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動けぬ王と敗者が二人

王はこちらへ顔を向ける。


『其方が国を救ってくれた男か。王としてでなくこの国に住まう者として感謝する』


声が耳には届かなかったが、頭には届いた。

これは……テレパシーか、何かか?


『む………。何故、其方からの返事がこぬ?』


返事?確かにまだ喋ってはないが……。


「返事が来ないですか?……そうか、彼は魔力が無いから受信は出来ても送信は

出来ないのか。ケン君、すまない。返事に関しては僕に言ってもらえないかい?」


こんなところで、俺の体質が仇になるとは…。

悲しいが、会話で必要ならばするしかない。


「すまない、王よ。テレパシーを送れず。で、その件に関しては既に貴方のご子息にも

言った事だが、こちらも命を救って貰ったんだ。気にしないでくれ」

『其方がそれでいいのなら私もそうさせて貰おう。…図々しいかもしれぬがこの国に

再び危機が迫った時にはその力また、息子達に貸してやってほしい』

「あぁ、わかった。俺でよければいくらでも貸すさ」

『ありがとう。息子達を、国を頼む』


そう頭に届いた後に


「…そうですか、父さんもごゆっくり。みんな戻ろうか」

「お父さんおやすみなさい」

「じゃあな、おっさん。また今度」


3人それぞれ何か一言言っていく。俺も何か言っておこうか。


「で、では、失礼します」


そう言って部屋を出た。

恐らく、寝込んでいる程度だと思ったら予想の斜め上の状態だったから驚いた。


「前に見た時より悪化してるな。おっさんも装置外した方が楽だろうに」

「あぁ、それでもあれを外す気はないらしい。あと数年は…との事だ」

「そうか、大変だな。おっさんも」


やはりあれは延命装置か。

あんな装置に繋がれてまで生きるだなんて、俺には無理だな。

二人の会話からすると、死にたくないではなく国のためか二人のためだろう。

凄い精神力だ。


「隊長!ここにおられましたか。ラオージュ殿と……王女とケン殿もご一緒でしたか」

「……あぁ、わかった。今すぐ向かおう。

ラオージュとケン君も申し訳ないのだが来て貰えないか?」

「……そういう事か、了解」


どっちもそれだけで何がわかったんだ………俺にはさっぱりだ。


「騎士隊のお仕事ですか?兄さん」

「あぁ、そうだよ」

「頑張ってくださいね、ご飯作って待ってます」

「わかったよ、出来る限り早く終わるようにするよ」


ソラと別れて、伝えに来た騎士に付いて行く。


「ラオージュ、どこへ行くんだよ」

「ん、あぁ。前に入ってた牢屋だ。あの二人が起きたんだろ」

「あの二人ってのは、炎の魔術師か?」

「あぁ、囮の方は俺が虫の息にして引きずってきたが、お前とやりやったやつは

戦闘現場から結構離れた位置でズタボロな状態で見つかってな」


生きてたのか、あいつ。

運が良かったと言うべきかしぶといと言うべきか。

着いたのは俺も入った牢屋の前。

王子やシャルにも始めてあった場所だ。


「隊長お疲れ様です!ケンもか…昨日は無茶をさせたようだ。すまなかった」

「気にするなよ、逃げりゃよかったのに逃げなかった俺が悪いんだからよ。

自業自得みたいなもんだからさ」

「そうか、お前がそれでいいのならいいが……」

「俺には何も言う事ないのか?」

「貴様には無い。こちらは貴様の悪趣味によって手間が増えた。

むしろ謝ってほしいぐらいだ」


悪趣味?こいつ、いったい何をしたんだ?

非常に気になるが、シャルに連れられて二人が入っている牢屋の前へ行く。


「ん……!ひっ……!!許してぐれぇぇぇぇえええええ!!!!」


ラオージュの顔を見た瞬間、俺が知らない方の男が泣きながらうずくまる。

こいつ、本当に何をしたんだ?


「ふん、許してほしいならこっちが聞く事洗いざらい吐けよ。泣き虫」

「は、吐くよ!吐くと…ぐへぇ!!」


泣きべそをかく男をあの獄炎の魔術師が殴り飛ばす。


「何を泣きべそかいてやがる、それでもヴーラ家の男か!!」

「で、でもよぉ。兄者ぁ…」

「この小童なんぞ全身が焼かれようとも声は出ても泣きべそはかかなかった。

貴様も全身が引き裂かれようとも耐えてみろってんだ」


悪趣味ってそう言う事か……こいつ…文字通り八つ裂きにしたな。

手間ってのはその治療とかそういうやつだろう。

しかし、そんな事するような奴には見えないんだが、機嫌が悪かったのかな。

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