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波待ち。  作者: 阿部兄弟
3章 交錯と距離

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35/38

35話 「意識」

変わったのは、


距離じゃない。




見え方が、


少しだけ変わった。


ショッピングモール。



蒼と澪が並んで歩く。




「こっちこっち」



澪が先に進む。




「秋服欲しかったんだよね〜」




「女の服って、みんな同じに見えるよな」




「蒼、パパと同じこと言ってるーw」




「モテないよ?w」




「別にモテようとしてねーよ」




「そう?」




少しだけ、


含みを持たせて笑う。




「私は色々考えてるけどね〜」




「……」




その言葉の意味を、


考えかけてやめる。





「あーこれこれ」




何着か手に取る。




「ちょっと着てくるね」




試着室へ消える。





しばらくして、


カーテンが開く。




店員と一緒に出てくる。




「どう?これ良くない?!」




「……普通だな」




「え?」




「似合っては、いる」




「最初からそう言えよ!」




店員が、


くすっと笑う。




二人が同時に見る。




「あ、すいません」




「仲良いカップルさんだなって思って」




「そんなー恥ずかしい〜」




澪は、


否定しない。





「あとこっちも着るから待っててね」




また消える。





もう一度、


出てくる。




「どう?」




「さっきの方がいいかもな」




「やっぱり?」




「私もそう思った」




「これにしよ!」




「すいません、これお願いします」




「はーい」





会計を済ませる。




袋を受け取る。





「ねぇ蒼」




「ん?」




「やっぱり私たちってカップルに見えるのかな?」




「……」




一瞬、


言葉が詰まる。




「まぁ……歳も同じだし」




「側から見たらそうなんじゃね?」




「本当は師弟関係なのにね〜w」




「……そうだな」




笑う。





でも、


さっきの店員の言葉が、


残っている。




否定しなかったことも。





「あー!」




「ここインスタで見たとこだ〜」




クレープ屋を指差す。




「ねぇ蒼も食べない?」




「食べる」




「食べるのかい!」





「いらっしゃいませー!」




「ただいまカップル割やってまして」




「カップルで2つ頼むと1個割引されるんですよ〜」




「よかったらどうぞ!」




「……」




「じゃあこのイチゴチョコひとつ」




「蒼は?」




「……あー、これ」




「バナナカスタードですね!」




「少々お待ちください!」





並んで待つ。





(今日はやけに……)




(周りに意識させられるな)





「お待たせしましたー!」




「have a nice day〜!」




クレープを受け取る。





「……」




さっきの言葉が、


頭から離れない。




カップル。




否定しなかった澪。





「あのさ」




「あのさ」




声が重なる。




「え、なに?いいよ先言って」




「……」




「私、クレープって美味しいよねって言おうとしただけだし」




「……ふん」




少しだけ、


笑う。





(分かりやすい)




先言っていいよって言いながら、自分で言うんだよな澪は。





「てか」




「てか」




再会したあの日と重なる。


あれから色々と変わったな。




「いいよいいよ!」




「私サーフィン何年やってるんですかって聞こうとしただけだしw」




「……そうか」





小さく、


息を吐く。





「このあと」




「ちょっと付き合ってくれよ」




「え?」




「いいけど」




「珍しい〜」




「行きたいとこある」





二人で車に向かう。





クレープのチョコが、


少しだけ溶けていた。


名前をつけた瞬間、


戻れなくなる。




それでも、


目を逸らさなかった。

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