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波待ち。  作者: 阿部兄弟
2章 波紋と余温

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17話 「揺情」

同じ朝でも、


過ごし方はまるで違う。



変わらない日常の中で、


少しだけ変わってしまったもの。



それに気づいているのか、


気づいていないのか。



ただ、


今日も一日が始まる。

朝、五時。




アラームが鳴る。




蒼は目を開ける。




止める。




起き上がる。




無駄な動きはない。




顔を洗う。




服を着る。




外に出る。




少し冷たい朝の空気。




車のトランクを開ける。




ボード。



ウェットスーツ。




慣れた手つきで積む。




家に戻る。




冷蔵庫を開ける。




アイスコーヒー。




そのまま口をつける。




一気に流し込む。




「……冷てぇ」




そのまま。




換気扇の下。




タバコに火をつける。




煙を吸い込む。




吐く。




静かな朝。




そのとき。




「……あ」




腹に違和感。




数秒。




「……まじか」




トイレへ向かう。




ドアを閉める。




座る。




タバコにもう一度火をつける。




煙を吸いながら、


少し顔をしかめる。




「……なんだこれ」




アイスコーヒーのせいか。




それとも。




——澪と会うからか




分からない。




でも。




少しだけ、


落ち着かない。




用を済ませる。




水を流す。




立ち上がる。




鍵を閉める。




外に出る。




車に乗り込む。




エンジンをかける。




低い振動。




朝が、動き出す。




海沿いの街。



まだ空は、完全には明るくなっていない。




アパートの一室。



カーテンの隙間から、


薄い光が差し込む。




——ピピピピピピ



アラームが鳴り続けている。




止まらない。




布団の中。



澪は、動かない。




数秒。




「……ん」




次の瞬間。




パッと目を開ける。




「……え?」




時計を見る。




「やば」




一気に起き上がる。




「やばいやばいやばいやばい!!」




布団を蹴るように出る。




昨日。



なかなか寝付けなかった。




気づいたら、三時。




そりゃ、起きれない。




洗面所。



顔を洗う。




鏡を見る。




「……最悪」




でも止まってる時間はない。




クローゼットを開ける。




服を引っ張り出す。




「これ…いや違う」




「これ…うーん」




何度も当てる。




「よし!これでいいや」




一度決める。




——あれ




「待って」




「これ、この間着てたやつじゃん」




少し固まる。




「……上だけ変えればいっか」




バンT。



スキニーデニム。




今日の自分に、ちょうどいい。




少しガチャガチャしてる感じ。




「まぁいいや!」




急いで着替える。




ボード。



ウェットスーツ。




まとめて持つ。




玄関。




靴を履く。




外に出る。




空気が、少し冷たい。




時計を見る。




「……あれ?」




約束の、10分前。




「出るの早すぎたかなぁ」




ぽつりと呟く。




少しだけ、落ち着く。




深呼吸。




静かな朝。




でも。




心だけは、


少し騒がしい。


理由は分からない。



ただ、


少しだけ落ち着かなくて、


少しだけ楽しみで、


少しだけ怖い。



その全部が混ざって、


心を揺らしている。



まだ何も始まっていないのに、


もう、いつもと同じじゃない。

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