8. 劇的大改造!
それから、さらに三週間後。
私は某所に派遣していた使用人からリニューアル完了の報告を受け、さっそく現場を訪れていた。
「あっ! コーデリア様〜!」
満面の笑みで出迎えてくれたのは、作業着姿のエディだ。
ラフなつなぎスタイルに、はつらつとした表情が映えて眩しい。
「お疲れさま。エディも手伝ってくれてたの?」
「はい、だって元々は僕たちの仕事ですから。それより、本当にすごいことになっているので、早く見てみてください!」
エディに腕を引かれて案内される。
連れて行かれた先は、大小さまざまな墓石が立ち並ぶ霊園だった。
しかし、以前に視察で訪れたときのような侘しく閑散とした雰囲気はもうない。今はあちこちで季節の花が美しく咲き誇っており、さながら貴族の屋敷の庭園のようだった。
「ね、すごくきれいでしょう?」
エディがきらきらと目を輝かせて、こちらを見上げる。
私はエディの頭を優しくなでながら、にっこりと微笑み返した。
「ええ、とっても綺麗だわ。みんなでたくさん頑張ったのね」
「はい! えへへ」
それからエディに連れられて別の場所に行くと、ちょうどクレイグさんとイライアスさんが力仕事を終えたところのようだった。
今日は気温が高くて暑いからか、二人ともつなぎの上半身を下ろして腰でしばっている。そして、汗をかいて張りついたTシャツをパタパタと仰いでいる姿がまた、とても絵になっている。
「クレイグさん、イライアスさん、お疲れ様です!」
「コーデリア様、ようこそいらっしゃいました」
「お見苦しい姿で申し訳ありません」
「いえいえ、とんでもない。皆さんの仕事風景を拝見できてよかったです。それに、プラン3も大成功みたいですね」
「はい、おかげさまで」
プラン3とは『劇的大改造! 地味な墓地をカラフルな花園に再生!』と題した、墓地での大規模造園だ。
ちょうど私の実家──ラムゼイ伯爵邸で庭園の花木を新しくすることになったので、屋敷にあった古い花木をこちらの霊園に持ってきて植えることにしたのだった。
「やっぱり彩りがあると場所の雰囲気も華やかになりますね」
「ええ。ここに眠る人々の魂も慰められることでしょう」
イライアスさんが優しい眼差しで霊園を見渡す。
クレイグさんも誇らしげな表情を浮かべると、誰か家族の人が来ているらしいお墓にチラッと目線を向けた。
「花を植え始めてから、ああやって一人でお墓に来る人が増えているんですよ。明るい雰囲気になったからかもしれません」
「それどころか、ここに訪れる人の数も増えています。寄付箱にもたくさんご寄付をいただいていて、ありがたい限りです」
「それはそれは。プラン1〜3の効果が着実に出ていますね」
おそらく、穴場の庭園のような感じで足を運ぶようになった人と、イケメンアイドルに会いたくて訪れている人の2パターンが存在するのではないだろうか。狙いどおりの結果が出て、私もひと安心だ。
「この職業に対するイメージがだんだん良くなってきているのを感じます」
「私自身、仕事に対する責任や意欲も前よりずっと強くなりました」
「僕も毎日楽しくて、勉強もお仕事もがんばろうって思ってます!」
三人とも、目の輝きが以前とは明らかに違う。
墓守り……いや、新たな聖衛士という職業に誇りを感じているのが伝わってきて、私も胸が熱くなる。
「皆さんの努力が報われてきて、私も嬉しいです。実は最近、プラン4も大きく展開しはじめたところなんです。ちょうど今日そのイベントがあるのですが、一緒に見に行きませんか?」
「イベントですか? どんなものか気になりますが……」
イライアスさんがちらりとクレイグさんの反応をうかがう。
すると、クレイグさんがニカッと笑ってGOサインを出した。
「ここの仕事は俺とシンシアでやっとくから、お前たちはコーデリア様と一緒に見てくるといい」
「いいんですか?」
「おう、あとで感想を教えてくれ」
外出の許可をもらえてエディが大はしゃぎで喜ぶ。
「やったー! イライアスお兄ちゃん、早く行こう!」
「ああ。でもまずは体を洗って着替えないと。こんな汗だくでコーデリア様とご一緒できないだろう?」
「本当だ……! コーデリア様、少しだけお待ちください。すぐに着替えてくるので!」
「大丈夫よ。ゆっくり支度してきて」
そして約一時間後。
私はお風呂上がりのいい匂いがする美男子二人を引き連れて、街の広場へとやって来ていた。




