ギルドの依頼を受けてみる
「いやーありがとう。こんなに早く終わるとは、これが報酬だよ」
「まいど、また何かあったら依頼よろしくね~」
本当にあっという間に終わった。体感1時間たったかどうかも怪しい。
8割ぐらい俺が運んだ気がするけど、苦でもなかったしいいだろう。
「この速度で終わるとはなぁ。凄まじい坊主だ」
「あれぐらいならお茶の子さいさいだ。後10件ぐらい屁でもないぞ」
岩の塊背負って運ばされた頃に比べりゃ余裕余裕。
ゲームとかないし、本を読もうにも字が読めないから、いい時間つぶしになって
こっちとしてもありがたい。
これがなかったら食っちゃ寝ぐらいしか残ってない。
「こんなに早く終わったんならもう一仕事受けれるわね」
「そ、そうですね。ま、まだ、お昼にもなってませんし」
まだそんな時間なのか……時間が過ぎてほしい時ほど時間って過ぎないもんだな。
そんな愚痴を思いながら、ギルドへ向かう。
「そういや、シェシュルはなんでギルドで依頼受けてたりするんだ?
お前見るからに体動かす仕事向いてないだろ」
さっきの引っ越しの際に見てたが力が強いわけでもないし
見た目も見るからにインドア派だ。
それにこんな子供でも働かないとやっていけないのか、この世界は。
「ぼ、僕は本来学者なんですけど、僕のような末端は資金不足に陥りやすいんです。
ま、魔術特許なんてものもないのでこうして何かしらで稼がないと続けられないんですよ」
「そう言う事か……。国から援助とかは受けられてないのか?」
「う、受けてますけど、すぐなくなりますよ。ぼ、僕みたいな子供だとスポンサーも
集まらないので、こうやって稼ぐしかないんです」
「なら、俺が金出してやろうか。どうせ入っても飯か寝床でしか使わないしさ」
「い、いえ、いいですよ。こ、この仕事も悪くないと思います。か、体も動かせますし」
シェシュルもそういう事情があったのか。
って事はあの時に買いたいものがあるってのも実験器具か何かなのだろう。
今度、また報酬を渡す時があったらちょいと多めにやろうかね。普通に渡しても断るだろうし。
「じゃあ、なんだ。今も何かすげー実験とかしてるわけか?」
「そ、そうです。も、もし、成功したら世の中もっと便利になるはずなんです」
「成功するといいな。それ」
「は、はい。あ、ありがとうございます」
「で、何の実験しているんだ?」
ここまで聞くとやってる事が気になる。何をやってるんだろうか。
新しい魔術の開発とかそういうのかね?
「ひ、秘密です」
「こう言って私達にも教えてくれないのよ。本当に実験してるの?」
「し、してますって!そ、そう言う事言わないでくださいよ!
も、もし、聞かれて報告でもされたら配給止められちゃいますよ」
シェシュルを弄りながら、ギルドへ戻って次の依頼を探す。
3人が内容と報酬金を見比べながら、依頼書を見ている。
俺は文字が読めないので、3人を眺める。
依頼書には写真のようなものが貼ってあるモノが複数ある。
そこには畑の風景が貼ってあったり、荷物の写真が貼ってあったり
その中で一つの写真が目に止まった。映ってるこれは見たことがあるぞ。
ゲームやら物語でよく出てくる雑魚キャラの一つ、ゴブリンじゃあないか?
「これはゴブリンってやつか?」
「そうよ。力こそ子供に毛が生えた程度なんだけど、知能もそこそこあるから、こいつらを狩り
にいったら罠にはめられて逆に狩られる、なんて事もあるから報酬が高くても行きたくないのよね」
「こっちもそれなりの事前準備がいるからなぁ。割に合ってないんだよ。悪いがパスだな」
「ほーー、そいつらって魔術って使ってくるのか?」
「使ってこないはずよ。そんな個体は見た事ないし」
「ほう……。じゃあ、こいつ行こうぜ」
「「え゛!?」」
アシェルとバンデは同時に声を上げて、驚愕した顔でこちらを見てくる。
まぁ、そこまで言って行こうぜとは言わないよな。
ただ、まぁ…魔術使ってこないなら子供程度の力なら敵じゃあない。
「話聞いてたか!?こっちも事前準備がいるんだ。それにこんなのほっときゃ、まだそこで爆睡してる
ラオージュが一人で解決するから放っておけばいいんだよ」
「聞いてたが、悪いが子供に毛が生えた程度の奴が束になっても負ける気はしないね」
「確かに極術師に勝てるお前の敵ではないだろうが、俺は反対だ。それならもっと楽で金も
入る依頼があるからそっちにしたいね」
「た、ただ、比較的すぐそこですから今から行っても、夕方までには帰ってこれますね。
他は1日はかかりそうですよ」
「今日中に終わる依頼でないと行かないぞ、俺は」
それを聞き、二人は頭を抱える。
俺がいれば、荷物運びに並の敵なら簡単に倒せるからだろうな。
この二人には世話になってはいるが、それでも王子からの依頼の方が大事だ。
悪いが、一日かかるなら俺は行かない。
「仕方ねぇ……。危険かもしれねーが、こいつがいるのが今日だけな、俺は行く。
負ける気はしないって言ったんだ、頼むぞ」
「ぼ、僕も行きます。お金欲しいってのもありますけど、ケンさんを信用してますから」
「お、言ってくれるじゃねーか。じゃあ信用に値する動きをしないとな。で、アシェルはどうする?」
「んーーー……あたしも行くわ。楽して報酬貰えそうだしね。
ただ、あたしは後衛しか出来ないから、前衛は頼むわよ」
「了解、じゃあ、後衛は任せるぞ」
「決定だな、あいつらは夜行性だから昼のうちに行こうぜ」
4人パーティでゴブリン討伐へ向かう。
罠を仕掛けられるってならそれを踏まえて、慎重に行こう。
負ける気はしないと言ったが、油断はしない。




