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波待ち。  作者: 阿部兄弟
4章 愛と代償

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39話 「共有」

楽しいだけじゃ、


続いていかない。




だから、


隠さないでいたかった。



夜。




仕事終わり。




蒼は車を走らせながら、


携帯を耳に当てていた。




「でさ〜今日さ、店長またやらかしてて」




澪が笑いながら話す。




「いつも通りだな」




「ほんとそれw」





他愛もない会話。




でも、


それが心地いい。





「……あ、そういえばさ」




少しだけ、


澪の声が止まる。




「ん?」




「……いや、なんでもない」




「そうか?」




「うん」





少しだけ、


引っかかる。




でも、


蒼はそれ以上聞かなかった。





「てか次の休みさ」




「凪っぽいね」




「あぁ」




「サーフィンできなそう」




「まぁ自然相手だしな」





少しだけ間。





「……じゃあデートする?」




「……」




蒼が少し黙る。




「なんで黙るのーw」




「いや、なんか」




「デートって言われると変な感じだな」




「彼氏さん?」




「うるせ」





澪が笑う。





「どこ行く?」




「古着屋とか?」




「私アパレルだから選んであげるよ」




少し得意げに言う。




「……じゃあ楽しみにしてるわ」




「任せなさい」





電話を切る。





静かになる。





澪は、


少しだけ表情を落とす。





(……大丈夫だよね)





自分に言い聞かせるように、


小さく息を吐いた。





後日。




休みの日。




蒼が迎えに行く。





「おはよー」




「おう、おはよう」





車に乗る。





「なんかさ」




「サーフィンじゃないと変な感じするね」




「そうか?」




「うん」




「なんかデートしてるって感じ」





蒼が少しだけ照れた顔をする。





「古着屋どこ行く?」




「ここがいいとかある?」




「いつも行ってるとこ以外がいいかも」




「じゃあアーケードの方行くか」




「あぁ」





店に入る。





「これとかどう?」




「……あんま着ないから抵抗あるな」




「いや絶対似合うって」





ただ服を見ているだけ。




なのに、


不思議と楽しい。





「ズボンは?」




「今育ててる途中だから、なるべくこれ履きたい」




「なるほどね!」




「じゃあズボンはいいか〜」





「あ、待って」




「私も見たい」





結局、


澪の方が服を持っている。





「ありがとうございましたー」





店を出る。




「結局お前の方が買ってんじゃん」




「良い物に巡り会えたって感じw」




「気にしない気にしない」




「蒼も買えたんだし!」





「そしたら次、靴見よ!」





靴屋に入る。





革靴コーナー。




一瞬、


澪の表情が曇る。





正利。





頭をよぎる。





蒼は、


それを見逃さなかった。




でも、


何も言わない。





「あ!これとかよくない?」




「さっきのTシャツに合いそう」




「……あー、いいかもな」




「でしょでしょ!」




「可愛い〜」




「私も欲しくなってきたw」





「いいよ」




「一緒に買ってやる」




「え?」




「お揃いだけどいいの?」




「別にいいよ」




「それがいいと思ったんだろ?」





「……うん」




「じゃあ、お言葉に甘えて」





お揃いのスニーカーを買う。





店を出る。





「なんかさ」




「私たち高校生みたいw」





蒼が笑う。





「大人の青春だろ」




「歳なんて関係ねーよ」




「俺らにとって、それが今だったってだけだ」




「澪がサーフィン始めたのと一緒」





「なんか詩的〜w」





前から、


高身長の七三分けの男が歩いてくる。




澪は、


すぐに目を逸らす。





でも、


別人だった。





蒼は、


それも見ていた。





「……澪」




「この店入るか」





古い喫茶店。





席に着く。




「コーヒー二つ」




「かしこまりました」





少し静かになる。





「で」




「なんかあったのか?」




「……え?」




「今日会ってから変だぞ」




「この前の電話の時から」




「自分から言うまで待ってたけど」




「言わなそうだったから聞く」





澪が、


少しだけ苦笑いする。




「……鋭いね」





「前の旦那がさ」




「この間、職場の近くうろついてたらしくて」




「人違いかもしれないんだけど」




「それ聞いてから、なんかモヤモヤしてる」





「……そうか」




「なら尚更言えよ」




「ごめん」




「謝んな」





コーヒーが置かれる。





「とりあえず」




「今から言うことやれ」




「こういうのは初動が大事なんだよ」





蒼が、


静かにプランを話す。





「……なるほど」




「分かった」




「とりあえずやってみる」




「ありがとう」




「いいって」





少しだけ、


間。





「……こういうのも」




「大人の青春なのかもなw」




「やめてよ〜w」


_____


_____


嬉しいことも、


不安なことも。




分け合えるなら、


それはきっと、


ひとりじゃない。

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