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趣味人のVRMMO  作者: et al.
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96/125

ep.94

 

『緊急クエストが発令されました。』

『クエスト:アインスの街を防衛せよ。』

『これから一定時間アインスの街にモンスターが侵攻してきます。プレイヤー皆さんで協力しあって防衛してください。』



【暇人】雑談スレ part12【集まれ】

 ・初心者歓迎!

 ・質問や相談もOK。

 ・荒らしは放置で

 ・次スレは>>950が立てる


 653:名無し

 う、うほwww

 アインスの街でTD始まったwww

 南の方から大軍が迫ってきててワロタwww



「チッ。これから防衛に回る。」

「詰所に行って皆を街の周りに配置しろ!それと、冒険者ギルドにも協力を要請するんだ!」


 拘束されている間に緊急クエストが発令される。隊長は指示を飛ばし、街に伝令を走らせる。端的で的確な良い指示だと思うよ。でも、流石に人手不足でしょう?この拘束も一旦解くように、命令しちゃって良いんじゃない?拘束している君たちも、指示待ち人間になっちゃいけないよ。今何が求められてるか、自分で考えよう。ほら、タコス屋を拘束している暇なんてないんじゃない?拘束されていて、何もできない俺は、掲示板への書き込みはできることに気づき、雑談板で状況を伝えてみる。


「仕方ない。一度解放するんだ。」

「お前、所属と名前は?」


「え、所、所属?」

「冒険者ギルド、ですかね。名前はGAKUでいい。です。」


「これが片付いたら話を聞かせてもらう。」

「1人付いておけ。」


 はっ!と力強い返事をして拘束してきた内の1人が俺にピッタリと張り付く。無事拘束は解かれたが、逃げられそうにはない。この人たち職務に忠実なんだよな。倒したら罪は重くなるし、逃げても罪は重くなるし。詰み。そもそも倒せないし。さりげなく、離しておいたルーを回収し、今後の身の振り方を考える。


 現状HPのリソースがない俺にとって、1人衛兵がつくのは渡りに船だろうか。こいつを盾にして、後ろから魔法を打てば、俺は安全圏から魔物を倒せるといった感じ。問題は、警戒しているこいつが俺に背中を見せるかどうか。俺だったら、絶対に背中を見せるような真似はしない。なんとか、警戒を解いて、タンクを買ってでてもらわなければ。容疑者を死なせるわけにはいかないだろ?どうせなら、あと1人もつけてくれて構わんぞ。


「てか、なんでこのタイミングで、大量討伐クエなんだよ!」

「遊び人なんて意味ねえだろ!」


 すでに遊び人になったことを悔やんでいる。俺にもう少し時流を読む力が備わっていれば。冒険者か魔法使いになって、経験値ガッポガポだったのに。もしくは神官になってたら、こんなにも疑われることはなかったかもしれないのに。遊び人になってLUK上がったはずなのに、全然ついていないじゃないか。まあ、今回の一件で許可なしでタコス売っていた件に関しては、有耶無耶になったので、その点では運がよかったのか?


「あの、私GAKUっていいます。あなたは?」

「タコス屋をやっているんですけど、一ついかがですか?」

「衛兵さんってすごいですよねー。どうやって訓練しているんですか?」


 俺についてきたやつがコミュニケーションを取ろうとしない件について。名乗りもしない、飯でも釣れない。こういう手合は強さを褒めればちょろいと、妖艶な女性に聞いたことがあるが、その戦法も通じず。何しにきたんだ?話相手にもなれないなら、帰れ。


「モンスターが侵攻って、まさか全方位?」

「畑が危ない!」


 ここのタコス屋台は再建が比較的容易で、最悪崩壊したって構わないんだが、北の畑は違う。あそこは死守せねば。今畑良い感じやねん。魔物に荒らされるのも嫌だが、プレイヤーに荒らされるのも癪だ。畑が見つかってしまうのは、この際許容するしかないにしても、芽生えたばかりの生命は守り通さねば。今から行っても遅いかもしれんが、掲示板見たやつは南の方に流れるだろうから、少しの猶予はもらえるかも。とりあえず、薬草は全部収穫して、他を守る形で行こう。


「えー、衛兵さんと呼ぶのは長いので、便宜上タンクと呼びます!」

「我々は、今から北の方に向かいます。」


 立っているものは親でも使う。付いてくる衛兵さんをタンク呼ばわりし、走り出す。コミュニケーションが取れずとも、弾除けにはなるだろう。迫り来る魔物を横目に、北の畑へ向かう。カッコよく宣言したは良いものの、タンクは足が早く、俺が前に進むのを息切れ一つせずに、尾行しているような現状。くそ、AGIもっと鍛えなければ。STRも鍛えると言ったばかりなのに。足りないステータスが多すぎる。


 東門の前を通ると、プレイヤーもまばらに出勤し始めている。急なアナウンスで、びっくりしているんだろうな。俺もだ。運営からなんかしらのご褒美もらおうな。いつも複数人いる衛兵さんは1人のみ。他は全て、迎撃に備えているんだろう。悪いやつはこういう時に街の中に侵入しがちだからな。しっかり見張っておくことをお勧めする。今、タンクが見張っている俺を見て、コイツか、という顔をしたな。俺以外の悪いやつ、をだな。あれから察するに、もう情報は回っているとみて間違いないだろう。困った。このクエストが終わった後のことも、考えとかねば。




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