表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最強の勇者は敵だった  作者: 臥亜


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/17

森の中の大追跡戦

西門を抜けた瞬間、二人は森へ飛び込んだ。


王都の外に広がる広大な森。

昼でも薄暗い密林。


だが今は――


空が光で満ちていた。


「未来固定」


アルトリウスの声が空から落ちてくる。


無数の光剣が森へ降り注ぐ。


ドォン!

ドォン!!

ドォン!!!


爆発の連鎖。


木々が吹き飛ぶ。


レオンが叫ぶ。


「走れ!」


リュカは必死に木々の間を駆け抜ける。


背後で爆発。


衝撃波が背中を叩く。


アルトリウスは森の上空に立っていた。


風に揺れる白いマント。


表情は変わらない。


「逃走ルート解析」


光の魔法陣が広がる。


次の瞬間。


森の先へ光剣が落ちる。


ドォン!!


進路が爆発する。


リュカが止まる。


「先を読まれてる!」


レオンが舌打ち。


「未来固定だ」


「俺たちが進む未来を先に決めやがる」


アルトリウスが静かに言う。


「抵抗は無意味だ」


「ここで終わる」


その瞬間。


アルトリウスが地面に降り立つ。


静かに。


森の中央へ。


二人の前に。


レオンが剣を構える。


「……チート野郎」


アルトリウスは剣を抜く。


白い光。


「戦闘時間」


「十三秒」


宣告。


レオンが笑う。


「短ぇな」


地面を蹴る。


全力突撃。


剣を振り下ろす。


だが――


届かない。


未来が固定されている。


アルトリウスが一歩横に動く。


それだけ。


レオンの斬撃は空を切る。


アルトリウスの剣が振られる。


閃光。


レオンの肩が裂ける。


血が飛ぶ。


リュカが叫ぶ。


「レオン!」


レオンは倒れない。


笑う。


「まだだ」


再び突撃。


斬る。


斬る。


斬る。


すべて届かない。


アルトリウスは静かに言う。


「結果は同じだ」


「君は勝てない」


その瞬間。


レオンが止まる。


息が荒い。


血が滴る。


だが――


笑った。


「知ってる」


アルトリウスの目がわずかに動く。


レオンが言う。


「でもな」


「未来ってのは」


剣を握り直す。


「ぶっ壊すもんだろ」


次の瞬間。


レオンが突っ込む。


アルトリウスが未来固定を発動する。


だが――


その瞬間。


リュカの暁が光った。


ほんの一瞬。


未来が揺れる。


アルトリウスの目が初めて見開かれる。


「……?」


レオンの剣が振られる。


ガァン!!


金属音。


アルトリウスの剣が弾かれる。


頬に、一本の線。


血。


静寂。


アルトリウスは触れる。


指先に赤い血。


初めてだった。


未来固定の戦闘で、


傷を負ったのは。


レオンが笑う。


「ほらな」


「当たるじゃねぇか」


アルトリウスはリュカを見る。


暁の光がまだ揺れている。


「……不確定因子」


初めて。


声にわずかな揺れ。


リュカは剣を構える。


「未来は決まってない」


「私たちが決める」


森に風が吹く。


三人が再び対峙する。


勇者アルトリウス。


暁のリュカ。


そしてレオン。


この瞬間。


アルトリウスの絶対未来に、


初めて


“例外”


が生まれた。


そして――


彼の胸の奥で


小さな記憶が揺れる。


遠い世界。


車の音。


雨。


事故。


「……神崎」


誰かが呼んだ名前。


一瞬だけ。


アルトリウスの未来固定が、


わずかに不安定になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ