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再び交わる剣と拳

聖剣を受け止められた勇者は驚きこそすれど、すぐに力を入れて

白刃取りした手を突破しようと力を入れてきた。

中々の力だが、少女に力で負ける気などさらさらない。

こちらも力を込めて突破を阻止するため、聖剣はピクリとも動かない。


「ぐ……くっ!!」


明らかに力を籠める事に注意が言っているのが分かる。

この隙に片足の膝でも砕くか。

そう思った矢先、剣に違和感が現れる。

剣が光を纏い始め、熱を帯びてきた。それもかなりの早さで。


[かなりのエネルギーがその件に集まってます。

このままじゃあ手が焼き焦げます!!]


アンジュの声が聞こえる頃には骨にまであっさり到達する熱、これはまずい。

少女の横腹に回し蹴りを入れて、吹っ飛ばしこの隙に剣も放す。

あっつ………!!

掌を確認すると真っ赤になっていた。

勇者っぽい癖にやる事が姑息だな……。

だが、こんなの構ってる場合じゃない。早くあいつのところへ……

そう思ってなんちゃらなーんちゃらへ行こうとした時に

赤外線の様な光が俺へ当たる。

………なんだ?


[ケンさん、相手が急速接近してきます!!]



アンジュの声が聞こえたとほぼ同時に

少女が一瞬で俺の目の前に現れて剣を振り下ろす。


「く………ッ!!」


まさかの攻撃に躱すには時間が足りない。

体勢的にきついが剣を蹴る事で軌道をそらして回避する。

なんつー不意打ちだ、一瞬すぎて現れるまで気づかなかった。


「りゃぁぁあああ!!」


軌道こそ逸らしたが体勢的に不利なのは俺だ。

それに気づいているかは知らないが攻撃をやめずに聖剣を振り上げる少女。

このままだといつか当たる……。

何度も振り下ろし、振り上げて、振り回してくる聖剣。

服は斬られるが体にはギリギリ届かせない紙一重の回避をしつつ隙を窺う。


「はぁぁぁあああああああ!!」


力を込めた事がわかる気合いを上げながら振り下ろされる聖剣。

ここだッ!!

回転して後ろ回し蹴りでその聖剣の軌道を逸らす。

そのまま彼女のこめかみを砕くべく一回転して二度目の後ろ回し蹴りは放つ。

完全なタイミング、彼女は気づいていない。

これで終わりだ……!!

と思っていたが、光の壁が蹴りから彼女を守る。

魔力壁が硬い壁ならこれは柔らかい綿に包まれたような感じだ。

これを足蹴に追撃をしようにも空気に乗ろうとしているようで

まるで体重をかけられない。


「貰ったぁぁあああああ!!」


この隙に少女が聖剣を振り上げて、俺を両断するべく聖剣を振り下ろす。

光の壁から足を引き抜いて回避を試みる。


[ケンさん、左の足に向けて4時の方向から攻撃が飛んできています!!]


このタイミングでだと!?

仲間からの援護射撃が頭をよぎるが下手すりゃこいつに当たるぞ。

そう思ったが深く考えるのは避けてからだ。

無理に左足を上げて援護射撃らしい攻撃を回避する。

しかし、その隙を光を纏った聖剣が襲い掛かってくる。

俺は無理に体を捩じって回避を試みる。

が、光に包まれた聖剣は先程と違って射程が伸びていた。

刃は届かずとも光が届き、光は俺の右肩を切り裂く。

動脈をやられたのか切り口から血が噴き出す。

焼き切られたからか神経がいかれたのか痛みよりも熱さが俺に襲い掛かる。


「ぐ…………っ!!」

[ケンさん、大丈夫ですか!?]

「大丈夫かどうかはともかく、まだ動く事は出来るぜ」


左腕で切り裂かれた右肩を押さえる。

それでも切口からは血がダラダラと流れ、服はあっという間に赤く染まる。

追撃が来ると思い、身構えるが目の前の彼女の様子がおかしかった。

明らかに視線が噴き出て地面の落ちた血に向いていた。


[どうしたんでしょうか?]

「知るかよ……っ!!」


少女は見ればわかるレベルに顔色が悪くなっているのが分かった。

そして………


「うっ……げぇ……ッ!!」


嗚咽と共に手を口に当てて膝から崩れる少女。

血に恐怖したのか何かを思い出したのかそれはわからないが

そんな事知った事ではない。

嗚咽を発する少女へ俺は歩み寄り、蹴り上げる。

吐しゃ物をまき散らしながら少女は吹っ飛ぶ。


[うわ………容赦なさすぎでしょ。相手は女の子ですよ]


知るか、そんな事。

こっちを殺すべく剣を振り回していたくせに何かを思い出したかは知らんが

吐きそうになったから攻撃はするななど虫が良すぎる。

そんな事になるなら初めから戦場に出るんじゃない。

とどめを刺すべく彼女へと歩み寄る。

少女はビチャビチャと音を鳴らしながら吐しゃ物を吐き出す。

真っ青の顔でこちらを見るや顔が先程の様な怒りと殺意が籠った顔に代わる。


「ゲホッ……私は……お前達を…許さない……!!」


そう言えば何か言ってたな……。

何を勘違いしているのか、騙されているのかそんなとこだろうが

今はそんな事よりあいつの救出だ。


「お前の事情なんてどうでもいい、邪魔をするんじゃねえよ」

「邪魔………ふざけるな…ふざけるなぁあああああ!!」


勇者っぽい少女は怒りの籠った声を上げて、突進して聖剣を振り下ろしてくる。

ただでさえ単調だった攻撃なのに怒りで余計に単調になっているんじゃあ

せっかくの聖剣も意味がない、宝の持ち腐れってやつだ。

片腕が動かずとも問題は無い。

躱しながら接近して、腹部に膝蹴りを入れる。


「か……ッ!!」


膝蹴りで怯んだ隙に動く左腕でその場で回転させて、勢いそのまま地面に叩きつける。

そして、間髪入れずに右足を上げて彼女の左肩へ踏み降ろす。

ベキベキと言う骨がへし折れる音が足を伝って聞こえてくる。


[うわ……]

「あああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


骨が折れると同時に絶叫を上げる少女。

その足を上げて、次は頭蓋を砕くべく踏み降ろすが今度は光の壁に防がれる。

こいつは魔力壁とやらと違って突破出来そうにないのはわかっているので

突破は諦めて、距離を取る。

少女は左腕をだらりとさせながらも聖剣を杖に震えながらも立ち上がる。

その顔には恐怖が入り混じり始めていた。

そんな顔をしたところで手を休める俺ではない。

さっさと………


[ケンさん!!4時から攻撃が飛んできます!!]


アンジュの声が聞こえたと同時に体を捩じって回避しようとする。

が、脇腹をかすっていく。

そして、俺を攻撃しようとした何かは少女の右足を貫く。


「ちっ……!!」

「あぁぁぁああああああ!!」


俺はかすっただけで済んだが片足を貫かれた少女は絶叫しながら崩れ落ちる。

すぐに4時の方向に目をやるとそこには見た事のある顔があった。

確かマソマソだったかって名前の王子だ。

…味方ごとか…非情なのかまたは騙してたのか…まぁ、後者だろうな。

後方から射撃なんて面倒極まりない。見つけ次第処理するに限る。

一気に加速して王子へと突っ込んで行く。


[前方から攻撃きます]

「わかった」


右に大きく移動しながら接近していく。

その間もどんどん加速していき、あっという間に王子に近づく。

右腕は使えないので、加速した速度のまま後ろ回し蹴りで頭蓋を砕きにかかる。

王子の腕が異形のモノに変わって頭を守る。

が、そんな形になろうが防げると思っているのか!!

頭は破壊できなかったが、異形のモノとなった腕を蹴り飛ばす。


「流石……ですね。これは対物理対策の特注品なんですけど」

「言ってろ、嘘つき野郎が」

「嘘つき…?何のことでしょう」

「とぼけてんじゃねーよ。どうせ、あいつを騙してたんだろ?」

「残念ながら彼は彼女に一度も嘘はついていませんよ」

「なんだと……?」


嘘をついていない……って事は俺達が世界征服すれば世界は平和的なやつか?

実に面倒な考えをしてやがる。


「さて、私だけではあなたに勝つ事は出来ません。なので逃げさせてもらいますね」

「宣言するとは随分自信があるようだな」

「はい、彼らが足止めしてくれますから」


そう言うと王子の左右に魔法陣が出現する。

また、何か召喚する気か!!

すぐさま仕留めるべく即座に後ろ回し蹴りをするが同じように変形した

腕に防がれるが、このまま回転しながら接近して連続で後ろ回し蹴りを放つ。

それは魔法陣から飛び出てきたキメラに直撃し、王子には届かない。

王子はその隙に煙のように消えていった。

逃げやがったか……。

魔法陣から出現したキメラのうちの一体はさっき首をへし折ったが

無事な方は俺に跳びかかってきた。

それをかかと落としで迎撃して頭蓋を砕き割る。

頭を砕かれて痙攣しているが前みたいに触角が襲い掛かってきても困る。

触角を踏み砕いて動けないようにしておく。


[ケンさん、右肩の出血止めてください。このままだとまた倒れますよ]

「…あぁ、そうだな」


気が付けばあいつに切り裂かれた肩からの出血が悪化していた。

まずいな、このままだとまた出血多量で倒れかねない。

服を引き裂いて血を少しでも止めるべく無理やり固定する。

これじゃあ助ける前に下手したら俺が倒れかねない。

倒れてしまっては助けられない。

あいつには悪いがここは本隊を待った方が良いかもしれない。

無事だといいが………。


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