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進む二人と 目覚める一人

こうなったら、壊れるまで矢でも撃ち込むしかなさそう。

矢を構えたところで……。


「ま、待って下さい」

「何か思いついた?」

「す、すっかり壊す事ばかり考えてましたが、魔具を動かせなくすればいいんですよね」

「そうだけど……」

「な、なら、任せてください。ちょ、ちょっと矢に術を刻みますね」


そう言って、シェシュルは矢に術を刻み始める。

一体、何を刻んでいるのだろうか。


「何を刻んだの?」

「こ、これはただただぼんやり光るだけの術です。

こ、これで魔燃石を枯渇させることが出来るはずです」

「なるほど考えたわね、確かに魔燃石なければ動かないもんね」


壊す事ばかり考えていたばかりにそれは盲点だったわ。

この子に感謝しつつ、術を刻まれた矢を構えてその木に打ち込む。

矢を木に打ち込むと矢はぼんやりと光り出す。

魔燃石が切れれば、光は切れるだろうし見て分かるのはいいわね。


「後は光が消えるのを待つだけね」

「そ、そうですね。た、ただ残量がどれほどあるかわからないので

同じ様に術を刻んだ矢を後数本打ち込んだ方が良いと思います」

「そうね、じゃあ同じように頼むわよ」


危機的状況になると慌てて怯えてしまうところがあるけど魔術に関しては本当に頼りになるわ。

シェシュルが術を刻んだ矢を数本同じようにして打ち込んでいく。

打ち込まれた矢は次々と光り出す。これならすぐに消費しきるかな。

少し待っていると光がどんどん小さくなっていき、光は消えていった。


「切れたみたいね……」

「そ、そうですね、でも慎重に行ってくださいね。な、何かしらで起動する可能性もありますので」

「わかってるわ」


ゆっくり近づいて、確認する。多分、大丈夫だと思うんだけど……。

近づいて調べてみる、問題はなさそうね。


「ま、万が一を考えて刻印術解除もしておきますね」


シェシュルが刻印術を解除する。これなら大丈夫ね。

これで毒霧はもう発生しないだろう。不意打ちに気を付けながら先へ進む。

それに毒霧発生魔具がもう一つ仕掛けられてるなんてありえるから気を付けないと。



「………ガハッ」


血を吐き、それによって目を覚ます。………ここは…どこだ?

今いる場所は僅かな光だけが入り込む非常に暗い小屋の中ってところだ。

動くべく体に力を入れようともまともに入らない、毒がまだ回ってるみたいだな。

おまけに両腕が何かに繋がれてる。

今のままじゃあこいつをなんとかしないと、まともに動くのも無理そうだな。


「さて……どうする…べきかな」


周りを見渡し、何かないか探す。

繋いでる何かをぶった斬るものでもあればいいが、暗くて何があるのかさっぱりだ。

これは下手に動くぐらいなら体力の回復を待った方が賢明かもしれないが…


「誰か……いるのです?」


暗闇の端から声が聞こえた……馬鹿な、気配なんて無かったぞ。

声の主が敵か味方かわからない以上は油断は出来ない。

声を殺して様子を見る。

少しの静寂の後に暗闇の中から四つん這いで現れたのは角が頭についている少女。

暗くてよくわからんが、目をつぶっているようだ。

辺りをぺたぺたと触りながら進んでくる。盲目なのか?

どんどんと手は俺へと近づいていき、ついに俺の足へ触れる。

バレたか……。


「これは……足なのです。形からするに顔はこっちなのですね」


ぺたぺたと体を触りながら、顔へと手は近づいてくる。

もう、これは敵だとしても諦めて話した方が良いな。


「……あんまり…ぺたぺたと体を…触らないでくれるか?」

「起きていたのですか…」

「まぁ……な。お前も……捕まった口か?」

「そうなのです。薬草を摘みに行ったら気を失って、目を覚ましてたら捕まっていたのです」


薬草を摘みにだと……狩りじゃあないのか?

って事はこいつはあの村の者じゃあないみたいだな。


「一つ……聞きたいんだが…俺以外に…捕まっている……人とか知らないか?」

「知らないのです。ずっとここに入れられていて…だから、お腹も減りました。

逃げようにも、足につけられたこれのせいで力も入らないですし」


そう言うと彼女は足の方を指を刺す。

ぼんやりとしか見えないけど、足枷のようなものが付いているな。

魔術か何かで力を封じているのか?

あれぐらい、体さえ動けば破壊してやれるんだが……これじゃあな。


「せめて…毒さえ…なんとか出来…れば……動くこ…とは出来る…んだが」

「毒なのですか。それなら僕にお任せくださいなのです」


何……毒を何とか出来るのか。

これは運がいい。体が動けば両腕を繋いでるこれもなんとか出来るし、この子も助けられる。


「では……早速やるのです」


再びぺたぺたと体を触り出す少女。

くすぐったいし、なんか恥ずかしいがこの状態から脱出することが出来るのなら我慢するしかない。

その手はどんどん上へと上がっていき、胸部へ、肩へ、そして顔へと到達する。

顔をひたすらぺたぺたと、特に口の部分を丁重に触られる。

そして、彼女は顔を両手で固定してゆっくりと顔を近づけ………………。


「待て!待て!待……ゲフッ」

「ど、どうしたのですか?」


顔を傾けて、疑問の表情を浮かべる少女。

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやい!!

いやいやいやいやいやいやいやいやいややいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!

恐らくだけど、口をつけようとしてたよな!?

何をためらいなくく……口付けしようとしてるんだ!?

角が生えているとはいえ見た目中学生ぐらいの少女とキ……キスとか無理だ。

無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!


「顔が熱くなっているのです………もしかして、口付けは苦手と言うのですか?」

「そうだよ……俺は……そう言う……のを安々…やりたく…ないんだよ」


そういうのはちゃんとそういう関係になってからだと相場は決まっているんだ。

例え治療だとしても……無理、ダメダメ。もし、そう言うので良からぬ関係になったら大変だ。

この子の親に申し訳ないし、何より俺が嫌だ。


「でも、これが一番楽なのです。舌を入れて絡めとる方が……」

「!?…そ、そんなの……余計にダメ……だろうが!!」


そんな破廉恥な事ダメに決まってるだろうが!!!!


「むぅ…じゃあ、別の手段にするのです。ただ、そっちは苦手なので時間がかかるのですよ」

「か、構わねぇ…接吻以外…ならなんで……もいい」


そう言うと彼女は再び体を触り始めて、肩で手を止める。

服をずらして、そして噛みつく。彼女の牙が俺の皮膚を引き裂き、肉に食い込む。

痛いがまだ我慢できるレベルの痛みだ、痛いけど。

これで体が動くようになれば、脱出するのは容易だろうな。それよりもあの二人は大丈夫かな。

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