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強者の酒席

ハンバーガーとこの酒合うなぁ。

酒が進む、進む。


「もっと食べたいのです」

「わかった、すいません。こいつをもう一つ下さい」


相手からの返事が聞こえた。しばらくしたら来るだろう。

しかし、仕事終わりの酒ってこうも旨いとは…。

病みつきになりそうだ。


「ところで小童とラオージュよ。お主らは自らを強いと思うか?」


酒で盛り上がっている席で急に炎の魔術師が聞いてきた。

それを聞いて、俺とラオージュは少しの間目を合わせた後に


「当たり前だろ」

「そりゃ思うが」


同じ答えを言う。そりゃ思うだろうよ。


「ほれみろ。俺は間違っていない」

「強い奴だからそう言えるんだよ。

俺みたいな強くない奴の気持ちなんてわからないんだ」


弟の方がそう言いながらジョッキに入っている酒をがぶ飲みする。

結構な量入ってたんだが、大丈夫だろうか。

そして、隣のバンデが俺に対する嫌味か?

と言わんばかりの顔で弟の方を睨んでる。


「それは過小評価すぎるぞ。弟よ」

「過小評価なもんか!!兄者には遠く及ばないし

こいつには大口叩いて大敗するしよぉ!!」


そう言って机に突っ伏して泣き始める弟。

酔ってんなぁ……。

それをハンバーガーを運んできた店員が困惑の顔で見つめてる。

そっちに言って受け取った後に新しい肉料理を頼んでおく。


「ほれ、2個目」

「ありがとうなのです!!」


そう言ってかぶりつくキコ。

猪を丸ごと食べてたし、串焼きも8本ぐらい、ハンバーガーも2個目。

鬼って結構食べる種族なのか?


「こいつも結構な腕なんだがなぁ。

少なくとも俺は最初、こいつがヴォンカだと思ったぞ」

「ほれ、ラオージュがそう言っているんだ。自信を持たんか」

「持てるわけないだろ!!俺は兄者らと違って自信家じゃないんだ」

「それは違う、順序が逆だ。自信家だから自らを強いと思うのではない。

強いと思うから自信が付くのだ。」


弟はそれを聞いて顔を上げ、それを聞いてラオージュと二人して頷く。


「どれだけ強かろうと殺し合いも同然の戦い、怖くないわけが無かろう。

だが、自らを強いと信じ、目の前の敵より強いと思い、己を鼓舞するのだ。

決して自信があるから言っている自惚れとは違う」

「自らを鼓舞……」

「そうだ。自らを鼓舞し、相手への恐怖に打ち勝つ。敗北を恐れる

自分に打ち勝つのだ」

「じゃ…じゃあ、絶対に勝てないような奴はどうするんだよ。

敗北しか考えられない相手には!!」

「そりゃあ逃げられるのなら逃げればよかろう」

「そ、それでいいのか?」

「あぁ、勝てぬと知り、闘うのはただの間抜けだ。

ただ、そうしなければならぬ時もあるが、それはまた例外だ。

言い出したらきりのないだ。気にするでない」

「そう言うものなのか…?」

「そう言うものだ、お前は強い。自信を持て」


そう言って、兄の方は酒を弟のジョッキに注ぎ入れる。


「お前らも同じ意見なのか?」

「概ね一緒だな、ただ強いと思いすぎて相手を見失うなよ。

相手を見失って相手の実力を見誤るとろくなことにならないからな」

「そ、それはわかってるよ」


そう言ってジョッキに入った酒を一気に飲み干す弟。

こいつさっきからかなり飲んでるけど、大丈夫か?

アル中で倒れたりしないだろうな。

倒れられたら困るなと思いながら、残りの酒を飲み干す。


「じゃあ、兄者達はこの中で一番強いって思ってるのか?」

「当たり前だろ」

「当然だ」

「そりゃそうだ」


弟の問いに3人同時に答える。

それを聞いて三人で顔を見合わせ


「ガハハハハハ、そうだよな」

「そりゃあ、思うに決まってるよな」

「あぁ、思うだけならタダなんだから思うに決まってるよな」


そう言った後に三人で笑い合う。

そりゃあ、この二人ともう一度戦うなんてごめんだが

それでも負ける気はない。


「けん達はお父さんみたいな事を言うのですね」

「お前んとこの親父さんもそう言うのか」

「そうなのです、僕のお父さんは強いのですよ」


そう言ってドヤ顔をするキコ。

鬼の中でそれ言うって事はかなーーり強いだろうな。

それでも肉弾戦なら負ける気はない。


「小娘の父さんはそんなに強いのか、今度はお前の父さんも含めて

一杯やりたいのう」

「まだ飲む気だろうにもう次の話か」

「ガハハハハハ、いいではないか。こうやって強者同士集まって

飲むのは普段飲むのとは違うからな」

「その通りだが、流石はフェールユジーヌの人間だ。酒豪の国と

言われるだけはある」

「ガハハハ、そう言いつつお前も俺達と飲む速度が変わらぬでないか」

「え、お前がか?」


こいつ酒にめっちゃ弱いんじゃないのか。

この前滅茶苦茶絡まれたぞ。


「俺はそこそこ強いが、何が疑問なんだよ」

「だって、この前ベロベロに酔ったお前に絡まれまくったんだぞ」

「あー……それは結構強めの酒を5本開けたからだったか……?

ちょっと記憶飛んでて覚えてないんだ。悪かったな」


開けすぎだろ………あれ、朝だったぞ。

シャルが聞いたらまた起こりそうだ。


「今度はあんなんになるまで飲むなよ」

「わーてるって。気にするな」

「まぁ、あんなんになったらバンデに全部押し付けるが」

「ぶっ……!!ふ、ふざけんじゃねーぞ。すぐに逃げてやるからな」

「けん、他の料理ってものはないのですか?」

「ん、じゃあこいつ食ってみるか?」

「食べるのですよ」


この後、3杯ぐらいに押さえながら飲み会は続いた。

なお、案の定ベロベロになったラオージュはバンデに押し付けて

眠くなったらしいキコを連れて逃げた。

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