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高校生の俺が、妊娠させてしまった恋人を幸せにすることは出来るのだろうか?  作者: ミソネタ・ドザえもん
第二章

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9/11

9.内見不可

 白石と別れた後、帰路に着く俺に一本の電話が入った。

 スマホに表示される番号は……登録履歴のない番号。昨今、特殊詐欺が横行する時代、知らない番号からの電話には出ないのがセオリーだが、なんとなく胸騒ぎみたいなものを感じた俺は、電話に応じた。


「もしもし」

『もしもし。丸罰不動産屋の太田と申します。こちら、酒井さんのお電話番号でよろしかったでしょうかー』


 電話口の向こうから聞こえる声は、若い男性のものだった。

 丸罰不動産。

 その不動産名には聞き覚えがある。というか、さっき内見の予約を申し込んだ不動産屋だ。


「はい。そうです」

『この度は弊社の物件の内見をご予約頂き、ありがとうございます。つきましては、その件で少しお話をさせて頂きたいのですが、ただいまお時間よろしいでしょうか』

「……えぇと」


 内見についての電話だし、出来ればさっさと話を済ませてしまいたかったが……何分、ここが歩道。

 時折、車が横を通り過ぎたりして、電話をする環境としては最悪だった。


『後ほど、再度お電話させて頂いた方がよろしいでしょうか?』


 言いよどむ俺の態度を察して、太田さんが言ってきた。

 ……俺は周囲をキョロキョロ見回し、近場の公園に向かうことにした。

 そろそろ不動産屋も営業終了の時間のはず。時間を改めたら翌日以降になる可能性もある。


 多分、この時間なら公園はもう、喧しい子供達はいないはずだ。


「いいえ、大丈夫です」


 歩調を早めながら、俺は言った。

 

『あ、ありがとうございます。……改めまして、この度は弊社の物件の内見をご予約頂き、ありがとうございます』

「いえ、それで……話しって?」


 俺は公園に到着した。

 案の定、薄暗い公園は幽霊でも出るんじゃないかと思うくらい、静かだった。


『はい。……酒井さん、内見のご予約の際、ご年齢を記入頂いたと思うのですが、不備などはないでしょうか?』

「ないです」

『……』


 ようやく公園に到着した、というのに……電話口の向こうが静かになってしまった。

 ……この態度に、俺は薄々、向こうが内見予約に対して、わざわざ電話をしてきた理由を察した。


『酒井さん、内見後、物件を契約するとなった際……酒井さんはご契約者本人となりますでしょうか?』

「はい。そうですね」

『実は弊社ですと、未成年以下での物件の契約には親権者の同意が必要になるんです』

「そうでしょうね。そこは大丈夫です」


 恐らく、不動産屋サイドとしたら、実年齢十七歳の俺が内見予約を入れた段階で、家出か何かでの物件探しだと思っているのだろう。

 だから、わざわざこうして電話を寄越して……有り体に言えば、厄介払いをしようとしているのだ。


『内見の際は、親権者の同伴も必要となります』

「そうですか。そこも大丈夫です」

『……酒井さんは、ご年齢的には現在、高校に在学中かと思いますが、その辺はいかがでしょうか』

「はい。高校生ですが……それがどうかしましたか?」

『2LDKの物件は家賃も高額となります。その高額な部屋を高校生……つまりは学生の方にお貸しするのは難しいのです』


 ……しまった。そうか。

 相手方からしたら、部屋を貸すにも支払い能力の有無の確認が絶対になるのだ。

 株でそこそこの資産を持っている事情など、向こうが知る由もないし……そもそも現在、学生の身の俺のような立場であれば、門前払いをさせる可能性だって高かったんだ。


『というわけで、申し訳ございませんが、この度は内見の予約もキャンセルということで、何卒よろしくお願い致します』

「あ、ちょっと……」


 切れてしまった……。

 ……くそう。

 学校の件も、親への説明も、今回の不動産屋での一件も。


 悉く、俺がまだ高校生であるという事実が邪魔をしてくるな……。


 ……。

 まあ、考えても仕方がない。


「とりあえず、親に相談だな」


 現状で白石に話をしても、結局碌な解は出ない気がする。

 であれば、真っ先に頼るべきはやっぱり……肉親である親に違いない。


 俺は深いため息を吐いて、再び帰路に着いた。

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