最強の敵
夜。
王都の外れ。
炎が街を照らしている。
倒れた兵士。
壊れた建物。
アルトリウスは広場に立っていた。
その前に、少女が立つ。
リュカ。
息を切らしている。
それでも剣を構える。
アルトリウスが言う。
「来たか」
リュカが言う。
「止める」
アルトリウスは少しだけ驚く。
「俺を?」
リュカは頷く。
「うん」
震えている。
でも逃げない。
アルトリウスは剣を構える。
「いい覚悟だ」
リュカが踏み込む。
「ライトニング・スラッシュ!!」
閃光。
速い。
だが。
アルトリウスは軽く受け止めた。
「甘い」
一撃。
リュカが吹き飛ぶ。
石壁に叩きつけられる。
立ち上がる。
また突っ込む。
「はあああ!!」
連撃。
だがすべて弾かれる。
アルトリウスは動かない。
ただ防いでいるだけ。
リュカの剣が止まる。
アルトリウスが言う。
「終わりだ」
一閃。
リュカの剣が砕ける。
衝撃。
リュカが地面に転がる。
起き上がれない。
アルトリウスが歩いてくる。
見下ろす。
「強くなれ」
静かに言う。
「今のお前じゃ」
空を見上げる。
「世界は救えない」
その時。
遠くから声が響く。
「それはどうかな」
アルトリウスが振り向く。
瓦礫の上。
レオンが立っていた。
剣を肩に担いでいる。
闇の魔力が揺れている。
レオンが笑う。
「続きは俺がやる」
アルトリウスの目が細くなる。
「……いいだろう」
リュカは地面で息をする。
視界がぼやける。
最強。
本当に。
桁が違う。
でも。
彼女は拳を握った。
「……まだ」
小さく呟く。
「終わってない」




