表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無自覚聖女から始まる辺境山暮らし 〜婚約破棄されたけど、神獣と精霊に愛されています〜  作者: なな日々
第3章:山の恵みは規格外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
48/123

第46話 広がる不安

 教会からの知らせが届いたのは、しばらく経った夜のことだった。


 封を開いたエリオは、静かに目を通した。


『黒花の増殖が再び加速しています。濾過装置の増設をお願いしたい』


 ようやく落ち着いたと思っていた。


 だがそれは、束の間のことだったらしい。



 翌日、カーライル家の研究棟を訪れると、ルシアンはすでに机に向かっていた。


 資料が山積みになっている。いつになく、その顔が険しかった。


「来てくれたか」


「要請の件ですが、増設だけで対応できますか」


 ルシアンは少し間を置いた。


「……正直、厳しくなってきた」


 静かな声だった。


「濾過装置で水を綺麗にしても、根本の瘴気が増え続けている。追いつかないんだ」


 エリオは黙って続きを待った。


「それに」


 ルシアンが資料を一枚めくる。


「教会の外でも、黒花が出始めている」


「外で?」


「井戸の近くや、川沿いでの発見報告が増えている。水辺に数本ずつ。見つけるたびに抜いて対処しているらしいが……」


 ルシアンは静かに首を振った。


「抜いても、また別の場所に出る。いたちごっこだ」


 エリオの胸に、じわりと嫌な予感が広がった。


 教会の地下だけに留まっていた黒花が、外へ出始めている。

 水辺に。人々の生活の近くに。


「イザベラ様への依頼も増えているそうだ」


 ルシアンが続ける。


「各地から浄化の要請が殺到していて、聖女様も対応に追われている。それでも増殖速度が上がり続けている」


 しばらくして、ルシアンが書棚から一冊の古い書物を引っ張り出してきた。


 年代の記された表紙を見て、エリオは目を細めた。


 百年前の古い記録だ。


「黒花が外に出た記録を調べていたんだが、これを見つけてね」


 ルシアンは少し苦笑した。


「うちの書棚にあったんだ。知らなかった」


 ページをめくりながら、エリオの隣へ並ぶ。


 二人で静かに目を通していく。


 しばらくして、ルシアンのページをめくる手が止まった。


「ここを見てほしい……百二十年前にも、外に出ている」


 エリオは黙って続きを読んだ。


 読み進めるほど、胸の奥に重いものが積もっていく。


 やがて最後の一行まで読み終えて、二人とも口を開かなかった。


 沈黙が、部屋に満ちた。


「……守り、支えよ、か」


 ルシアンが静かに呟いた。


 エリオは何も言えなかった。


 脳裏に浮かんだのは、山で笑うセラの顔だった。

「面白かった!」「これからの展開が楽しみ」など、少しでも楽しんでいただけましたら、

下の評価欄から【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、とても嬉しいです!

(皆様の応援が毎日の執筆のエネルギーになっています!)

ブックマーク追加もぜひよろしくお願いいたします。

※本作はアルファポリス様でも重複投稿を行っております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ