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最強の勇者は敵だった  作者: 臥亜


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②王都追撃編

森の空気が凍りついていた。


倒れた木々。


焦げた地面。


さっきまで暴れていた魔力の余波が、まだ空気を震わせている。


アルトリウスは静かに立っていた。


その目は、さっきまでとは違っていた。


冷たい。


感情が削ぎ落ちたような目だった。


レオンが眉をひそめる。


「……どうした」


アルトリウスは答えない。


その代わり、遠くを見る。


まるで何かを見ているように。


未来を。


リュカが不安そうに言う。


「アルトリウス?」


その時。


森の奥から音がした。


金属音。


鎧。


大勢の足音。


レオンが舌打ちする。


「早すぎるな」


木々の間から現れたのは、王国騎士団だった。


数十人。


その中央に、一人の男。


重装の鎧。


王国の紋章。


騎士団長だった。


男はゆっくりとアルトリウスを見る。


「勇者アルトリウス」


低い声が森に響く。


「王命を伝える」


兵士たちが包囲を狭める。


騎士団長が続ける。


「勇者を国家管理下に置く」


「抵抗した場合」


一拍。


「強制拘束する」


リュカが驚く。


「拘束……?」


レオンが笑う。


「なるほど」


「処分じゃなくて捕獲か」


騎士団長は淡々と言う。


「勇者は国家の兵器だ」


「暴走は許されない」


その時。


アルトリウスが小さく笑った。


「兵器、か」


騎士団長が言う。


「それが勇者の役割だ」


沈黙。


アルトリウスの目が閉じる。


未来が流れ込む。


王都。


玉座。


鎖に繋がれた自分。


魔王討伐。


数万人の死。


そして。


もっと先。


世界の崩壊。


アルトリウスの目が開いた。


「……なるほど」


小さく言う。


「そういう未来か」


レオンが気づく。


「未来見たな」


アルトリウスは答える。


「見えた」


そして言った。


「王国が勝つ未来」


一瞬。


そして続けた。


「その未来」


「世界が滅びる」


森が静まり返る。


リュカが呟く。


「え……?」


騎士団長が言う。


「勇者、動くな」


アルトリウスは笑った。


「無理だな」


剣を抜く。


その瞬間。


空気が歪む。


未来固定能力が発動する。


騎士団が一瞬遅れる。


レオンの目が細くなる。


「おい」


アルトリウスが振り向く。


その目は完全に変わっていた。


冷たい決意。


「レオン」


「リュカ」


静かに言う。


「ここから先」


「俺は止まらない」


リュカが叫ぶ。


「待って!」


アルトリウスは続ける。


「世界を壊す未来しかないなら」


剣を構える。


「その未来ごと壊す」


騎士団長が叫ぶ。


「拘束しろ!」


兵士たちが動く。


しかし。


その瞬間。


アルトリウスが消えた。


一閃。


十人の騎士が同時に吹き飛ぶ。


地面が裂ける。


レオンが呟く。


「……マジか」


アルトリウスは振り向く。


「レオン」


「お前は強い」


「だから」


静かに言う。


「俺を止めろ」


そして。


森の奥へ歩き出す。


王都の方へ。


リュカが震える声で言う。


「……レオン」


レオンは剣を握る。


「最悪だな」


遠くを見る。


「最強の敵が」


アルトリウスの背中を見ながら言った。


「勇者だ」

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