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新たな依頼

病院を出て、一息吐く。

明日もあの子のところへ行こう。

そう決めて、王子のところへ足を運ぶ。

仕事が無ければ飯食ったりまたあの子のところへ行けばいい。

そう思いながら、向かっていると前方から走る騎士が見えた。

何かを探しているような仕草をしているうちに

向こうもこちらに気づくとこちらへと向かってきた。


「ケン殿、ここにおられましたか。

申し訳ありませんがすぐに来てもらえますか?」

「あぁ、わかった。キコ、走るぞ」

「わかったのです」


3人して急いで向かうべく走る、走る、はし………。

騎士が離れた位置で膝に手をついて肩で息をしていた。

キコがついてきてるから大丈夫だろうと思っていたが

鬼のキコを基準にしたのは間違いだった。

鬼はついてこれても普通の人間はついてこれるわけがなかった。


「………大丈夫か?」

「も、申し訳ございません。さ、先に行ってもらえますか?」

「あぁ、わかった」


彼に対して申し訳なく思いつつも言われたからには

急いで王子がいる建物へと向かう。

前まで行くと見慣れた顔が見えた。


「すまない、遅れた」

「いや私達も今ここに来たところだ。気にしなくていい」

「そうならいいんだが、何で呼んだんだ?」

「そりゃ、俺らが呼ばれるたぁ理由は一つだろ。

ねーちゃん、俺達はどこに行けばいい?」

「ドゥシュムーポだ」


ドゥシュムーポって言えば、急に考えが変わったって言ってた国だっけか。

ついに証拠か何か掴んだってところかな。


「………ついにか」

「詳しい内容ついては移動しながら話す。今は聞かないでくれ」

「わかった。すぐに行こうって言いたいところなんだが

ちょっと待ってくれないか」

「あー、その子の事か」

「あぁ、誰か信頼出来るやつに任せたいんだが…」


力加減は出来る子だから保育所に預けても大丈夫だろうが

もしもの時が怖いからなぁ。安心できるやつに預けたい。

アシェル達に任せるのが無難そうだがシェシュルが怖がってたしなぁ。


「彼女は私が預かるよ。だから安心して行ってきてほしい」


その声と共に王子がこちらへと歩いてくる。

見送りってところか?


「王子、いいのか?」

「構わないよ。ただし、彼女が良ければなんだけど…」


昨日王子に対して怒ってたもんな。

それでキコが嫌ってならいよいよアシェル達ぐらいしか

任せる相手がいないが…。


「僕は大丈夫なのですよ。この人は嘘はつかないと言ったので

良い人に間違いはないのです」

「って事だ。悪いが頼むよ」

「わかった、私が責任をもって預からせて貰うよ」


心配事は解決できた。

と言うわけでそのマッシュムースだっけへ二人をマイ馬車にのせる。

話によれば普通に行けば2日以上かかるらしい。

早く行っても1日かかるぐらいかもなぁ。


「話には聞いていたが、マジでお前が引くのか」

「こっちの方が馬なんかより断然速いからな。さっさと終わらせた方が良いだろ」

「人間が馬車引いて馬より速いとかお前の体はどうなってんだ」


ラオージュが呆れた顔で俺を見つめながら馬車に乗っていく。

どうなってるも何も血反吐吐いて吐ききるまで鍛えたからとしか言えない。

二人が乗り込んだのを確認して、馬車を引いて走る。

遠いって聞いてるから速度上げるか。


「それで何を目的でそのムッシュスーモだっけかに行くんだ?」

「なんだそれは……ドゥシュムーポだぞ。

今回、行く目的は私とこいつとドゥシュムーポの王との会談だ」

「会談?王と話すんなら王子が適任じゃあないのか?」

いや、あいつはいかなくて恐らく正解だ。

今、俺達にとってドゥシュムーポは危険地帯、

そんな何が待ち受けているか分からない国である以上は

無暗に実質国王であるあいつが行くのは危険すぎる。

だが、俺達は国から見た時に王族より価値が無く

それでいて何かあった時に切り抜けられる可能性が高い。

更にこいつは騎士隊副隊長、俺は風の極術師。国代表を務める資格がある

そして、お前は魔力でしか能力を図らないのが基本である以上

初見じゃただの雑魚にしか見えない、何かあった時に役に立つ。

まさにベストな人選だ。俺達に任せて適任なのさ」


少し意外だ、そう言う事はあの王子には出来ないと思っていた。

こういう危険な事を部下や友人に任せられないとか言いそうなイメージ

だっただけに意外だ。


「言ってしまえば何かあっても切り抜けられる優秀な人材だって

信頼されてるって事だ。良かったな、ねーちゃん」

「なぜ私に言うんだ、貴様」

「知ってるぞ、バーで

『私が弱いから、弱いから隊長に信頼されてないのではないか』

って泣きながら酒飲んでたの」

「な………!?何故それを!!」

「うちの弟分のあいつらから聞いた」

「あいつら………余計な事を…」


ラオージュは絡み酒になってでシャルは泣き上戸になるのか。

どれぐらいでなるのかはしらないが、あんまり一緒に飲みたくねーな。


「目的はわかったんだが、このまま直進でいいのか?」

「あぁ、今のところ直進で問題はない。ケンのスタミナが持つ速度で走ってくれ」

「了解」

「しかし、こんな事が出来るだなんてお前が言う鍛えたってのは何したんだ?」

「何って………すまん、あんまり思い出したくないから答えられないわ」


思い出すは修業の日々。

血反吐吐くというかもう何度こんな修行して強くなりたいとか言う事を

望んだ自分を責めた事か。何度、普通に強力なスキルやら能力授かって

いればと後悔した事か……それぐらい過酷だったとしか言えない。


「お前が思い出したくないってどんだけだよ…」

「私も騎士になるべく、今の地位に至るまで厳しいトレーニングをしてきた

つもりだったが………」


俺の反応を見てドン引きをする二人。

だってさ、○○出来るまで飯抜きとか当たり前だったんだぞ。

冷たいだけじゃなくて押しつぶされる量だわ、水と同時に落ちてくる物の

せいで何度臨死体験することになったのかわからない程の滝行とか

滝の水をすべて吹き飛ばすまで帰ってくるなって言われて風邪ひいて

生死の境をさまようは

矢じりが付いてないとはいえ大量の矢を躱すな、見ろとか言われて

避けないせいで全身打撲でボロボロになるは

巨大な軍馬二頭で引いた戦車で追いかけ回されるはトラウマになってる

修行ばかりなんだ。思い出したくなくても仕方ないだろ。

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