同伴決定
アシェル降ろして、シェシュルを寝かして俺も座る。
視界が回る、眩む、ぼやける。
毒は抜いて貰ったんだが…ダメージが残ってるみたいだ。
「まだ解毒がすんでないんじゃないの?」
「そう…なのか?」
「僕が毒を抜き取ったはずなのですよ」
「多分、完全に解毒出来てないのよ。こいつは魔術に弱い体質だから」
アシェルはそう言うと術を刻み始めた。
解毒してくれるのか、ありがたい。
自分を治す事も出来ないとは。
本当、戦う事しか出来ないとはこういう時役に立たないな。
「終わったわ。後は時間が立てば治るはずよ」
「ありがとな、アシェル」
「どういたしまして。それでこの子はどうするの?」
こいつ自身人に危害を加える気がないとはいえ鬼だ。
ほったらかしには出来ない、子供だしな。
「キコは親の元に自力で帰れるか?」
「お父さんのところに帰るのは難しいのです」
「そうか…」
なら、親元に届けに行くか。
手がかりが皆無とは言え話していけば地形から何かヒントが貰えるだろう。
ただ、今日は無理だな。
「それならキコ、悪いが俺らと一緒に来てくれないか?」
「いいのですか?ありがとうなのです」
「え……!?オーガを連れて行くの!?」
「鬼とはいえ子供でしかも恩人だぞ。一人でほったらかしにする方が
何かあった時に面倒だ」
「そ、それもそうだけど大丈夫なの?」
「大丈夫かどうかは知らんが、お前らだって鬼だって見ただけじゃあ
わからなかったんだから喋らなきゃ多分大丈夫だろう」
王子には一言入れておく予定だがな。
これでまた捕まったら面倒な事になる可能性もある。
それに引っかかる点があるから放っておかない方が良いだろう。
「う。うーーん……」
お、シェシュルが起きたみたいだ。
俺も良くなったし、行くか。
「起きたか、立てるか」
「す、すいません。な、なんで気を失ったんでし……」
「がおーー食べちゃうぞ――……なのです」
「…………(気絶)」
あ、また気絶しやがった。
「……程々にしてくれ」
「ご、ごめんなさいなのです。面白かったのでつい、なのです」
「やるなら後1回にしてくれよ」
「ケン、シェシュルが可哀想でしょ」
「冗談だって。シェシュルも担ぐからさっきより揺れると思うが大丈夫か?」
「大丈夫よ、気にしないでいいわ」
よし、ならちゃっちゃと行くか。
気絶した者1名を片手で担いで、怪我をした者は背負って進む。
あ、そうだ……。
「アシェル、何か帽子みたいな頭にかぶるようなのはないか」
「いや、そういうのはないわね。急にどうしたの」
「いや、キコに被らせようと思ってな。角さえ見せなきゃ
ただの子供だ。鬼だとは気づかれまい」
「それは嫌なのです。僕たちにとって角は見せるもの、隠すだなんて
臆病者のあかしなのです」
「そういうものなのか」
「そういうものなのですよ」
村なら馬車止めたところにいて貰えばいいんだが、
国に入るとなるとなぁどうしても隠さなきゃいけないからなぁ。
歩いていくとどんどん光が強くなり、木の密度も小さくなってるようだ。
ようやくゴールか……。
「キコ、向こうに馬車が止めてあるからそこで待っていてくれないか」
「わかったのです。早く来て欲しいのです」
「あぁ、わかったわかった」
キコと一旦分かれて、村に入って村長宅を訪れると村長がいた。
探す手間が省けて良かった。
「お、お二人とも大丈夫かの」
「俺は大丈夫だが、こっちの方がな。薬草か何か分けてもらえないか?
金なら払う」
「解決して貰ったのじゃから、お代は結構ええぞ」
そう言ってもただで貰うわけにゃあいかない。
こっそり机の上にでも置いておくか。
持ってきてもらった薬草でアシェルの足と背中を治療する。
「痛っ!?」
「し、沁みるのはわかりますけど我慢してくださいね」
「わかってるわよ……っつ!?」
この傷だし、沁みるわな。だが、治療は終わった。
後は帰って、病院に行くかソラに見せれば治るだろう。
終わった後にあった事をキコの事を除いて説明する。
毒霧を発生させる魔具があった事、人攫いらしき集団がいた事
そして、行方不明になった村の人はいなかった事。
「そうか…おらんかったか」
「悪いな、連れてこれなくて」
「いいんじゃ、おらんものは連れてこれんからのう」
「それと人攫いの集団と思うやつらがいたから、
国に報告するんだがそうすれば調査の一団が来ると思う。
村が騒がしくなるけどいいか?
困るなら、王子に一言言っておくが……」
「気遣い無用じゃ。それよりも早く解決して貰ってありがとう。
お礼にこれを、この村で取れるものじゃ」
「いいのか?」
「ええんじゃよ」
良い爺さんだな、ありがたく頂戴する。
村長宅を後にして村のはずれの馬車が止めてあるところに向かうと
キコが暇そうに待っていた。
それを見るやシェシュルは即座に俺の後ろへと隠れた。
今から同席するんだから意味ないと思うんだが、黙っておこう。
「待たせたな、大丈夫か?」
「大丈夫なのですよー。ところでこれを引くのは誰なのです?」
「俺だ」
「力持ちなのですねー。お父さんみたいなのです」
「確かにケンは鬼…以上に力あるかもね」
鬼と一緒にされるとは……。




