




「もしもしじゃないわ!!」




「何!?言ったって!」




「話したの!?」




「あの人と!?」




「うるさいうるさい」




「何個も一気に質問すんな」




「……話したの?」




「あぁ」




「何話したの?」




「これからの人生邪魔するなよって」




「何でそれ言わないのよ!!」




「あーごめん」




「忘れてた」




「忘れるな!!」




「もぉ〜めっちゃ怖かったんだけど!」




「なんか見張られてる感じしたぁ……」




「もう大丈夫じゃねーか?」




「あの人も先見て頑張るって言ってたし」




「……そうなんだ」




「ありがとう。本当に」




「……え?」




「泣いてんの?」




「なんか安心したら勝手に出てきた〜」





電話の奥から声がする。




「あーお兄ちゃん彼女泣かせたぁ」




「……え?」




「妹!?」




「楓ちゃん!?いるの!?」




「いるよ」




「今日泊まる」




「先言ってよ!!」




「めっちゃ面倒くさい彼女だと思われるじゃん!!」




「あーごめん」




「忘れてた」




「そればっか!」




「……んじゃ明日ね!」




電話が切れる。





蒼。




ありがとう。




私の心の鎖、


全部なくなった。




なくしてくれた。





今は、


心の底から人生楽しもうって思える。





あの時、


パーキングで言ってくれた言葉の通り。





私はちゃんと、


私の人生を生きる。

誰かに救われることは、


弱さじゃない。




前を向けるなら、


それはきっと、


生きていく力になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ