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希望の射手と子供

あたしとシェシュルはケンによって範囲外に逃がすべく放り出される。

何度か枝に当たり、皮膚が裂けたりするが、それでも体は一気に空へと飛び出す。

浮遊の魔術は魔力壁と同じで魔法陣すら描かずに使える初歩魔術。

すぐに使って、空中で態勢を整える。

シェシュルの方へ目を向けると、慌てて遅れたもののなんとか出来ている。

それよりもケンは大丈夫だろうか。すぐに向かいたいけど……。


「ケ、ケンさんを早く助けないと」

「待って!!」

「な、何故ですか!?」

「シェシュル、あなた解毒は出来ても対毒魔術は使えるの!?使えないのなら

ミイラ取りがミイラになるわ」


そう、解毒と対毒は別。

解毒はあくまで毒を分解し、取り除くだけのもの。

それに対して対毒は解毒の格上の魔術で毒に対して耐性をつける魔術。

毒霧のような蔓延しているところなら、対毒をかけないと危険だ。

しかし、あたしも彼もその魔術は使えない。


「で、でも、さっきでもあれだったのにこのまま放って置いたらケンさんが

死んじゃいますよ」

「そうはわかってる。だけど、共倒れになったらあたし達を

逃がしてくれたケンが浮かばれないわ」

「じ、じゃあ、どうするんですか…」

「どう……って言われても……」


どうするべきか思考を張り巡らして考える。考えろ、考えるのよ。

あたしもこの子もあの毒霧を吹き飛ばすような風魔術は使えない。

となれば、今の彼を助け出すのは不可能だ。

なら、あの霧が晴れたところで助け出すしかない。

でも、晴れたころには彼は連れていかれてるか死んで……

そこで疑問が一つ浮かんだ。

なんであたし達と彼で症状に差があったのか。

その理由を考えたところでやるべきことが固まった。


「シェシュル、今はここから離れるわよ。ここだと探知以前に下手したら

目視で見つかるわ」

「そ、そうですけど、ケンさんはどうするんですか?」

「あたしの考えがあっていればまだ生きている。だから、来て」

「わ、わかりました。ア、アシェルさんが言うのなら」


シェシュルと一緒に空を飛んで離れたところへ着陸する。


「ア、アシェルさんその考えって何ですか?」

「思うにあの毒霧は自然発生したものじゃあないわ。魔術よ」

「そ、それは何を根拠に言っているんですか!?」

「忘れたの?あいつは魔術に対しては非常に弱いわ。そして、さっき明らかにあいつだけ

重症だったわ。そこから推測するにあれは魔術であったと考えられる」

「で、でも、それなら僕の方がアシェルさんより毒が効いてましたよ。

じ、実際まだちょっとふらつきますし」

「それはあたしの方が身長が上で吸い込むのが遅れたからだと思う」


煙のように下から上へと上がっていくのなら、身長の低いシェシュルの方が

先に毒を吸う事になる。そうすれば毒が効くのは彼の方になるわ。


「そ、そう言う事ですか…。で、でも、誰が一体なんのために毒霧を……。

ど、毒魔術なんて高度な魔術はモンスターは使えないはずですし」


モンスターが使ってくる魔術なんて基礎的なものばかりで毒の、それも毒霧なんて

応用中の応用魔術なんてまず使ってこない。

毒を使ってくるモンスターはいてもそれは毒を生成出来るか外部から摂取したものを

使っているだけでしかない。

ってなると、あれは人為的に魔術で発生させたモノだと思う。

そして、思い返してみれば毒霧はケンには非常に効いていたが彼は魔術は人の数倍良く効く。

恐らくあたしたちを殺すレベルの毒なら彼は即死するだろう。

そうなってないって事は恐らく殺すのが目的ではなく、動けなくするのが目的だって事だ。


「シェシュル、あたしの考えなんだけどあの毒は殺すための毒ではないと思うの」

「な、何故ですか?」

「あたし達を殺すための毒なら多分ケンは即死してると思うわ」

「た、確かに言われてみれば、魔術が非常に効きやすいケンさんが僕達が死ぬような毒を

吸えば恐らく即死しますね。ケ、ケンさんのような人を想定はしてないと思いますので

正しいと思います」


そうよね、ただ、相手が人が苦しむさまを見るのが好きな快楽殺人者なら話は別だけど

そんなところまで視野に入れ出したら、キリが無いから置いておく事にする。

相手を動けなくする、そして、そんな魔術を使う人間と言ったら恐らくは……。


「で、でも、誰がそんな事を……」

「恐らくだけど、人攫いだと思うわ。人を動けなくして捕まえて連れていく。

あの毒霧を使うにしては納得の理由じゃない?」

「そ、そうですね。じゃ、じゃあどうしますか?」

「どうって、相手が油断してるところを襲い掛かってケンの奪還よ」


それ以外無いわ。相手がどのタイミングで毒を放ってきたかは知らないけど、あれが

魔具で自動的に散布したものならば、あたし達の存在には気づいていないはず。

なら、魔具を破壊し、霧を発生できないようにするべきね。


「シェシュル、魔具が仕掛けられてると思うからそれの探知出来る?」

「ま、魔具自体は無理ですけど、起動しているのなら魔燃石使ってますのでやれます」

「おそらくまだやっているわ、頼むわよ」

「は、はい」


紙を広げて、さっきまでいた位置をこことして過程して今の位置を算出する。

今は大体このあたりね。

後は説明するのも面倒なので、どれが何かをメモしておく。


「わ、わかりました!」

「じゃあ、ここに書いて。何がどうかはメモしてある通りだから」

「は、はい」


シェシュルが書いている間、周りを警戒する。

もしかしたら、気づかれている可能性は十二分にあるのだから。

視界だけでは不安だから、探知魔術を展開しよう。

依頼荒らしにして、国最強の魔術師が弓に刻んた探知魔術を展開する。

その広さはこの森を超えた超範囲を探知できるもの。

それで見る限り、先ほどまでいた場所……ケンが倒れている場所に魔力反応がある。

魔力が無いケンが探知に引っかかるわけがない。って事は……こいつが犯人ね。

そして、そこから離れた更に森の奥に魔力反応が複数……。

映っている数は6か……。これのどこまでが敵でどこまでが村の人かは知らないけど、

一応、全員を敵と思って行動した方がいいわね。


「お、終わりました」

「ありがとう、えっと……やはり、近かったみたいね」

「は、はい。い、今は探知出来ないので恐らく起動していないと思います」

「なら、今のうちに戻って破壊しましょう。敵ならこれで探索していれば気づくことはないわ」


あんな性格、あんな態度のやつでも極術師。魔術ならばあたし達の中どころか

国の中でもトップクラス、いやトップと言ってもいい腕前。

そんな奴が作ったやつが人攫い如きのステルスに負けるわけがないのだから。

二人で、元いたところまで戻るべく歩き出す。


「映っているところを見ると6人ですけど、大丈夫でしょうか…」

「多分、全員が人攫いではないと思うわ。それにあんたに人殺しをさせるなんてさせないから

気にしないで」

「そ、そういう大丈夫ではないんですけど……」


この子はついてきてくれるけど、まだ13だ。

そんな子に人を殺めさせるなんてさせるわけにはいかない。

もしもの時はあたしがやる。

先程書いた地図からすると、もう少しで魔具がありそうな場所に着く。

ここからは慎重に行った方が良い。起動されたら相手側に気づかれるだろうし。

辺りをくまなく探してみるが、そのような魔具は見当たらない。

あの規模だ、大型のものでもない限りは無理だと思うんだけど……。


「あ、あれ?」

「どうしたの?」

「あ、あの木なんですけど…おかしくないですか?」

「木?」


シェシュルが指を刺した木をよく見てみる。

別に枝を葉も、なんなら見た感じの木の表面すら周りの木と刺して変わらない。

だが、この子はかなり見れる子だ。


「あたしには何もわからなかったけど、何がおかしいの?」

「周りと見比べてみると、葉が奇麗すぎませんか?」


葉が奇麗すぎる?

周りと見比べてみると、確かに周りはところどころ食べられてた葉がある。

が、シェシュルが怪しいと言った木にはそのような葉は見える範囲にはない。

その上、よーーーく見比べてみると木の質感も周りと違う。

パッと見じゃ気が付かない程度だけど、かすかに表面が荒い。


「多分、あれね。でかしたわ」


そう言って、弓を構えて放つ。が、矢は普通に木に刺さるだけに終わる。

弓はこういう時ダメね。威力が低すぎる。


「やっぱりダメかぁ」

「ゆ、弓は破壊する事に全く向いてませんから仕方ないですよ。

や、やっぱりここは僕の魔術で破壊した方が……」

「そうだけど、確実にバレるわよ」

「そ、そうですよね。て、敵が何人かわからない以上は警戒させたくないですもんね」


バレないようにすると、壊せない。

壊そうとするとバレる可能性が非常に高い。

何この2択詰んでるとしか思えないんだけど……どうしようかな。

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