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牢獄と絶対零度その4

突如として決まった王子vs俺。

正直、まだ戸惑ってるとこもあるが全力で来いと言った以上は

全力で叩き潰させて貰う。

そう意気込みながら全員で向かった場所はまるで古代ローマの闘技場である

コロッセオの様な場所だった。空も見えるし。


「ここは決闘だったり騎士隊の入隊テストの時に使う場所なんだ。

丈夫に作られているから派手に暴れて貰って構わないよ」

「なら、遠慮する必要はないな……だが、その前に勝敗はどうつける?」

「そうだね……状態はどうであれ、動けなくなるか、参ったと言う

このどちらかでどうかな?」

「構わねえ。で、いつから始めるよ。今すぐか?」

「ああ、それでも構わないよ」


そう言うと突然、凍り付くような音が聞こえたと共に王子が消える。

音が聞こえてすぐにその場から跳び下がる。

と、さっきまでいた位置から氷の結晶が生えるかのように出現した。


「……なるほどな、そう来たか」


まさか、一発で終わらせに来るとは思ってなかった。

あんな雰囲気に話し方なのもブラフだったのか?

再び、凍り付く音が聞こえたと思うと離れた位置に王子が立っていた。


「不服だったかな、ケン君」

「いや……全く。予想外だっただけだ」

「良かった。じゃあ、遠慮なく友人の敵討ち、取らせて貰うよ」


王子のその発言と共に彼の周りがキラキラと輝き、氷柱が飛んでくる。

そこそこな速度だが物体として見える以上はラオージュの真空波よりはマシだ。

すぐに横に跳んで避けると氷柱が着弾したと共に後ろから爆発音が聞こえた。

見てみれば、地面がえぐり取られていた。

……叩き落としてやろうと思っていたが、やめた方が良い様だ。


「アンジュ、サポ頼むぞ」

[はい…って、再び氷柱が飛んできますよ。それも多数!!]

「ああ、わかってる」


まるでさっきのは初回だから一発にしておいたよ。

と言わんばかりに今度は両手の指でも数え切れなさそうな数の氷柱が飛んでくる。

すぐに躱すために走り出し、数発躱した後に今度は王子へ向かって駆ける。

仕留めるべく回し蹴りを繰り出すが砕いたのは氷の塊だった。


「何ッ!?」


驚いている隙に足元が冷たくなっていく。

すぐにその場から離れると先程と同じように氷が生えてくる。

ちっ、近づいたらこれじゃあじり貧だな……どうやって隙をつくか…

再び王子の方へ向くとさっきと同じように氷柱がいくつも飛んでくる。

これを避けるぐらい動作もないがどうするか……

なんて思っていると彼の周りから結晶がいくつも生えて、それが集まるように

重なり合って行き……高さ、7,8mはあるであろう巨大な氷の塊になった。

そして、それはこっちに向かって倒れてくる。

質量のごり押しは予想外すぎる。が、物理じゃあ負ける気はしないぜ。


「アンジェ、あれは触れても大丈夫そうか?」

[えーーっと、はい。氷柱のように触れても凍結はなさそうです]


よし、それが聞ければ十分だ。

こっちからも跳び上がって、空中回し蹴りで氷塊を真っ二つに蹴り砕く。

そして、空中を蹴ってそのうちの一つに近づき、王子へ向かって蹴り飛ばす。

氷塊は高速で突っ込んで行くが地面から生えて来た巨大な氷柱に砕かれる。


「ケン君、空中に飛び出るのはミスじゃないのかな?」


王子の周りが再び煌き、氷柱がいくつも突っ込んでくる。


[ケンさん、避け切れますか!?]

「出来なかったら跳び上がってないっての」


多少なりとも足に反動が来るが制限がないわけじゃない。

飛んでくる氷柱を空中を蹴って移動し、地面に向かいながら避けていく。

そして、地面に落ちるようにして着地し、王子へと突っ込む。

と、見せかけてさっきの氷塊を砕いた氷柱へと近づいて

掌底で破壊し、砕いた氷柱を王子相手に吹っ飛ばす。

が、それは王子の前の出現した氷板に防がれる。


「あれらを魔術を一切使わずに成し遂げるか……別の世界は恐ろしいものだな」


そいつはお互い様だろう……?

なんて思っているとまたもや、足元が冷え始める。


「ッ!?」


すぐさま飛び退くと先程の場所から氷の結晶が生えてくる。

またか……なんて思っていると結晶が光り、辺り一面に冷凍ガスの

ようなものが噴射される。

凍るだなんてしたら動けなくなって負けだ!!

すぐに離れて距離を取る。


[ケンさん、他の結晶も冷凍ガスを噴射してます]

「他もだと……?」


距離離れている以上は当たるわけがない。

地面を凍らせて転倒を狙う気か?

いや、それはいくらなんでもしょぼすぎる。メインにするには価値が低い。

となると、一体何が目的なんだ……?

ただただ、撒いてるだけなんてしょうもない理由じゃあねえと思うが…

なんて事を気にしているといくつもの巨大な氷柱が至る所から生えてくる。

これじゃあ、下手に動けねえな……


[ケンさん、足元に魔力が集まってます!!そこから恐らく…]


アンジュの言葉の意味を理解した瞬間に跳び下がる。

とそこから勢いよく巨大氷柱が飛び出てくる。

こんなものがこの速度で生えてきたら股間から串刺しだぞ!?


[まだです、また足元に――ッ!!]


またかよ……!?

バク転する事でその場から離れると同じように巨大氷柱が飛び出す。

今度はギリギリだったためか避け切れず、服を切り裂かれる。


「あっぶねえ……ッッ!!」


クソ……冷凍ガスが撒かれて随分と冷えて来たせいで

足元からの攻撃に反応が出来なくなってきた。

この状態が続くなら、アンジュの指示に頼らない限りは喰らっちまう。


「アン――」

[ケンさん、不味いです。かなり気温が下がってます。既に0度を切りました]

「なんだと…!?」

「この速度で下がり続ければ、後2分待たずともに-50度は行きます。

そんな事になったら今の服装じゃ凍って動けなくなってしまいます」


何が目的かと思ったらそれかよ、やる事が陰湿だろ、あの王子!?

だが、それを知った以上は気温が下がり切る前に仕留めるのみだ。

王子の方へ振り向くと氷柱が生えまくっているせいで彼の現在位置がわからない。

さっきからあちらこちらに生やしてたのはこれのためか……


[これは……降参した方が良いんじゃないですか?別に負けて―――]

「何を言ってやがる、嫌に決まってんだろ。

それよりもお前ならあいつの現在位置わかるだろ、どこにいる?」

[さっきから動いていませんが、仮に氷柱を破壊して突っ込んで行っても

最初のように逃げられて、時間を稼がれるだけですよ]

「あ、だったら逃げられる前に仕留めればいいだけだ。

あの生えまくって―――」


氷点下を超えてるってのにそれ以上の寒気が背筋に走る。

このまま、居続けれればやばいと第六感が告げている。

それを信じて、すぐに動く。


[ッ!?ケンさ――――ッ!!!]


アンジュの声よりも早くに動き、アンジュからのその場からの離脱の指示が

聞こえるより先に地面から今まで以上に巨大な氷の結晶が飛び出して来る。

こんなの串刺し通りこして、ぶった切られるわ。

あいつ、マジで殺す気だろ!?

ふざけやがって、意地でもあいつみたくぶっ飛ばしてやる。


[あ、危なかったぁ。今まで以上に速いって―――]

「アンジュ!!」

[ひゃ、ひゃい!!な、なんでしょうか?]

「あの氷柱は触ったり、乗っかったりしても大丈夫か?」

[だい…丈夫ですね、問題ありません]

「後、王子の野郎は動いてねーな?」

[はい、その場から動いていませんね]


だったら、やるのは一つだ。

口から白い息を吐き出し、一気に駆け出して氷柱に飛び乗る。

そして、すかさず別の氷柱に飛び乗り、すぐさままた別の氷柱へと飛び乗る。

これを超高速で繰り返してピンポン玉が跳ね飛ぶかのように移動して

反応される前に王子のそばに着地する。

体感時間はおおよそ、2秒足らずってだろう。

この速度だ、普通の人には反応できまい。


「ッ!!!?」


案の定、王子は反応が遅れる。

すぐさま、蹴りを繰り出して仕留めにかかるが、ギリギリで避けられる。

ちっ、焦って無理な態勢で出したせいで狂ったか!!

だが、相手もまだ対応は出来ないはずだ。

すぐに回転しながら追撃の蹴りを繰り出すが、王子は氷で盾を作り出し防ぐ。

が、それでも威力は殺しきれずに王子は吹っ飛んで氷柱に激突する。

勝負あっ―――ッ!?

蹴った足から凍り付き、あっという間に全身が凍り付いて動けなくなる。


「……ッ……!!」

「いたた……いつか、来るだろう。そう思って貼っておいて正解だったよ。

これは私の勝ちで良いかな?」

「……あ、あぁ……動けねえから……負けだな」


俺の敗北宣言を聞いた王子が指を鳴らす事で、解放される。

開放された途端に力が抜けて、膝をついてしまう。

これが殺し合いだったら、間違いなく死んでいた……クソッッ!!!

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