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今晩の夕食


「どちらにしてもその子の事は頼んだよ」

「俺が連れて来たんだ、言われなくてもやるさ。

それより、今日はもう仕事はないのか?」

「あぁ、だから後は好きにしてくれていいよ。

あるのは私の仕事だけだからね」

「わかった、じゃあお先に上がらせて貰う」

「あぁ、お疲れ様」


そう言って部屋を後にする。

なんとか許可を貰えはしたが我ながら馬鹿な事をしたなぁ。

序盤の慎重に行くって考えはどっかへ行ってたみたいだ。


「しかし、お前よく言ったな。一国の主も同然の男だぞ」


王子があれぐらいで殺すような男じゃないとはいえ

命知らずと言うかなんというか。


「そんなもの関係ないのです。

立場が上だったら何を言っていいわけじゃあないのですよ」

「そりゃ、そうだけど、本当に感心するよ」

「じゃあ、けんは何を言われても我慢するのですか?」

「そりゃ、限度ってもんがあるが…その立場にならんとわからないかな」


言うとは思うが。

そんな事を考えつつ、建物を出てどこに行くか考える。

俺自身はどっか飯屋に行きたいがキコはどうなんだろうか。


「キコ、腹減ってるか?」

「お腹なら減っているのですよ。何を食べるのですか?」

「何をねぇ…さっき言ってた肉料理とかどうだ?」

「肉料理ですか、食べてみたいのです」

「じゃあ、それを食べに行くか」


キコと手を繋いでギルドへ向かう。

あそこのハンバーガー旨かったからなぁ、ぜひ食べに行こう。

歩いて向かって行く最中に屋台のようなところから

いい匂いが漂ってきた。

何を売ってるんだろうか、気になるから見てみるか。


「へい、らっしゃい」


頭にタオルのような布を巻いたおっちゃんが笑顔で出迎えてくれた。

見てみると、そこには串に刺された肉が網の上で焼かれていた。

あー串焼きかぁ、食ってなかったなぁ。


「どういう肉があるんだ?」

「こいつはウサギ肉でこいつは熊肉、こいつは鶏肉でこれは羊肉だ。

臭みに関してはしっかり消してあるから安心しな」

「そうだな。全種類2本ずつくれ」

「へい、毎度」

「釣りはいらないから仕事頑張ってな」


そう言って、適当に金貨を2枚渡す。


「え!?いいのか?兄ちゃん」

「いいよ、気にせず受け取っといてくれ」

「なんだか悪いな、兄ちゃん」


串焼きが入った袋を受け取る。

袋から伝わるアツアツ感。匂いと共に食欲がそそられる。

一本を取り出して、口に入れる。

スパイスが効いていて脂の甘みが強調されている、旨いなぁ。

同じ一本をキコに渡す。


「これが肉料理なのですね。いただきますなのです」


アツアツの肉を口に入れて、もごもごと頬を動かすキコ。

鬼の口に合うかどうか……。


「お、美味しいのです!!こんな肉食べたことないのです」


目をキラキラさせて残りの肉にかぶりついていくキコ。

口にあったようだ。

安心したところで、次の串を取り出してかぶりつく。

さっきのと比べて歯ごたえがいい上にうまみとコクが強い。

これもスパイスが効いていて実にうまい。


「僕もそれ食べたいのです」

「わかってるよ、ほれ」

「ありがとうなのです……んーーー!!美味しいのです」


ぴょんぴょんと跳ねて美味しさを表現するキコ。

可愛いな、こいつ。

この串も食べ終わったし、次の串でもいただくか。

互いに買った串焼きに満足しつつ、歩きギルドが目の鼻の先まで来る

ところでなんだか前に人だまりが出来ていた。

なんだ、何かあったのか?

別に暴れまわった痕跡も見当たらないし、誰か有名人でも来てるのか?

そんな事を思いつつ、近づくと聞いた事ある声の笑い声が聞こえた。

誰かは思い出せないが……聞いた事あるぞ、この声。

人だまりをかき分けて、ギルドの中へと入っていくと

そこにはあの炎の魔術師の兄弟とラオージュが楽しそうに酒を飲んでいた。

そして、二人に絡まれるバンデと弟が見える。可哀想に。

それより、なんでこいつこんなところで酒飲んでんの?

疑問に思っていると、兄の炎の魔術師がこちらに気づく。


「お、お前はケンとかいう小童じゃないか。お前も来い」

「あ……あぁ」


めっちゃ楽しそうな顔で呼ばれた。

特に断る理由も思い浮かばなかったので近くの席に座る。

キコの教育に悪そうなので離れさせておこう。


「よく来たな、お前は何飲む?」

「何をか……お前が飲んでるのと一緒のでいいよ」

「すまん。こいつをもう一杯頼めるか!!」


滅茶苦茶上機嫌だ、隣で縮こまっている弟とは対照的だ。

後は腹が減ったので二人分のハンバーガーも頼んでおく。


「一つ聞いていいか?」

「なんだ?」

「なんでお前ここにいるんだよ」

「がはははは、そんな事か。この国は祖国と同盟国になったんだ。

いても問題なかろう」


高笑いしてる、こいつ前に攻めてきたことを忘れたのか?

と思いたくなるレベルのいい笑いだ。


「だ、だよな……こんなところで飲むっておかしいよな」

「細かい事は気にするな!!ったくお前は相変わらず小心者だのう」

「兄者が何も考えてないだけだろ!!この前攻め込んだんだぞ俺達!!」

「今は同盟国の人間、言わば同志だ。そんな昔の事は水に流さんか」


そんな昔ってつい先日だぞ、攻め込んできたの。

それに対してラオージュも頷いてる、同感者がいるだと……。


「敵視し、殺意を抱くのは向かい合う時だけでいいんだよ。

酒の席にまでもってくるとか間抜けもいいところだ」

「そうだとも。流石はこの国の頂点だ、話が分かるでないか!!」


そう言って二人して笑い合うラオージュと炎の魔術師。

確かに言われてみれば俺と死合った後もこいつフレンドリーだったな。


「お前からも兄者達になんとか言ってくれよ」

「そうだ、頭ぶっ飛んだ奴らに言ってやってくれ」


バンデと弟の方が俺に助けを求める。


「俺も敵視するのは敵対している時ってのには賛成だからなぁ。

何とも言えないぜ」

「お前もかよぉ」


敵視無しで立ち合いなど出来ないからな。

敵意無しで打ち合う事は相手に対する侮辱だ。

そして、それは立ち合いの場だけに留めるのが礼儀。


「なんだ、小童お前もか。ガハハハハハ」

「肩をバシバシ叩くな。酔っぱらいめ」

「あ、あのすいません。頼まれてたものをお持ちしたんですけど」

「ありがとうございます」


酒とハンバーガーが同時に来たので受け取って

片方をキコの前に置く。


「美味しそうなのです!!いい匂いなのですよ」

「こいつはな、こう食べるんだ」


そう言ってハンバーガーを持ってかぶりつく。

あーうまっ!!


「美味しいのです!!こんなの食べたことないのです!!」

「そうだろ」


ニコニコしながらハンバーガーにかぶりつくキコ。


「そういや、その女の子はどうしたんだ。お前の子か?」

「俺の年齢でこの大きさの子供がいるわけないだろ

19、いや20かな…。まぁ、それぐらいだからいるわけがない。

拾ったんだよ、で面倒見てるだけだ」

「お前20なのか、意外だな」

「そういうお前はいくつなんだよ?」

「俺は21だ」


全然変わらねーじゃねーか。何が小僧だよ。

そう思って酒を飲む。

む…………結構強いな。でも、飲めるレベルだ。


「そいつを普通に飲むか、やるな」

「ガハハハハハ、中々にいい飲みっぷりではないか。小童」

「叩くな、零れるだろうが」


ハンバーガーにかかって味がおかしくなったらどうするんだ。


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