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帰り道

声が聞こえてたから治り次第即拘束してたものをぶっ壊して出てきたが

ちょいと遅れたか……。

この場にいた敵らしき2名を吹っ飛ばしたところで立ち眩みがする。


「だ、大丈夫ですか?」

「……あぁ、立ち眩みしただけだ。気にしないでくれ」


血を吐きすぎたか………。

それに毒は体から消えたが、疲労感は残ってやがる。

これはさっさと帰って飯食って寝た方が良いな。

だが、その前に小屋の方へと向かう。あの子の枷外してやらないと。


「どうしたの、小屋へ向かって」

「あぁ、中に捕まってる奴がいてな。そいつに毒を治して貰ったんだ」

「それで動けるのね。私達もその人に感謝しなくちゃね。

あんたがあの時出て来てくれなきゃどうなっていたかわからないし、ね」


そうだよな、あの状況からしてシェシュルはともかくとして

アシェルがどうなってたかはわからないからな。

良くて相打ち最悪返り討ちってところだったかもしれない。

そうなると、俺だけじゃなくて二人にとっても恩人ってとこだ。


「悪いな、後回しにして」

「良いのですよ、外してくれるのなら問題ないのです」


暗くてよくわからなかったが彼女を拘束していたのは鉄球付きの足かせだ。

触った感じからして手刀で壊せるだろう。

手刀を振り下ろして鉄球を繋ぐ鎖を切断する。


「これで立てるか?」

「な、なんとか……あわわ……」


立とうとしたがふらつき、倒れそうになるので掴んで支える。

こりゃあ、だいぶ消耗しているな。


「大丈夫か?」

「大丈夫なのですよ、久しぶりに立ったのでふわぁ…って

なっただけなのです」

「それならいいんだけど、転ばないようにしろよ」


俺も毒でボロボロだが、こいつも結構弱ってる。

結構長い時間拘束されてたのかもしれない。

解毒して貰った礼もあるし、ちゃんと治療を受けさせてやりたいな。

そんな事を考えてつつ、小屋から出る。


「その子が解毒してくれた子なのね」

「あぁ、早く戻ろう。俺もお前もこの子もボロボロだからな」


足を怪我してるアシェル抱えて、村へと戻る。

そういや、村長が行方不明のやつはって狩りをしに行ったと言っていたが

こいつは薬草摘んでたって話だったが、噛み合わないな。

村長が言ってたやつとは別の人間って事なのか?


「あ、あのずっと目を瞑ってますけど大丈夫なんですか?」

「目ですか、これは木を失ってる間に切られたみたいなのです。

でも、心配いらないのですよ。こんなのご飯食べれば治るのです」


は…………?

シェシュルと二人して足が止まる。

そんな人間聞いたことないぞ、そういう特殊な力ってなら話は別だが。

それにこの角も気になる。あの村特有の特徴だって言うのなら

良いんだが、村長もあの若者もそんなの一本たりとも生えてなかった。

突然変異とか色々考えられる点があるが一番現実的なのは……。


「お前……あの村の人間じゃあないのか?」

「あの村………?何の事なのですか」

「………やはりか、お前は誰なんだ?」

「……そう言えば自己紹介がまだなのです。僕はキコ、よろしくなのです」

「いや……そうじゃなくて、お前は何者なんだ?」

「僕は鬼なのですよ、この自慢の角が何よりの証拠なのです」

「お、鬼……って事は……オオオ、オーガ!?」


シェシュルが今まで見たこともないような速さで退いた。

鬼だと……鬼ってもっとでかくて狂暴そうな面構えをしたようなイメージが

あったが……この世界だとこんなのなのか?


「オーガ……って、もっとでかくて怪物みたいな顔しているはずよ」

「それは大人の男なのですよ、女は角が生えている以外は人間と

大差ないのです」

「そ、それよりもオーガってもっと狂暴なイメージがあります。

も、もしかしたら、演技で油断を誘っているんじゃ……」

「それは偏見なのです。人間だって優しい人から僕を動けないようにした

人までいるのですから、鬼にだって色々いるはずなのです」


そりゃあ、その通りだがどうしてもイメージがある。

シェシュルはビビってるし、アシェルは警戒してるし……

だが、こいつ一人で放り出すってのは助けてもらった側としては癪だ。

ここは仕方ないか………。


「キコ、ちょっとこっち来てくれ」

「どうしたのですか?」

「シェシュル、お前は反対側に来い。これでもしもの時お前を守れる」

「は、はい」

「信用してくれないのですかー!?」

「俺は良いんだが、二人が嫌がるからだ。許してくれ」

「うぅ……酷い偏見なのです。里の人間はそんな事なかったのです」

「二人もお前に悪意があるわけじゃあないんだ、許してやってくれ」


別にキコの事を嫌って行ってるわけじゃあないからなぁ。

怖いものにおびえるのは仕方のない事だ。


「な、なんで、ケンさんは怖くないんですか」

「やっぱり強い奴は感覚おかしいのかしら、あいつもおかしいし」


あいつ……?ラオージュの事か。

確かにあいつもべらぼうに強いからなぁ。


「怖い怖くないよりも俺はこいつには礼があるからな。

こいつがいなきゃ俺は今でも小屋の中だ」

「それを言ったら僕もあのままなのです。お礼なら僕もしたいのです」


こんな事言うやつだし、大丈夫だと思うんだがなぁ。

それよりも疑問に思っているのはそんな強い奴と知られている

鬼の子供があんなところにいた事だ。

別に奴隷とかそういうのならわからんでもないが

それにしてはキコを見る限り商品として扱う気が微塵も感じられない。

閉じ込めておくだけって感じのようだが。

など考えてると、ガサッと茂みから音が聞こえた。

先程の不意打ちから即座に警戒態勢に入ったところで……


「この臭いは……とぅ!なのです」


キコが茂みに突っ込んでいき、ゴキィ!!と重い打撃音がした。


「やったのです、ご飯ゲットなのです。これで目を治せるのです」


でかい猪を殴り倒し、討ち取っていた。

見る限り頭蓋を一撃で粉砕ってところだ。

人間の女の子のようでも鬼ってわけか。


「や、やっぱり鬼ですぅ」


シェシュルがガチガチ震えている。

俺も似たようなことやってるんだけどなぁ……。

キコが口を大きく開けて仕留めた猪をバクバク食ってる。

おぉ…実に豪快な喰い方、鬼らしい。

俺が感心してみている傍ら二人は食われてる猪が自分である事を

想像しているのかめちゃくちゃガタガタ震えている。


「美味しかったのです。よし……治ったのです」


先程まで閉じていた目を開けるキコ、中々に奇麗な目をしている。


「食べ終わったのです」

「つ、次は僕達ですかぁ!!た、食べないでくださいよぉ」

「食べないって言っているのですーっ!!

あんまり言うなら本当に食べちゃうのですよ……」

「ひ、ひぃぃ……あふん」

「シェシュル!?」


あ、気絶した。倒れる前に片手で支える。


「あんまりいじめてやるな、ビビりすぎて気絶したじゃねーか」

「ごめんなさいなのです。可愛くてついなのです…」


確かにあんなにビビってたらいじめたくなる気持ちはわかる。

けど、体ボロボロだから仕事を増やすのはやめて欲しかった。

無理して担いでも良いが……


「く……」

「ケン、大丈夫?」

「…ちょっとお前には悪いが休ませてくれ……」


眩暈が……このまま担いで行ってもいいが倒れた時に二人に迷惑がかかる。

ちょっと休憩して、体力を回復させるしかない。


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