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報告と怒れる少女

誰と話しているか気になるが、こっちも仕事で来ているんだ。

入って行っても多分大丈夫だろう、多分。


「悪いけど、俺がいいって言うまでは口を閉じていてくれないか」

「何でですか?僕が喋ったらまずいのですか?」

「まぁ、そんな感じかな」

「わかったのですよ、静かにしておくのです」


キコと約束した後に王子がいつもいる部屋に入る。

と、王子とアマラが話し合っていた。

入ったと同時に二人がこちらへ顔を向ける。


「ケン君か、お疲れ様……その子は?」

「あぁ、この子はな……」

「異界の者よ、何故に鬼の子を連れておるのじゃ?」


説明する前にアマラに言われた。

こいつは鬼だって知っているか…。

そして、その事を聞いた王子の雰囲気が変わった。

これは下手な事言ったら殺されかねんな。


「ケン君、オーガの子を何故連れているんだい?」

「順を以て説明しようと思ってたんだが……まぁ、いいか。

今回の依頼に関わっているからまずそっちから話すが

犯人は人攫いグループらしき集団でな、毒霧だったかを発生させる

装置で対象を行動不能化して攫ってたみたいなんだ」

「人攫い……その件は後で詳しく聞きたいとして

そこに何故オーガの子が関わってくるんだい?」

「こいつがそこで捕まっていてこいつに助けてもらったんだ。

で、帰り道もわからないとの事で放っておけなくてな。

危険なのを承知で連れて来たんだ」

「………子供とは言えオーガが捕まっていたと」

「あぁ、売りものとしてはありえないぐらいに傷つけられてた。

逃げ出さないようにするにしては行き過ぎていると思うぐらいにな」

「それ以前に鬼は他種族には容赦はないが一族を大切にする種族じゃ。

そんな事をするなどその一族全員を敵に回す事になる。

命知らずも良い事じゃ」


あった事がないからわからないがあいつら二人の反応からすると

鬼が強い事ぐらいは容易に想像つく。

そんな奴らが大群で襲い掛かってくるとか恐怖でしかない。

あいつらはそれを知ってて捕らえてたのか。


「それを聞いて、君はその子をどうしたいんだ?」

「親元に届けてやりたいと思っているんだ。

アマラはこいつの故郷とかそういう情報はないか?」

「申し訳ないがは知らんのじゃが、探しているのは確かじゃろう。

前に頼まれた件は終わっとるし、捜索してもよいぞ」

「いいのか?」

「同盟者の仲間の頼みじゃ。構わんよ」

「なら、頼めるか」

「わかったのじゃ。すぐに調べさせよう」

「ありがとな」


よいよい、気にする出ないと言わんばかりの表情を見せるアマラ。

頼みが来たら答えられるようにしとかないとな。

だが、それよりも気になった点がある。


「前の件ってあれか、ドルシュムースだったか?の件か?」

「それはドゥシュムーポだね、その件に関しては……」

「その件に関してじゃが、調べに行った者から連絡が途絶えたのじゃ」


連絡が途絶えたって事は何かあったって事は確実だ。

そいつが生きているか死んでいるかはわかりはしないが。

どちらにしても調べに行ったその国で何かあるって確率は上がった。


「それでじゃ、やつは途切れる前に一つ伝えて来ていてな。

『奴らはかつての再来を起こさんとしている』との事じゃ」


かつての再来だと……何のことだ?

俺はこの世界の歴史を知らない、知らない以上は何を起こすのか

全く見当がつかない。


「そのかつての再来ってのは二人はわかるのか?」


そう言うと二人は首を横に振った。

だよな、情報が少なすぎるもんな。


「候補はある事にはあるけど、確定するには情報が足りない。

もう少し具体的な情報があってくれると候補を絞れて

対策に充てれるんだけどね」

「じゃが、あの国が何かをしでかそうとしている事だけはわかったのじゃ。

それだけでも収穫ものじゃ」

「そうだね、後はそれに関してより情報を集めて言及せねばならない。

そのためにも、ケン君が先程言っていた人攫いの情報が欲しい。

彼らは今どうなっているんだい」

「全員綺麗にあの世行きにしておいた。だから事情聴取ってのは無理だぞ」


半分以上はアシェルがやったけどな。

あの人数差でよくやったよ、あいつ。


「いや、構わないよ。よくやってくれた、ありがとう」

「以上で報告は終わりってところだ。こいつの事についてはすまない。

心配だってなら、国外で寝泊まりするが……」

「そんな事をしなくてもいいよ。ただ、そんな小さい子でも鬼だと

いう事を忘れないでほしい。その大きさでも大の大人でも簡単に

殴り殺せるんだか……」

「そんな事しないのですよーー!!」


急にキコが大きな声を上げて、その場の三人が固まる。

い、今まで黙ってくれてたんだが王子の言葉で火が付いたようだ。


「僕はそんな事しないのですよ!!

なのになんでそういう事を言うのですか!!」

「す、すまない。君を傷つけるつもりはなかったんだ」


激怒するキコに王子が完全に押されている……。

意外な一面が見れた。


「次言ったら許さないのです」

「言わないように気を付けるよ、申し訳ない」

「嘘だったら許さないのですよ」

「嘘じゃあないよ、君と私の約束だとも」

「だったら許すのですよ」


鬼の少女に押し負ける一国の王代理とか言うものが見れるとは…。


「わ、悪い。謝らせることになって」

「いや、いいよ。私が軽率な発言をしたのがいけなかったんだから」

「それにしてもこんなあっさりと押し切られるんだな」

「他ならそうはいかないんだけど

なんだか怒ったソラが頭をよぎってしまって……」


そう言って照れ笑いする王子。

見たことないけど、ソラが怒ったら同じような感じになりそうだ。

そして、怒ったソラにさっきのように謝る王子と言う絵面が

容易に想像できた。


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