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初めての飲酒 

彼女を医者に連れて行き、任せる。

俺に出来るのはここまでだ。後は彼女の気力次第ってとこだろう。

心配だが、俺には無事を祈る事ぐらいしか出来ない。

武術や筋肉ってのはこういう時には役に立たないのが欠点だな。

そんな事を思いながら、ギルドで肘をつく。


「何を落ち込んでるの?」

「落ち込んでるわけじゃあないんだが、あの子の事が気になってな」

「あたしもそれは気になってる。けど、あたし達が出来る事はしたんだから

今は彼女が回復するのを願うだけでよいと思うわ」


そうだな、自分の無力さに落ち込むんじゃあダメだな。

アシェルに励まされる。ただし、酒を片手に持った顔を赤くした状態で。


「すっごくありがたいんだが、酔っぱらいに言われるとなぁ」

「まだ酔ってないわよ。まだ、1杯目なんだから」

「それ、酔ってる人間が言うやつじゃんか」


そういうやつに限ってべろべろなんだろ?

俺、知ってるんだからな。

だが、こうも気分が落ち込んでいるのもあれだな。


「一杯飲んでみようかな……」

「お、いいじゃんいいじゃん。ほれ、飲みな」


そう言うと近くの瓶から中身を注いだカップを渡される。

え……多くない?


「なぁ、これ多くないか?」

「そんな事ないでしょ。ねーー!バンデ」

「んーーーなんだ、坊主飲むのか?」

「飲んでみようと思ったんだが、多くないか?これ」

「そんな事ないだろ。グビッといけ。グビっと」


飲んだことないから不安だが……多分大丈夫だろう。

恐る恐るだが、口の中へ流し込む。

シュワシュワとした炭酸と苦みと酸味の入り混じった感じが何とも言えない。


「ふぅぅ……初めて飲んだんだが、なんとも言えないな」

「味わうからだ。これは一気に喉にに流し込むんだ。喉で味わうんだぜ」


バンデにそうアドバイスされる。

あー、確かに喉で味わうとか言うもんな、そうしてみようか。

一気に今度は喉へと流し込む。


「はい、流し込んだ後にこれを口に入れるといいわよ」


そう言うと肉の干物のようなものを渡される。

ジャーキーってやつか、確かに酒のつまみとしては良いって聞くな。

口の中へ放り込んで噛む。

程よい歯ごたえで、味が口の中へ広がる。


「はい。そしたら、一気に流し込んで」


そう言うものなのか…。残ってる酒を全て喉へ流し込んでいく。

最後まで流し込み、大きく息を吐く。

ふぅ……いいな、これ。


「もう一杯くれないか?」

「お、いいね。坊主飲め飲め」


そういうとカップにさらに注がれる。

ジャーキーを片手にぐびぐび飲んでいく。あー、ウマ。

これ、いいな。酒が進む進む。


「ケン、ちょっと飲みすぎじゃない?」

「ん……そんなこたぁねーだろ」


酒ってこんなに旨いんだな。

金はあるんだし、もっと飲もう。


「坊主、こいつ奢るから何か一発盛り上げてくれ」


バンデがそう言って一瓶を持ち上げる。

一芸か……そうだな。


「ようし、それぇを貸してくれ」

「一気飲みなんてつまらん芸だけはやめてくれよ」

「そんなつまらん事しねーよ」


渡された瓶を机に置いて、一息置く。

そして、両腕を数度振るって瓶を抉り取る。

抉り取られたというのに瓶は倒れないどころか揺れる事すらない。

そして、抉り取られたところから酒がこぼれ出す。


「おぉ、すげーな。だが、酒がこぼれちまったじゃねーか」

「いいじゃん。金は俺が出すからよ」


笑いながら、次の酒を要求する。たーのしー。


「ケン、初めてなんだしその辺にしておいた方が良いと思うんだけど」

「いいんだよ。鍛えてんだから大丈夫だって」

「そうかなー」


アシェルが心配しているようだが、大丈夫大丈夫。

こんぐらいで死ぬような体じゃあないから。


「おー、英雄さん。他にも芸を見せてくれよ。これ奢るからさー」

「なんだ他にも見たいのか。しょうがないなー」


そう言うと、ゴキンと言う音と共に肩の関節を振れずに外す。

そして、すぐに関節を一切触れずにハメる。


「どう?」

「おー、すげーな。どうなってんだ。お前の体」

「鍛えたからな、これぐらい出来るってわけだ」


みんなと笑い合いながら、酒を飲み続ける。

このまま、笑い合いながら夜明けまで飲み続けた。


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