目的の国を目指して
走り続けて、体感15分程度が立ったぐらいで前方に何かが見えた。
なんだあれ?どんどん近づいて来てるみたいだが……
「なぁ、こっちに来てるみたいなんだがありゃなんだ?」
「何………あれはコッレレミングか?」
「なんだそれは?」
「走り続けてなければ死んでしまう群れで暮らすでかいネズミだ」
走り続けてなければ死ぬってマグロかよ……。
走って近づけば近づくほど地響きとして足音が聞こえてくる。
このままだと、巻き込まれそうだから進路を少し変えてお……
と思った矢先コッレレミングの群れの中央が爆発……ではなく
中央が地中から出てきた巨大な生物によって吹き飛ばされる。
なんだなんだ、怪獣か?
巻き上げられた土が落ち始め、姿が見え始める。
その姿は巨大なモグラに見えた。
「あれは確かドドラコか……?」
「どういう生物なんだ、あれは?」
「確か、主に地中に住んでいる生物で、時折地上に出て来ては
暴れまわる事から地中の暴君と言われているんだ。
ただ、あまり人には興味は示さないから離れていれば
問題はないはずだ」
フラグになりそうだ……
など思いながらもデカいモグラから離れる。
モグラは辺り一帯を暴れまわり、コッレレミングだっけかを
吹っ飛ばしては叩き潰していく。
怪獣映画の1シーンを見ているようだ。
「直に見るとスゲー迫力だな」
「あんなのに巻き込まれたくはない。ケン、もう少し離れてくれないか?」
「了解、了解」
「えー、もう少し近くで見ようぜ」
「バカを言うな!!貴様は大丈夫かもしれんが私はどうなるかわからんのだぞ!!」
俺ももう少し近くで見たいと思ったとか言ったら怒られそうだから黙っておこう。
土煙を巻き起こし、辺りにいる生物相手に巨体を生かして暴れまわったモグラは
満足したのか地面を掘り起こして、再び地中へと潜っていった。
「もう戻って大丈夫そうか?」
「恐らくはそうだが、再び出てくるとも限らない。用心してくれ」
「わかった。でも、何故に急に出てきて来たんだ?」
「それまではわからない、私は生物・モンスターにはそこまで詳しくないんだ」
前に大蛇の事も良く知ってたみたいな感じだったし、シェシュルがいたら
教えてくれたのかもしれない。
情報を得られないんじゃあ仕方ない、周りに気を払い、慎重に進んでいく。
地響きを感じたらすぐにその場を離れないようにしないとな。
離れるほどに速度を上げていき、ある程度離れたところで元の速度に戻す。
「そういや、いいのか?」
「何が?」
「コッレレミング事だ、旨いぞ。焼くだけでも実に美味だ」
「な……!?なんでさっき言わなかったんだよ!!」
旨いってなら是非とも食べたかった。
おのれラオージュ、許すまじ。
先程の場所がもう見えなくなった辺りで地響きが響き渡る。
来たか!!
ドリフトをするかのように曲がり、範囲から逃れるべく突っ走る。
「きゃっ!?」
「お!」
一言いう時間もなかったので遠心力で二人に負担がかかる。
てか、今かわいらしい声が聞こえたんだけど、シャルか?
数秒後案の定、地中から巨大モグラが出現する。
目を付けられる前に離れ始めたところで右に光が見えた。
なんだあの光と疑問を持つ前にその光が一気に大きくなり、モグラを包む。
そして、光が消えモグラは力が抜けるように倒れる。
これはあいつを飲み込んだ光に似ているぞ。
「な、なんだ今のは……」
「炎魔術……じゃないようだったが」
二人の反応からして魔術ではないのか?
じゃあ、なんなんだ、今のは……。
足を止めて倒れたモグラの方を見ていると先程光が見えた方向から
気配を感じた。誰かがこっちに来る。
「どう、私にかかればこの通りなのだわ」
「流石ですね、アヤカさん」
「そ、そうかしら……えへへ」
大剣を持った女の子と若い男が戦果の焼き立てモグラを見にやってきた。
さっきあの女の子アヤカって言われていたが、日本人らしい名前だ。
仮に日本人って事ならあいつも異世界転生か転送させられたのか?
など考えていると向こうもこちらに気づいたのか立ち止まる。
そして、男の方がスタスタと急ぎ足でこちらへ来る。
「すまない、怪我は無かったかい?」
「怪我は誰もしてないから問題はないが、さっきの光はなんだ?
あんな魔術見た事がねえぞ」
「………その件に関しては今夜話す事だから答える事は出来ないよ。
ラオージュ・ルラーファ」
「………今夜だと………お前、何者だ?」
「すまない、申し遅れた。私はドゥシュムーポ王国の王子
マンソン・ドゥシュだ」
え、王子!?……ちょっと意外過ぎてびっくりした。
「王子様がこんなところでなんでドドラコ狩りをしていたんだ?」
「実を言うと食料不足でね、大量に食料が必要だったんだ。
他の生物を大量に狩るより巨大な生物を狩った方が楽だろうと思ってね」
「………そういう事か、邪魔したな。行こうぜお前ら」
「行っていいのか?」
「良いに決まってるだろ、王子と同伴しろだなんて言われてないんだからさ」
「それはそうだが……」
一つ頭を下げてから、馬車に二人を再度乗せて国へと向かう。
しかし、食料不足のために王子が動くのか。
あの人ももしかしたらうちの王子みたいにべらぼうに強いのかもな。
「………なぁ、ねーちゃん」
「………なんだ?」
「お前、ドゥシュムーポの王子が強いなんて話聞いたか?」
「いや、無い。それどころか並程度の実力しかなかったはずだ」
「並程度であれに襲われて勝てるとも行かずとも逃げ切れるのか?」
それぐらい出来なければハイリスクすぎる。
何かあれば下手すれば血筋が途絶える事になりかねない。
「非常に厳しいというより不可能に近いと言っていいだろう」
「は……?そんな実力差があるやつ相手に王族が国民のために狩りに出向く
とか馬鹿じゃねえのか」
マジでハイリスクじゃねえか。何考えてんだ、あの王子。
「普通にやれば間違いなく返り討ちにあう相手を隊長のように
非常に強くもない非力な王子が国民の食料不足を解決するべく狩りをする
とは思えん。立派ではあるが間抜けな行いだ。何故だれも止めないんだ」
「って考えると同伴してたあの子が怪しいな」
確か『流石』だと王子があの子に対して言っていた。
って事はあの子がモグラにあの光攻撃をしたのだろう。
しかし、どうやってやったんだろうか。
二人も心当たりがないようだし俺には全くわからない。
「ドゥシュムーポの考えが変わったのはあの子が関わっている可能性が高い
という事になるか」
「その可能性は非常に高いがまぁ、実際どうかはわからねーけどな。
それでも先に一つ気を付けた方が良いものが分かったんだ。
ラッキーだと思おうぜ」
急に不穏さが増してきたな。
後は偽物だって事が事実だとしたら、何故狩りなどしていたのだろうか。
偽物が国民のために狩りをするのだろうか。




