これでもくらえ!
「これでもくらえ!」
ミーの突き出した両手の前に現れた金色の小さな魔法陣。それから燃えさかる火の玉が飛び出して、佇む木の人形に一直線に向かう。人形は動き始めるが、その動きは間に合わない。体で一番大きな的、胴体に火球は命中し、炎を撒き散らす。人形は炎に包まれ動きを止める。そして、その場に崩れ落ちる。
「きんもちいいーーーっ!」
ミーは体をくねらせながら喜びに浸っている。それ、僕のスキルと、マリンの魔法だから。
どうでも良いことだけど、昔から魔法を放つ時に「これでもくらえ!」と言うのが流行っているそうだ。もともとのこの言葉のルーツである西方語では「テイク・ザット・ユー・フィーンド」と言うそうだ。「これでもくらえ!」と言う言葉を知ってたら中級の魔法オタク、「テイク・ザット・ユー・フィーンド」という西方語を知ってるのはかなりの魔法オタクだという。僕はなぜか言葉に関しては頭の中に知識があるから知ってるが、ミーがなぜそんなマニアックな言葉を知ってるのだろうか?
僕は一瞬で、その下らない事を考えて、反射的に収納から肉串を出してみんなに配る。焚き火があれば食べ物を焼く。これは冒険者の職業病だ。まだ、冒険者になって間もないけど。
「なんか、燃えてる人間で肉焼いてるみたいだな」
デリカシー皆無な事言いながら、黙々と肉串をアムドさんは食べている。綺麗な顔立ちしてるけど、この人そう簡単に彼氏出来ないんだろうな。
「止めてよ、気持ち悪い。そんな事言ったら人の肉焼いて食べてるみたいじゃない」
ミーは全く気にせず肉をパクつきながら、よりデリカシーが無い事を言っている。うん、もっと嫁の貰い手が無いだろうな。ここは僕か先生が引き取るしかないな。
その横ではマリンが顔をしかめながら、肉をじっと見つめている。気持ち悪くなったんだろう。
「で、どっちが、レベルアップしたの?」
アムドさんの目が光る。
「あー、あたし、あたし。あたしにズルッと力が流れこんできたわ。多分そろそろアムドも倒せる」
ミーはバーリトゥードでなら、その汚さからアムドさんを倒せるが、木刀の模擬戦では全く太刀打ち出来ない。今のだけで、そんなに強くなったのか?
「そうか、もう、私よりミーが強い。だから、次は私にゴーレムを倒させてくれ」
「ちょっと待ってよ、次のゴーレムは私よ」
マリンが加わってくる。
「何言ってるのよ。あたしなんてまだまだよ。次のゴーレムもあたしのよ」
収納からファイヤーボールを出すだけで簡単に強くなれる事に気付いたのか、女性三人は言い争いを始める。
ウッドゴーレム、モテモテだな。
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