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暴かれる真実

「二人共、このまま突っ込むわよ。アヤカ、悪いけど正面の守りは任せるわよ」

「うん、任せて!!」


三人、離れずに2人へ突っ込んで行く。

一番やばそうな偽執事はこれで完全に封じれなくともルートは絞られた。

後はあの王子だって言われてるあいつの対処だけだ。

すぐに次の矢を手に取り、上に向かって連続で放つ。


「上と前から攻めてくる気ですか、ですが……」

「シェシュル!!」

「い、今ですね」


上から降り注ぐ矢を対処しようとさせた瞬間にシェシュルが簡易転送魔術を使う。

予め術を刻んでて軽いものしか出来ないけど、もちろんあの矢はそれを満たしている。

矢はその場から移動し、彼らのすぐそばに転移する。

片方は即座に反応して叩き落すけど

突然の出来事に反応出来なかったのか全ての矢が突き刺さる。

あの位置なら心臓も貫いている、普通ならこれで勝負あったはずだけど……。


「なるほど……これは考えていませんでした。

良い連携ですよ……普通の相手では、ね」


そう言いながら彼は心臓を貫いているはずの矢を楽々と引き抜く。

やっぱり、無理か……。


「隙ありですよ」


嘘……速いッッ!?

その声が聞こえた方向にすぐさま魔力壁を貼る。

けど、彼が放った拳は魔力壁では防ぎきれず

私はシェシュルを巻き込んで吹っ飛ばされる。


「ッ!?…ふ、二人共!!」


い………ッ

折れては無いようだけど、衝撃が響いたのか腕が痺れて動きが鈍い。

これじゃあ弓は使えないわね。

だけど、それよりも止めを刺しに来た彼から逃げるべく身体強化魔術をかけて

まだ転がっているシェシュルを拾って走り出す。


「わ、わっ!?」


こんなの気休めになるかどうかもわからないけど時間を稼がないと


「そのような動きで逃げ切れると思われるとは……舐められたものです」


後ろから聞こえる死神の声。このままじゃやられる……ッ!!

やられるのなら、イチかバチかよ。

躱せることを願いながら右へ跳ぶ。

当たってないって事は躱せたようね……。

起き上がろうとしたところに後ろから感じる死の気配に背筋に寒気が走る。


「りゃぁぁああああッ!!」


けど、アヤカが駆けつけて斬りかかったために偽執事は私達から離れる。

なんとか時間は稼げたようね……良かった。


「ありがとう、アヤカ」

「いいよ、気にしないで」


すぐにさっきのように並ぶ。

今度崩されたら殺されるかもしれないわね。


「えっと……アシェルさん、このまま行きますか?」

「ええ、このまま行くわよ」


矢を撃ちたいところだけど、まだしびれが残っている。

これじゃあまともに撃つのは難しいわね。

なら、仕方ない。苦手だけど普通に魔術を撃つしかないみたい。


「む………もう送られてきましたか、随分予定より早いですが……」

「……どうされました、し……王子」

「予定より随分早いですが、あれを実行します」

「…………わかりました」


何かトラブルがあったみたいだけど、やる気みたいね。

止めたいけど、何をするかもわかってないから止めようがないわ。

偽執事が再びこちらへ向いたと同時に突っ込んできた。


「ッ!?……い、行きます!!発射ぁ!!」


シェシュルが術を展開し、火球を連射する。

けど、それを高速で動いて避ける偽執事。

こんなやつに魔術を当てるなんて極術師が使う超範囲魔術でもない限り

当てられる気がしないわ。

だけど、撃たなきゃどうしようもない。


「シェシュル、あとちょっとで痺れも取れるだろうから頼むわよ」

「わ、わかりました。ま、任せてください」


治療魔術で痺れの回復を急がせる。はやく治って!!

もちろん相手が回復を待ってくれるわけもなく躱しながら一気に近づいてくる。

く……私の魔術で止められるかわからないけど……!!

そう思って構えた瞬間に偽執事の前に氷塊が現れる。


「これは……」

「こやつは我がやるのじゃ、お主らは向こうの男を頼む」


向こうで化け物とやり合っていたはずの狼が援護に来た。

どうなったか気になるので横目で見ると向こうでは

化け物達が氷の中に氷が突き刺さった状態で凍り、彫刻のようになっていた。

すごい、こんなに安々とやるなんて……。

この狼、うちの王子様ぐらいの実力あるんじゃない?


「時間稼ぎも出来ませんでしたか。

やはり人工的にあれを作るのは不可能のようですね……。

ですが、最も近づいた彼ならばどうですかね」


王子の目の前に巨大な魔法陣が描かれ、そこから街を襲った化け物より

更ににデカい化け物が出てくる、角とか生えてごつくなってるわね。


「………ッ!?……貴様ァッ!!」

「何を怒っているのですか?

私は近くにいた虫を処分するついでに利用しただけですよ。

あなたの反応を見る限りお仲間だったようですが……お気の毒でしたね」

「………な、仲間……ッ!?」

「清々しいまでの外道ね……反吐が出るわ」

「……あ、あなた達最低よ……」


全員が感じる最悪と言う言葉が最も似合うべき邪悪が目の前にいる

その事を改めて感じられた。

こんなやつ生かしておく方が危険だ!!


「外道ですか、最低ですか……仕方のない事なんですよ。

世界を救うためです、対価を得るためには犠牲はつきもの

そう言うではないですか」

「そ、そうかもしれないけど…そんな残酷な事をしていい理由にはならないよ!!」

「残酷、何を言うのですか。アヤカさん、あなたが可愛がっていた家畜達と

変わりありませんよ」

「どういう事……?」

「言葉の通りですよ、あの家畜達は元を辿れば草原を駆け抜けて

生きるはずだったのに人間の手で品種改良という名の改造を施され

肉や乳を量産するだけの存在になり果てたのです。

仮定こそ違いますが、結果だけを見れば人間に弄られ存在を捻じ曲げられた

この事に変わりはないですよ」

「結果は同じかもしれない。

けど、そんな命を弄ぶような事許されるわけがない!!

私はお前を悪とする!!」


アヤカがそう言って剣を外道達に向けると剣が光り輝きだす。

そして、剣から一筋の光が走ったと思った瞬間に一瞬で距離を詰めた

アヤカによって外道は肩から斬られる。


「ぐ……ッ!!」


決まった、あれはどうみても致命傷だ。

だけど………。


「アヤカ、まだよ!!ちゃんととどめを……」


私が言い切る前に外道から生えた触手がアヤカの肩を貫く。

そして、即座にそのままアヤカを振り回してこちらに放り投げて来た。

すぐに身体強化の魔術を自分にかけて飛んできたアヤカを受け止める。

勢いは殺しきれずに一緒に吹っ飛ばされる。

い………ッつ……。


「う……ガッ……ッ…」

「アヤカ、大丈夫。すぐに出血だけでも止めるわ」


肩を貫かれて、酷い出血なので止血ぐらいしか出来ないけど治療魔術を使用する。

けど、その前に貫かれた肩に光が集まるかのようにともり始めていく。

何よ……これ……。

そう疑問に思っているうちに傷があっさりと塞がった。

王女様の回復魔術に匹敵する速度…いや、それ以上かもしれない。


「だ、大丈夫ですか!!」

「私は大丈夫だよ。あ、ありがとう、アシェルさん」

「……い、良いけど、あんたそれは一体……」

「私にもよくわからないんだよ。気が付いたら治ってて」


何よ、それ。もしかしてその剣がそのような魔具なのかな?

そんな疑問が頭に浮かぶけど今は後回しだ。

目の前の外道共をなんとかしなければ……。


「やはり、予定通りに事など運びませんか……仕方ありません」


触手を戻しながら、斬られた体を元に戻しながら王子はそう呟く。

捏ねた粘土の形を変えるかごとくに体を変化させてるなんて

あんな魔術聞いた事ないわよ……。


「や、やっぱり……あれは合成魔術です」

「合成魔術……それって生き物にも使えるの?」


大体鉱物を混ぜ合わせるのに使ってるイメージしかないけど。


「い、いえ……僕が知る限りは生物同士は出来ないはずですが

魔術は進歩します、僕たちが知らない間に出来ていても不思議ではないです」

「ほう……あなた随分勉強熱心ですね。その通りですよ。

色々な生物を混ぜ合わせているんですよ、それは人であっても例外ではないです」

「人であっても………まさか……」

「アヤカさんは察しがいいようですね。その通りですよ……」


そう言うと王子の腹がボコボコとまるで泡立ってくように

膨らんでいって何かを形作っていく。あの形は……


「ひっ………」

「………うっ……エ…ゲホッ」

「……ッ!!…そういう事ね……クズ野郎」


作り上げたのは人だった、そしてその人の形をしたものは

彼の顔そっくりの顔をしていた。

なるほど、王子が騙してたのじゃなくて王子に成り代わった者が騙してたのね…。

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