異世界ライフ
壊した壁を直すなんて出来ないし、素直に謝ろう。
そう思って、王様を探す。
いつもいる場所にもいないし、どこに行ったんだろう?
そう思って探していると、窓から王様が中庭にいるのが見えた。
場所が分かったので急いでそこへ向かう。
「王様ぁ」
「む……アヤカさん、何かな?」
「貸して貰ってる部屋の壁を壊してしまったの、ごめんなさい!!」
「……何故壊してしまうような事になったんです?」
「その…聖剣を素振りしていたら当たってしまって…ごめんなさい」
「素振りを…なぜ部屋でやったのです?」
「もしもの事を考えて、戦えるようにしておいた方が良いと思って…」
「……それならば大目に見ますが、次からは外でお願いしますよ」
「はい、気を付けます」
怒られる、最悪解雇されるんじゃないかと思っていたのに……。
こうもあっさり許されるとなんだか怪しくも思えるけど、
この人が嘘をついているだなんて思えないし
何より、こんな私を頼ってくれた人を疑うなんてできない。
「…ところで、王様はここで何をしていたの?」
「花に水をやっていたんですよ」
王様の後ろに目を向けると色鮮やかな花が咲いていた。
とても綺麗で思わず見入ってしまう。
「これを……王様が手入れしていたの?」
「はい、私とマンソンとで蒔いた種が咲かせまして私達が蒔いたので
手入れをするのも私の仕事だと思っていまして…」
そう言うと王様は少し照れくさそうな仕草をする。
男がそれも一国の王がガーデニングって事が恥ずかしいのかな?
「凄い綺麗……」
「そうですか」
凄く嬉しそうな声をする王様。
そう言えば花はいつも病室で見ているばかりで育てようとしても
不安定な体調のせいで結局お母さんにやって貰ってたなぁ。
「……アヤカさんも種を蒔いてみますか?」
「…!!いいんですか!!」
「はい、アヤカさんがとても興味ありそうなお顔をしてたので」
そういうと王様は懐からあるものを取り出して、私にくれた。
「それは植えるものの魔力によって花の色が変わる面白い花の種です。
どうです?」
「これにします。どうやって植えればいいんですか?」
「こうやって、指で土を凹ませてですね…」
王様と種を植えて、水を上げる。
健康な体になった今ならちゃんと自分で最後まで出来るはず。
そう思いながら、王様と共に中庭を後にする。
どんな色の花が咲くんだろ、楽しみだなぁ。
それからはご飯食べたり、お風呂入ったりして自分の部屋に戻る。
ベッドの上でゴロゴロ転がる。
これも前の体なら出来なかった事で楽しいと思う。
眠くなってきたので、もしもの事が起こらないように願いながら
瞼を閉じていく。
ずっとこんな平和で楽しい暮らしが続きますように……。
次の日……
「アヤカさん、申し訳ないんだが息子と狩りに行ってほしい」
「狩り?」
朝起きたらいきなり王様にそう言われた。
なんで狩りなんて行かないといけないんだろう?
そう疑問を浮かべながらも狩りへと向かう。
「王子様、なんで狩りなんてしないといけないの?」
「国全体の食料が減ってきてまして、このままでは国民が飢え死に
しかねないのですよ」
「飢え死に!?じゃあ、いっぱい狩らなきゃね」
飢え死になんて、そんなの貧しい国でしか起きないものだと思っていた。
まさか、この国でそれが起きようとしているなんて…。
あんなにみんなに親切にして貰ったんだ、その恩返しをしなくちゃ。
そう思うと不思議と聖剣を握る手に力が入る。
「この辺りにギューと言う大きな獣が群れでいます。
それを数頭狩ればかなりの備蓄になると思います」
「わかったわ」
そう言って剣を握り、初めて生物に斬りかかる。
けど、簡単に逃げられてしまう。
走って追いかける事は出来ても、振る剣が当たらないんじゃ意味がない。
「はぁ…はぁ……なんで当たらないの?」
狩れないんじゃ…狩れないんじゃ、みんなを救えない。
あんなに良くして貰ったのに、あんなに優しくして貰ったのに
これじゃあ、病院のベッドの上でただ寝ていた頃と何も……
そう思っていると剣が熱くなっているのを感じた。
剣の方に目を向けると、今まで見た事のない黄金の光を纏っていた。
この光をあれにぶつければ……!!
剣を強く握り、一呼吸おいて構える。
力を込めて、振り上げる。
剣からはその黄金の光が一直線に解き放たれて獣の群れを飲み込む。
その光景に剣を振り上げた勢いのまま、尻餅をついてしまう。
「す、すごい……」
これを私がやったって言うの?
まさか本当に勇者っぽい事が出来るだなんて……。
「流石です、アヤカさん。まさか群れごと狩るだなんて…」
拍手をしながら王子様が尻餅をついたままの私の元にやってきた。
「え、えへへ、どう?あれだけあればみんな飢えなくてすむかな?」
「はい、あれだけあればみんな飢えずにするはずです」
良かったぁ……そう思って一息つく。
これでみんながご飯食べられるんだ。
「ところであの数どうやって運ぶの?」
「それは彼らの仕事ですよ」
王子様がそう言って指パッチンすると王子様の後ろに魔法陣が描かれ
そこから大きな犬が複数出てきた。凄い、こんな魔術見た事ない。
「彼らは見かけによらず非常に力持ちです。持ってきていたそりに
乗せてしまえば、後は彼らが運んでくれます」
「そうなんだ、凄いね」
そう言って、一頭の頭をなでると気持ちよさそうに
目を閉じて尻尾を左右に振った。可愛いなぁ。
それを見て他の犬達もやってほしいのか私のもとに集まってきたので
みんなの頭をなでるとみんな同じような反応をした。
「流石、アヤカさん。彼らにもう懐かれるとは」
「そんな、流石って言う程じゃないよ」
立ち上がって、狩りの収穫をそりに乗せて彼らに運んでもらう。
凄い、こんなにあるのに楽々運んでる。
帰って、狩りの成果を聞いた王様はすごく喜んでくれた。
良かった、これで少しはみんなに恩返し出来たかな?




