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交渉

それから更に走り続ける事、大体3時間。

日が少しずつ落ち始め、少々息が途切れてきたぐらいに


「ケン、あれが目的地ドゥシュムーポだ」

「…あれか」


暗くなり始めているせいで見づらいが、そこそこデカい街だが

それでもノーヌミールに比べりゃ小さいが一つ目立つ建物があった。

城だ、こういう世界にありがちな城だ。

こっちの王子らが住むところは城と言うより白い家っぽい建物で

全然違うから、この世界に来て始めて城を見たぞ。

始めて見た城に少しばかし感動してから速度を一気に上げていく。

3分程度で国のすぐそばまで着く。


「うし、着いたぞ」

「ーーーーーッ!!……ふぁぁ…もう着いたのか」

「貴様、よく寝れたな」

「下手に緊張しても疲れるだけ、こういう時はリラックスするのがいいんだよ」

「限度があるだろうが!!」


後ろで言い合ってる二人はほっておいて肩をぐるぐると回して

ゴキゴキと言う音を鳴らしながら肩をほぐす。

どうしても引いてる間は同じ態勢を維持するから肩が固まるんだよな。

関所の手続きとかの面倒な事に関してはシャルに任せて

固まった体を解すべくストレッチを続けて

隣ではラオージュが大きな口を開けて欠伸をする。


「手続きが終わった、行くぞ。二人共」

「ーーーー…。うし、行くか」

「……貴様には国の代表として来ていると言う自覚はないのか」

「んな事言われてもなぁ……ぁぁああ……ねみ」

「殴り飛ばされたいか、貴様」

「こんなとこで喧嘩すんなよ、お前ら」


言いたい気持ちはわかるが、こんなところで言い合いしてたら

それこそ国の代表としての自覚が無いって思われそうだ。

凄く不機嫌な顔をするシャルとそれを気にも留めてなさそうなラオージュ

とドゥシュムーポへ入国する。

始めてノーヌミール来たのでどのようなものか気になっていたが

雰囲気事態はあんまり変わらないように見えるが


「……なんか暗くないか?」

「あの王子が食料不足と言っていたからな。そうなれば市場の活気が

嫌でも抑えられる。市場の活気が抑えられれば他も活気つかないものだ」

「やっぱり、そういうもんか」


って事はあのモグラ狩ってきても焼け石に水だろうから

根本を解決しない限りはずっと続くことになりそうだ。

何か手があればいんだが……。


「確か、ここは蓄業が生産の大半を占めてるはずだから

食料不足って事は……多分病気が蔓延して、家畜が壊滅したんだろな」

「恐らくはそうだろう」


病気ってなると俺にやれる事はなさそうだ。

家畜を襲うやつが出て困ってるとかなら俺でも出来るが、まぁ…。


「俺らはここの国の人間じゃあない。頼まれてもないならほっとくに限る」

「だな、進んでやる義理もないもんな」


ここは実質敵対してるようなもんだ、そんな敵国を進んで手助けする程

俺はお人よしじゃあない。

住んでる人には申し訳ないが国が弱ってるんなら放っておくのが一番だ。

むしろ………


「しかし、この状態でよく肯定派に回ったものだ」

「こりゃあ、戦争が起これば情勢が更に悪化して、最悪革命でも起こって

内部崩壊で自滅しかねんぞ」


追い詰められたが故に……と言うのも考えられなくもないが

それにしては行動が遅い気がする。

色々な疑問が浮かぶばかりだ。

3人共、色々な疑問を感じながら目的の大きな城に向かう。


「お待ちしておりました、ノーヌミールの使者の皆様」


そう言って出迎えたのは執事らしい初老の男性。

こんな爺って呼ばれてそうな見た目の人始めて見たぞ。

そんな彼に案内されつつ、城の中を進む。

城の中は言葉にするのも困るぐらいに普通で特に違和感や疑問を

感じる事無く、客間に案内される。


「間もなく王が参られますので中でお待ちくださいませ」

「わかった」


3人で客間に入る前に中を見渡す。

中は椅子に机と………特におかしなものは見当たらない。

壁も不自然に色が変わっていたり、変な隙間なども見受けられない。

何にもないなら疑って申し訳ないが同盟国でも友好国でもない国だ。

用心して越したことないだろう。


「あんまり用心するなよ、逆に怪しまれるぞ」

「あぁ…悪い」


変に怪しまれても困るし、ここは堂々とした方が良いか。


「ケン、お前はあくまで護衛という形に徹して貰いたい」

「あぁ、そいつはわかってる。黙って聞いているさ」

「で、貴様はふざけるのだけはやめろよ。お前がふざけるたびに

隊長の名に傷がつくんだからな」

「へいへい、俺だって空気は読みますよって」


シャルが不安そうな顔をしている。

俺も不安がっていると、客間の戸が開く。

そこには王冠を被った如何にも王様な恰好な爺さんが現れた。

高齢で足腰が弱いからか杖を突いている。

その後ろには来る途中であった王子様がいた。


「はるばる錆びれた国へよう来た、ノーヌミールの極術師と騎士隊副隊長殿」

「いえ、わざわざ会談の機会を用意してくださりありがとうございます

ドール・ドゥシュ王。それで今回の会談についてですが……」

「その前に座って話そうではないか」


そう言って王は客間の椅子へ座り、シャルとラオージュも対面の椅子に座る。

俺はその椅子の後ろに立つ。


「で、会談内容はわしの思考の変更……戦争の肯定化についてだろう?」

「はい、その通りです。た……アーシェ王代理には考えの変更のみを

伝えて、理由を一切述べなかったとの事なのでその理由を聞きに参りました」

「理由など一つしかあるまいよ。この国は限界なのだ。

交易でも特に目玉となる特産などなく、他国のような魔術師や兵器なども

存在しない。このまま睨み合いを続け、いずれ国が衰退し滅ぶよりも

破滅と隣り合わせの栄光の道を選んだのだ」

「何を言っておられるのです。この国の乳製品や肉は十分な特産です。

現にノーヌミールでも多くを輸入しておられます」

「そんなもの焼け石に水にしかならぬ。見ただろう、我が民の惨状を」

「しかし、強力な魔術師もいず、強大な兵器も存在しないのに

それらを持つ国へ戦争へ挑むのは愚行の極みです。

ただただ民を殺すだけです」

「確かにそれらは我が国に存在せぬが、変わりの巨大な戦力は所有しておる。

勝機はあるとも。私達は勇者を召喚したのだから」


勇者だって………!?

おいおいおい、勇者がいれば俺を送り込む意味なんてないだろ。

あのバカ、無駄の極みな事しやがって……。

ザ……ザザ………!?


[ゆ、勇者ですか!?そんなの聞いてませんよ。書類にもそんな事……]


久しぶりにアンジュのバカの声を聴いた。

あの野郎、俺が毒でダウンしてる時にすら入れてこなかった癖に……。


[あの時はケンさんが気を失ってたから声が届かなかっただけですよ!!]


目を覚ますまで繋いでろよ、こいつ……。

あれ……こいつ、俺の心の声は聞き取れなかったはずだが。


[それに関してはバージョンアップして聞き取れるようになりました。

それよりも勇者なんて書類のどこにも書いてないのですよ]


じゃあ、こいつらが用意して転生、転移させた人間じゃあないって事か。


[はい、そのような事があれば書類に全部書いてあるはずです。

書いてないという事はそういう事です]


じゃあ、この世界の人間が勇者としてなったのか?


「勇者……どういうことです?」

「極術師やそのクラスのような強き魔術師が生まれず

それらに匹敵する強大な兵器が作られる事のない

この国は異界から勇者を召喚する事に成功したのだ」

「異界から………召喚……まさか、あれを実現したと言うのか!?」

「そうだとも、あの異界接続を成功させたのだ。

現在の戦力こそ劣るが異界から増強出来る以上いずれ超えられるのだ。

戦力をだしに説得しに来たようだが、時間の無駄だったな。

ノーヌミールの騎士隊副隊長殿」

「………く…」


おいおい、異界接続とかマジかよ。

それはもはや、神の領域の行いだぞ。


[ちょっと、異界接続を実現させますか!?その規模の技術は無いはずですよ!?

書類にはそんな事書いてありませんよ!?]


おいおい、それはもうイレギュラーもいいところじゃねーか。


「いずれとは随分時間がかかるようだな、ドール王」

「………何?」

「おおよそ異界接続を実行するための物資の準備に手間取るんだろ。

だから、まだ戦争を仕掛ける事が出来ない。違うか?」

「………それが事実とするならどうするつもりかな、風の極術師よ」

「おいおい、そいつを言う必要あるか?」


沈黙が訪れる。

互いに蛇に睨まれたカエルが如くの状態が続く。


「交渉決裂だな。ねーちゃん、坊主帰るぞ」


ラオージュが椅子から立ち上がる。


「な……貴様、勝手に!?」

「ドール王の意思は固い。これじゃあいくら交渉しても無駄だ。

王、時間を取らせて悪かったな」


そういうとラオージュは部屋から出て行った。

それによって再び静寂が訪れる。


「…………そういう判断でよろしいか、ドール王」

「構わんとも、王代理には今まで世話になったと言っておいてくれ」

「………行くぞ、ケン」


おいおい、これでいいのか?

そう思いながらも俺が交渉出来るわけもなく

仕方なしにシャルの後についていく。


「おい、いいのか。あれで」

「良いわけない…が、仕方ない。相手が考えを変える気が無いんだ。

なら、こちらはどうする事も出来ない」


苦虫をかみつぶしたような顔をするシャル。悔しいんだろうな。

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